使用済燃料共用プールにおけるライナードレン流量高の警報発生について
トラブルの概要
令和7年6月10日、使用済燃料共用プールのライナードレン流量の警報が発生し、共用プールの水が配管から流出した。共用プールでは同日(10日)、使用済燃料を格納した乾式キャスクの搬出に向け、キャスク上部にたまった水をホースで吸引して共用プールに戻す作業を実施していた。
警報発生後、現場を確認したところ、出口側のホース先端部がプール外にずれ、プール周辺の溝に水が流れた跡があることを確認した。ホース先端部がプール外にずれたのは、固縛が不十分であり、作業班長が作業状況を常時監視できていなかったことが原因と推定された。なお、共用プール水位の警報発生以降に放射線量の有意な変動や、放射性物質の建屋外への漏洩及び周辺環境への影響は確認されていない。
福島県の対応
申し入れ
県では東京電力に対し、重大なトラブルに繋がるリスクに対して申し入れや要請を行っています。
令和7年6月12日に、原子力安全対策課長から東京電力に対し、次のことを申し入れました。
| 申し入れ内容 |
|---|
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・今回のトラブルは、人為的なミスに起因している。令和5年度以降の度重なるトラブルの発生を受け、東京電力では、様々な対策を講じてきているが、その対策が機能していないと言わざるを得ない。 |
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・今回のトラブルの原因と再発防止策を他の廃炉作業にも横展開し、同様のトラブルが発生しないよう徹底すること。 |
会議による確認結果
| 会議 | 開催日 | 議題 |
|---|---|---|
| 第101回(令和7年度第2回)廃炉安全監視協議会 | 令和7年8月7日 | 使用済燃料プールからの燃料取り出しについて |
原子力安全対策課大熊町駐在による現場確認
東京電力の対応状況について確認を行いました。確認内容の概要は以下のとおりです。
| 調査日 | 現地状況 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 令和7年6月12日 | ![]() |
共用プールの水位に異常は認められなかった。また、床面等に水たまりは認められなかった。 |
| 令和7年6月13日 | ![]() |
再発防止策を確認し、出口側のホースが外れないよう金属製クランプ(留め金)により、固定されていることを確認した。 |
| 令和7年7月4日 | ![]() |
共用プール水からガレキを取り除くフィルターの交換作業を確認した。 |
| 令和7年7月7日 | ![]() |
共用プール行われているガレキ除去作業を確認した。 |
| 令和7年9月4日 | ![]() |
再発防止対策として溝形鋼つなぎ目の止水処理が予定されていることから、共用プール周囲に設置された溝の状況を確認した。 |
【参考】福島県原子力安全対策課現地駐在
福島県では東京電力ホールディングス株式会社の廃炉に向けた取組等の確認体制を強化するため、平成26年4月1日から、楢葉町に原子力安全対策課職員を常駐させてきました。さらに確認体制を強化するため、令和7年4月1日より、常駐先を大熊町とし、福島第一原子力発電所構内の確認やトラブル発生時の迅速な情報収集を実施しています。なお、重大なトラブルが発生した時には休日・夜間も現場確認ができるように体制を整えています。
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