ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2016年6月定例会 討論 阿部裕美子議員

2016年6月定例会 討論 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年9月21日更新

阿部裕美子議員

議員

阿部裕美子議員

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成28年6月
質問等討論
質問日7月6日(水曜日)

38番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。日本共産党県議団を代表して、知事提出議案、議員提出議案及び請願について討論を行います。


 最初に、知事提出議案について、第11号、第13号、第14号、第15号、第18号、第19号、第48号について意見を述べます。
 初めに、議案第11号「福島県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正する条例」についてです。
 これは、個人番号を利用することができる事務を追加するための所要の改正ですが、そもそものマイナンバー制度の問題点はこれまでも指摘してきました。日本に住民票を持つ全ての国民一人一人に政府が12桁の番号をつけて管理する制度ですが、税や社会保障だけでなく預金口座など官民問わず多くの個人情報を一つの番号で管理するため、年金情報漏れが大問題になったように、個人情報の漏えいやなりすまし詐欺や不正利用などの危険性が指摘されます。イギリスなど諸外国では廃止されている制度です。よって、この条例案には反対です。
 次に、議案第13号「福島県認定こども園の要件を定める条例の一部を改正する条例」、第14号「福島県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」、第15号「福島県幼保連携型認定こども園の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」についてです。
 保育園の入所選考に落ちた母親が「保育園落ちた。」と怒りをぶつけたブログが瞬く間に広がり、保育園待機児童問題がクローズアップされました。そもそも待機児童を生み出している原因は、認可保育所が決定的に不足していることと、労働条件が悪いことによる保育士不足にあります。
 ところが、安倍内閣の子育て支援策はこの根本的な解決策に緊急に取り組むことではなく、保育の質の低下をもたらす規制緩和による詰め込みと認可保育所以外の受け皿の拡大で対応しようとするものです。保育士不足への対応も、多様な保育士、保育補助員など人件費の安い非正規、無資格の職員で対応しようとしています。今回の条例改正は、最低2人の保育士を必要としない特例措置を設けようとするものであり、認められません。
 保育所の事故で我が子を亡くしたという痛ましい保育事故が後を絶ちません。野党が共同提案で保育士の賃金引き上げの議案を国会に提出しています。日本共産党は、このような事態を緊急に打開するために、30万人分、約3千カ所の認可保育所を緊急に増設することを提案しています。認可保育所の建設に国有地を無償提供するなどの支援策や国、自治体が先頭に立って公立保育所を増設すること、非正規の保育士の使い捨てをやめ、正規雇用化し、保育士の月10万円の賃上げ、配置基準の見直しで労働条件を改善することなどを求めています。
 未来を担う子供たち一人一人の命を守る安全とすくすくと育つ環境を保障することは政治の責任です。保育の質の低下をもたらす規制緩和や多様な保育士、保育補助員など人件費の安い非正規、無資格の職員で対応することで済まそうとする保育所の規制緩和は認められません。よって、議案第13号から第15号には反対です。
 あわせて、議員提出議案新規意見書第63号についても、同趣旨の内容が含まれることから反対です。
 加えて、議員提出継続議案第19号及び継続請第23号については、保育士の処遇改善等を求めるもので、採択すべきものです。
 次に、議案第48号専決処分のうち専決第364号「福島県税条例等の一部を改正する条例」についてです。
 今回の条例改正は、法人事業税の所得割を3.1%から0.7%に引き下げ、法人事業税の外形標準課税割合を8分の3から8分の5に拡大しようとするものです。
 外形標準課税は、資本金1億円を超える企業としていますが、赤字であっても税の負担を求められます。薄く広く公平にとの口実で、利益を上げている法人税の減税を行う一方で、赤字の中堅企業からも税負担させるのは、負担能力に応じて応分の負担を求める税の応能負担の原則に反します。よって、この条例改正には反対です。
 議案第18号、第19号については、県が行う建設事業に対して財政事情が厳しい市町村に負担を求めるべきではなく、反対です。
 以上、知事提出議案第11号、第13号から第15号及び第18号、第19号、第48号に反対します。
 次に、議員提出議案意見書及び請願について意見を述べます。
 議案第49号「安全保障関連法を廃止し、立憲主義に基づいた政権運営を求める意見書」、議案第50号「改憲許さず「平和安全保障関連法」の速やかな廃止等を求める意見書」についてです。
 昨年9月19日、自民党、公明党が数の力で参議院で強行採決した安保関連法は、歴代自民党総理でさえ「日本国憲法のもとではできないことだ。」と繰り返し答弁してきたものです。国民の約6割が反対を表明し、憲法学者の9割が違憲だとしているように、明らかに憲法違反です。
 日本は今、海外で戦争する国づくりをこのまま許していいのかという重大な岐路に立たされています。今問われているのは、自衛隊が合憲か違憲かの問題ではなく、自衛隊員が武器を持って海外での戦争に派兵していいのかであります。専守防衛の志を持って入隊した自衛隊員、被災地の救援、復興で汗を流した自衛隊員を、日本が直接攻撃を受けていないのにもかかわらず、海外で殺し、殺される戦場に送っていいのでしょうか。
 安倍首相は、今回の参議院選挙で改憲勢力が3分の2になれば憲法9条を改悪すると明言しています。朝のNHK連続テレビドラマ「とと姉ちゃん」は敗戦から戦後の時代に入りましたが、第二次世界大戦で日本人310万人、アジアの人々2千万人のとうとい命が犠牲になりました。このような悲劇を二度と繰り返させないためにつくられたのが日本国憲法です。
 中国や北朝鮮との緊張をどう解決するかについても、困難はあっても外交的解決に徹することが必要であり、ASEANの国々は東南アジア友好協力条約を結び、どんな紛争も話し合いで解決するという平和の枠組みをつくっています。北東アジアにも同じような平和の枠組みをつくろうというのが日本共産党の提案です。
 立憲主義を否定し、憲法違反の安保関連法の速やかな廃止等を求める意見書の議案第49号、第50号は当然可決すべきです。
 次に、議員提出議案新規意見書第51号「消費税増税を中止し同税率の8%から5%への減税を求める意見書」についてです。
 消費税の増税は消費を冷え込ませ、景気を悪化させることは実証済みです。安倍首相は消費税10%増税の延期を表明しましたが、アベノミクスの大増税路線の破綻を示すものです。
 7月5日付朝日新聞世論調査では、安倍首相の経済政策について「見直すべき」は55%であり、「さらに進めるべき」は28%にすぎません。アベノミクスは、大企業と大株主に巨額の利益をもたらしました。露骨な株価対策や大企業減税を推進、大企業の内部留保は3百兆円を超え、富裕層上位40人の資産総額は4年間で7.2兆円から15.4兆円へと2倍以上もふえました。
 一方で、貧困と格差は広がり、金融資産ゼロの世帯は3年間で470万世帯も増加し、3分の1を超えました。実質賃金は5年連続で減少、個人消費は戦後初めての2年連続マイナスです。雇用がふえたといっても、ふえたのは賃金が低く不安定なパートなど非正規の雇用が中心です。昨年の国会で安倍政権は、生涯派遣をふやす労働者派遣法を改悪しました。
 さらに、安倍政権はアベノミクスの効果を出すために株価をつり上げようと公的年金の株式運用比率を拡大し、2014年に12%から25%へ、さらに50%に倍増させました。その結果、昨年7月から9月期には過去最大の7兆円を超える損失を計上し、ことし1月から3月期も大幅損失を出し、年間で5兆円を超える巨額の損失となることが判明しました。
 福島県民にとっては、原発事故によって苦しめられており、消費税率8%でも耐えがたいものになっています。日本共産党は、所得の低い人ほど税金の負担が重くなる弱い者いじめの消費税ではなく、別の道、三つの改革を提案しています。税金の集め方、使い方、働き方です。
 富裕層と大企業へ応分の負担を求めること、大企業の優遇税制をやめ、中堅、中小企業並みの税負担を求め、タックスヘイブンを利用した富裕層、大企業の課税逃れにメスを入れれば財源は生まれます。税金は、暮らしを支える社会保障優先に使うべきです。よって、議案第51号は採択すべきです。
 次に、議案第52号「米軍基地の撤去及び日米地位協定の抜本的な改定を求める意見書」についてです。
 6月19日、米軍属による女性暴行殺人事件に抗議する「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める沖縄県民大会」が6万5千人の参加で開かれました。「もう犠牲者を出さない」、「県民の怒りと悲しみは限界を超えた」と書かれたメッセージボードを掲げて抗議行動が行われました。
 沖縄は、復帰後だけでも米軍の犯罪事件は5,910件発生し、そのうち凶悪事件が575件と異常事態です。集会で沖縄県翁長知事は、地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退、削減を含む基地の整理縮小、辺野古新基地建設阻止を表明しました。
 戦後、米軍基地に苦しめられてきた沖縄県民の悲願である米軍基地の撤去と辺野古新基地建設の中止を求め、日本の国家主権及び国民の権利を侵害し、アメリカを上に置く日米地位協定を抜本的に改定することを求める議案第52号は採択すべきです。
 続いて、議案第55号「TPP協定における全面的な情報公開を求め、批准しないことを求める意見書」、議案第56号「国会決議に違反するTPP承認案を撤回し、関連法案を廃案にすることを求める意見書」についてです。
 TPPは、アメリカを中心とする巨大多国籍企業の利潤追求のために関税を撤廃し、食の安全、医療、雇用、保険、共済、国・自治体の調達など、あらゆる分野の関税障壁を撤廃するというものです。しかし、安倍政権は聖域を守るとした国会決議を踏みにじり、TPPが発効しても農産物の国内生産量は減少せず、食料自給率も低下しないというあり得ない前提に立って強行しようとしています。
 食の安全・安心が脅かされ、地域経済を衰退させるTPPは全面的な情報公開を求め、批准しないことを求める議案第55号、議案第56号は採択すべきです。
 次に、議案第57号「九州電力川内原発の運転停止と全原発の再稼働中止を求める意見書」についてです。
 熊本地震はマグニチュード7を超える地震が連続して起きるなど、かつて経験したことのない地震が発生しました。震源域が九州横断的に拡大しており、今後どのような広がりを見せるか予測がつきません。電力需要から見ても原発を動かし続ける必要はありません。
 しかし、安倍首相は福島の第二原発の廃炉すら明言していません。直ちに川内原発の運転停止を求めることと全国の原発の再稼働中止を求めることは、原発被災県の県議会として当然です。皆様の御賛同を求めるものです。
 以上の理由から、議員提出議案、継続第19号、第39号、新規第49号から第52号及び第55号から第57号は可決、第63号は否決、継続請願23号、41号、新規請願48号から52号及び54号は採択すべきことを申し上げ、討論を終わります。


議長(杉山純一君)以上をもって、討論を終結いたします。

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。