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2016年6月定例会 一般質問 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年9月21日更新

宮本しづえ議員

議員

宮本しづえ議員

所属会派
(質問日現在)

日本共産党

定例会平成28年6月
質問等一般質問
質問日

6月28日(火曜日)

25番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。県政全般について質問します。


 参議院選挙が22日公示されました。安倍政権の国民の意見を聞かない政治の暴走にストップをかけて、野党共闘を豊かに発展させ、憲法の立憲主義、平和原則の回復、大企業応援のアベノミクスを転換し、国民の暮らし優先の経済政策へ切りかえ、原発再稼働を許さず、原発ゼロの福島と日本社会を目指して全力を尽くす決意を述べて質問に入ります。
 まず最初に、避難指示解除のあり方と被災者支援についてです。
 この間、国と市町村で実施してきた住民説明会では、除染が不十分、インフラ整備が進まず生活に不安だなど、現時点での避難指示解除は時期尚早との意見が相次いだと報告されています。
 戻りたい人がいる以上解除は当然との考えで解除が先行する形ですが、避難者からの時期尚早との意見は排除されてしまっています。帰還を希望する人とそうでない人を対立させるようなことは避けるべきです。
 昨年の9月5日に避難解除された楢葉町は、九カ月経過しても帰還したのは7.3%にとどまり、大部分は戻れていません。2017年3月までの避難解除が先にありきではなく、県が市町村や住民の声をよく聞き、調整の役割を果たすべきと思いますが、知事の考えを伺います。
 帰還したい人に対しては、準備宿泊期間を延長することで対応し、その間にさらに帰還できる条件を整備すべきと思いますが、県の考えを伺います。
 避難指示解除への批判が強いのは、賠償打ち切りとの関係があるからです。避難解除されても帰還できない避難者が少なくない被害の実態を踏まえ、精神的賠償は2018年4月以降も継続するよう東電に求めるべきですが、県の考えを伺います。
 次に、旧緊急時避難準備区域の被災者支援についてです。
 原発事故の年の9月に緊急時避難準備区域が解除となった4市町村の避難者は、国の避難指示ではなく市町村の指示により、個人の意思にかかわらず避難を強いられました。しかし、この5年間、国の指示による避難区域との比較では大きな不利益をこうむってきたと思います。
 県は新年度予算で旧緊急時避難準備区域の市町村に対して一律5億円を交付しました。この交付金をめぐって自治体は苦労しています。対象人口2千2百人の川内村が地域振興券の形で1人22万円分の交付を決定、対象人口が約2倍の広野町は、町の財政調整基金を取り崩し、義援金と合わせて川内村に匹敵する1人当たり21万円を地域振興券と現金で交付する方針と報道されたのです。対象人口が4万人を超す南相馬市は個人に配ることはしない方針です。この交付金が、精神的賠償が2012年8月末で終了した埋め合わせとして、旧緊急時避難準備区域の住民への支援を目的にしたものと私は理解しています。
 県は自治体一律5億円とした早期帰還・生活再建支援交付金事業のあり方を見直し、一人一人の生活再建に活用できるよう使途と金額を再検討すべきですが、県の考えを伺います。
 県はこの区域の避難者も自主避難者とみなして、来年3月で仮設住宅を終了し、帰還を促すとしています。しかし、生活圏が今も避難指示が続く区域だった地域が多く、医療機関やインフラも未整備で戻っても生活できないとの声が上がっているのです。
 県は旧緊急時避難準備区域の住民の思いや不安を真摯に受けとめ、仮設住宅の供与を続けるべきと思いますが、県の考えを伺います。
 また、この地域の長期避難による荒廃住宅の解体について災害廃棄物処理事業として国に実施を求めるべきですが、県の考えを伺います。
 次に、牧草地の除染に伴う家畜への影響についてです。
 原発事故後、出産後に牛が立てなくなり死亡する事例が相次いで報告されており、カリウム過剰による牛への影響と思われます。私が初めてこの問題を把握したのはことしの4月初旬。そして、4月26日に県農民連が行った国と東電交渉の席で、当該事例を抱える2件の農家が参加し、実態を示して国に指導と対処を求めたのです。
 県は国からの調査依頼に基づき、2件の農家から聞き取り調査を実施しています。県は除染に伴うものとは考えにくいと考えているようですが、酪農家は牛のことは誰よりもよくわかっている、通常の管理を誤るようなことはないと話しており、農家の責任にすべきではないと考えます。畜産の専門家や農家の意見を聞いても今回の事態は異常だと指摘します。
 同様の症状は、私が直接農家から聞いた別の事例のほか、他の地区にもあると聞き及んでおり、調査は獣医師等からの聞き取りを含め全県的に行うべきですが、県の考えを伺います。
 除染による高カリウム土壌や施肥から生産される牧草類のミネラルバランスの懸念は当初からあり、県も専門家も給与に当たっての注意を喚起してきたことは事実です。
 しかし、今回異常が発生した酪農家は、こうした問題が起きることを知ったのはことしの1月で、JAの担当者も知らなかったとのことですから、県の周知徹底が不十分だったのではないでしょうか。今回の問題は、放射能汚染対策として高カリウムの土壌を人為的につくらざるを得なかったところに問題があると考えます。
 自給の牧草利用は今後拡大することから、酪農家への利用方法の周知徹底を図るべきですが、県の考えを伺います。
 カリウム過剰による牛への影響を防ぐために、酪農家の負担なしで土壌分析、牧草の成分分析、牛の血液検査を適宜行う必要があると思われますが、県の対応を伺います。
 牛の死亡多発で窮地に立つ県内の酪農家が経営を継続することができるよう支援を強化すべきですが、県の考えを伺います。
 自給が可能となった地域において、東電の賠償への対応が厳しくなっていると言われます。飼料の購入費用に対して適切な賠償がなされるよう東電に求めるべきですが、県の考えを伺います。
 次に、賠償についてです。
 東電は、県の商工3団体の1月の要望に対し、相当因果関係を判断する客観的データを示すと回答、個別的にデータを示していますが、その実態はおおよそ相当因果関係なしと立証するにはほど遠いものです。
 ある自動車関係の事業者は、福島県の自動車販売台数はふえているとのデータを示して、長年の営業努力で積み上げてきた顧客との信頼関係が避難により壊されたのに、あなたの営業努力不足だとして断定されて、値切られています。賠償がこのように東電の加害者主導でいいのでしょうか。
 そこで、商工業等に係る営業損害賠償について、原発事故との相当因果関係の判断根拠を開示するよう東電に求めるべきですが、県の考えを伺います。
 また、一旦支払った営業損害賠償金を、払い過ぎたからと東電から返還を求められる事例すら生まれていると聞きます。4月26日の県農民連交渉では、避難区域外の農家に対する賠償の出し渋りも明らかになりました。
 今も出荷制限が続く福島市のあんぽ柿生産農家では、一昨年までは出ていた賠償金が、去年は請求しても出ていません。この農家は柿が成木に近づいた時期に原発事故が起きたため、木の成長につれて見込み出荷数量が増加することから、東電は柿畑で数本の木から柿をもぎ取り、実際の収穫量を確認し、賠償金を支払っていたと言います。
 2015年分も東電社員が九人も来て収穫量を確認したのに、なぜ賠償金を出さないのかと東電に迫ったのに対して、原発事故前の2010年の基準年をもとに精査中と答えただけです。これは、2010年の生産量を超えるものは賠償しないと賠償の考え方を変更したとしか考えられず、東電の対応はいかにも不適切、不誠実です。出荷制限がある農産物に対して、このような賠償渋りは許されません。
 農林業の営業損害について、実態に応じて直ちに適切な賠償を行うよう東電に強く求めるべきですが、県の考えを伺います。
 また、避難指示区域内の農林業に係る営業損害賠償が2017年1月以降も被害に応じて継続されるよう指針の策定を原子力損害賠償紛争審査会に求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。
 次に、除染についてです。
 住宅除染が終了に近づきつつある中で、追加除染の要望もふえており、福島市は約5千カ所の追加除染必要箇所があると報告しています。
 国が昨年末に示した追加的除染の実施に係る手順について県は国にどのような要望を行ってきたか伺います。
 重要なことは、これまで除染の目安にしてきた空間放射線量率毎時0.23マイクロシーベルトを堅持させることです。追加的除染も空間線量率毎時0.23マイクロシーベルト以上を目安に実施すべきですが、県の考えを伺います。
 次に、国保広域化についてです。
 国保法の改定により、国保事業は2018年度から都道府県事業に移行されることになりました。加入者は低所得者が多い事業であるため、市町村はさまざまな国保税軽減措置をとってきました。広域化によって市町村独自事業がなくなり、結果的に国保税負担が増加するのではないかとの不安が出されています。
 国保税については、これまでどおり市町村ごとに税率を決定してもよいとされており、そうすべきと考えますが、福島県の国保税率一本化についての考え方を伺うとともに、広域化後に国保税の加入者負担増とならないようにすべきですが、県の考えを伺います。
 国は2015年度から広域化に向けた対策として、1,700億円の保険者支援金を交付していますが、県内で実際に国保税を軽減したのは20自治体にとどまっています。県は拡充された支援制度が国保税軽減に充当されるよう市町村に徹底すべきですが、考えを伺います。
 消費税増税を先送りしたこととの関連で、2017年度からの国保事業への3千4百億円の支援金を圧縮するのではないかと伝えられています。この支援金は国が国保広域化を都道府県に認めさせるための条件とも言うべきもので、約束違反は許されません。
 国保事業に対する国からの財政支援は圧縮することなく確保するよう国に強く求めるべきですが、県の考えを伺います。
 そもそも消費税増税と国保事業の支援金をリンクさせる手法は改めるべきです。タックスヘイブンでケイマン諸島にため込まれた資金に1割の税金を課すだけで7兆円の財源が生まれるわけですから、応能負担の原則に立った税の集め方に転換すればいいのです。個人消費が2年連続してマイナスとなり、労働者の賃金が5年連続で減り続けるもとで、社会保障の切り下げによる暮らし破壊は認められません。
 県は消費税増税の先送りを口実にした社会保障の切り捨ては行わないよう強く国に求めるべきですが、見解を伺います。
 新年度県予算では県が実施する子供の医療費無料化による国のペナルティー分を市町村に支援するため2億円の予算が組まれています。しかし、市町村国保が実際に受けている国からのペナルティーは県事業にとどまらず、子供の医療費無料化の市町村実施分、重度障がい者医療費無料化を現物給付するものが対象とされ、2013年度で見ると全県で約5億2千万円もの国庫負担金が減額されたことになります。
 重度障がい者医療費無料制度は県と市町村の制度であり、市町村にペナルティーをかけること自体が不当です。
 国保の国庫負担の減額調整、いわゆるペナルティーの廃止を国に求めるべきですが、考えを伺うとともに、市町村支援として子供の医療費助成事業以外のペナルティー分についても支援すべきですが、県の考えを伺います。
 次に、後期高齢者医療制度についてです。
 75歳以上の高齢者だけを対象にした後期高齢者医療制度がスタートして八年になりました。社会保険の扶養家族だった人からも新たに保険料を徴収するなど、発足前から高齢者差別の医療制度だと強い批判があり、国は保険料の軽減特例を行わざるを得なかったのです。
 ところが、国は加入者の55%が対象となっているこの保険料の軽減特例を廃止しようとしています。社会保険扶養家族だった高齢者では、均等割額の一割だった保険料負担が全額負担となり、最大10倍にも引き上げられるのです。福島県では国民年金満額年78万円しかない人は、年額4,100円だった保険料が41,700円にもなるのです。わずかな年金しかない高齢者の生活を直撃する制度改悪は許されません。
 県は全国に誇れる長寿の県を目指す立場からも、後期高齢者医療の保険料軽減特例措置を廃止しないよう国に強く求めるべきですが、県の考えを伺います。
 最後に、子育て支援についてです。
 「保育所落ちた。」一人の母親のつぶやきが衝撃を与え、保育所待機児童の解消は政治の大きな課題となっています。子供の数はふえないのに待機児童数がふえてきたのは、子育て世帯の生活困窮があるからで、収入に応じて保育料が決まる認可保育所への希望者がふえるのは当然です。増大する待機児童に見合う保育所整備が進んでいません。
 日本共産党は4月、待機児童解消のための緊急提言を発表し、緊急に30万人分の認可保育所をつくり、保育士確保対策として賃金を月10万円引き上げることを提案しました。安倍政権が打ち出したのは保育士の賃金わずか月6千円引き上げですから、極めて不十分です。
 子ども・子育て新制度では、認可保育所に入所を希望し、市町村が認定すれば入所可能となり、入れなければ待機児となります。新制度に基づく実際の待機児童は何人か伺います。
 待機児童解消のためには、認可保育所を大幅に増設しなければなりません。今年度の県内の認可保育所整備状況について伺うとともに、待機児童はどれだけ解消できるか伺います。
 保育所増設のため、用地確保のための支援策や施設整備のための事業者負担軽減についても県の独自策を講じるべきです。県の考えを伺います。
 認可保育所不足を補い、延長保育や夜間保育など多様な保育ニーズに柔軟に対応してきたのは無認可の保育所でした。一方で保育環境の問題も指摘されており、子供は最良の環境で育成されるとした子どもの権利条約に照らし、無認可への適切な指導と援助が不可欠です。
 県内の無認可保育所の施設数と入所している児童数は何人かお示しください。その中で県から補助を受けている無認可保育所の施設数をお聞かせください。
 無認可保育所は保護者の収入にかかわりなく保育料は同額、公金はほとんど入らないため厳しい経営状況にあります。県の運営費補助は、3歳未満児の児童数に応じ、年額でわずか1人当たり2万円という低額なものです。
 無認可の施設整備と保育士の処遇改善で保育環境の改善が図られるよう補助金額を大幅に引き上げること、あわせて対象年齢制限を撤廃すべきですが、県の考えを伺います。
 県内総額でもわずか1,200万円程度だった無認可保育所への補助金のうちほぼ半額を占める教材費等の補助金が2015年度から廃止されました。小規模保育所への移行支援に切りかえたとのことですが、小規模保育所への移行は全県で26カ所と思ったほど進んでいません。この実態を見るなら県はこの補助金を復活すべきですが、どうお考えかお伺いし、私の質問を終わります。


議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の御質問にお答えいたします。


 避難指示の解除についてであります。
 避難地域においては、除染やインフラの整備、生活関連サービスの復旧等が進み、今月12日には葛尾村、14日には川内村で避難指示が解除され、南相馬市、飯舘村における解除も決定いたしました。避難指示の解除は、一律かつ強制的な避難を強いる措置の解除であり、戻りたいと考える方の帰還が可能となり、人の動きもふえ、経済活動が活発化をする真の復興に向けた大事な一歩となるものであります。
 県といたしましては、地域の将来を見据え、復旧・復興に取り組んでいる市町村の立場を最大限に尊重するとともに、住民説明会等において住民の皆さんのさまざまな意見を丁寧に伺いながら、一人でも多くの方が帰還したいと思えるよう、引き続き国、市町村と連携をしてさまざまな課題解決を図り、避難地域の復興の実現に向け取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。

生活環境部長(尾形淳一君)お答えいたします。


 荒廃家屋の解体につきましては、避難指示や立ち入り制限によって家屋の管理ができない状態が長期間継続したことを理由に、汚染廃棄物対策地域内に限定し、国が市町村や住民の意向を踏まえ特例的に実施しているところであり、旧緊急時避難準備区域内において同様の対応を国に求めることは困難と考えております。
 次に、追加的除染の実施手順につきましては、事後モニタリング等で除染効果が維持されていないと確認された箇所について、それぞれの現場状況に応じて個別に対応するとの考え方を基本に、現在国において検討が進められております。
 県といたしましては、国に対し、追加的除染の円滑な実施に向けて市町村意見の丁寧な聴取やこれまでの知見を踏まえ、より簡便な手順による迅速な実施を可能とするよう要望してきており、引き続き必要な追加的除染が確実に実施されるよう求めてまいる考えであります。
 次に、追加的除染の実施の目安につきましては、国が現在検討している実施手順においても除染の長期的な目標である追加被曝線量年間1ミリシーベルトを実施の基準としており、県といたしましては引き続きこの目標を堅持することはもとより、追加的除染への十分な理解の促進に向け、市町村に対する丁寧な説明を国に求めてまいります。


保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。


 国保税率の一本化につきましては、広域化後もこれまでどおり税率を市町村が決定することとされており、また、平成26年度の1人当たりの国保税額も1.7倍の格差があるため現状では難しいと考えております。
 次に、広域化後の市町村の国保税率につきましては、広域化による税率への影響を緩和するため国において全額国費による特例基金の設置などが検討されており、県といたしましてもその検討状況を注視して対応してまいりたいと考えております。
 次に、拡充された保険者支援制度につきましては、広域化に向けて市町村の財政基盤を強化するため公費を追加投入したものであり、具体的な財源の活用については、市町村が国保の財政状況を踏まえ判断するものと考えております。
 次に、国保事業への国の財政支援につきましては、国保の財政基盤を強化するため平成27年1月に国の社会保障制度改革推進本部において決定された事項であります。県といたしましては、国保の制度改革に向けた予算確保について今月国に要望したところであり、今後も全国知事会と連携を図り、強く要望してまいります。
 次に、社会保障につきましては、県民生活の根幹をなす重要な制度であることから、本県の医療や介護、子育て支援施策に影響が出ないよう必要な予算の確保について引き続き国に対して要望してまいります。
 次に、国保の国庫負担の減額調整につきましては、市町村の国保財政に大きな影響を及ぼしているためこれまでも国に対し制度の廃止を繰り返し要望してきたところであり、今後も強く要望してまいります。
 次に、子どもの医療費助成事業以外の減額調整分への支援につきましては、市町村の判断で実施している事業への県の助成は困難であり、減額調整制度そのものの廃止について国に強く要望しているところであります。
 次に、後期高齢者医療の保険料軽減特例措置につきましては、国の医療保険制度改革に伴い持続可能な保険制度とするため見直しの対象とされたところであります。県といたしましては、この見直しが被保険者にとって過度の負担や急激な変化とならないよう、きめ細かな激変緩和措置を今後とも国に要望してまいります。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 家畜への影響評価につきましては、家畜伝染病予防法に基づき、全ての畜産農家に対しては年1回の定期報告を求め、県においても年1回以上の立入調査を実施し、飼養管理状況の把握に努めているほか、異常を疑う獣医師からの随時の報告も加味し、迅速な原因の究明と改善指導に努めております。
 なお、今回の事案を受け、今後の酪農経営の不安解消に向けて改めて全酪農家に対し詳細な調査を行っているところです。
 次に、自給の牧草の利用方法につきましては、平成25年4月以降、市町村や関係団体を通じた周知に加え、各地方ごとの研修会の開催、個別巡回指導や立入調査時に全酪農家への徹底を図ってきたところです。
 今後も県と酪農団体等で情報共有し、酪農家への周知に努めてまいります。
 次に、カリウム過剰による牛への影響を防ぐための土壌分析等につきましては、市町村や農協等が行う土壌及び牧草の分析経費について営農再開支援事業により全額が助成されるほか、疾病の疑われる牛の血液検査については酪農家や獣医師からの申し出により家畜保健衛生所が無償で実施しているところです。
 次に、酪農家の経営継続への支援につきましては、牛の導入等に対する助成、飼料の購入への無利子融資、さらには低利の運転資金の貸し付けを実施しているほか、不安を抱える酪農家に対しては飼料の給与方法を初めとする飼養管理や疾病の予防などの衛生管理について技術支援を行っているところであり、今後も家畜保健衛生所を中心としてきめ細かな対応に努めてまいります。

原子力損害対策担当理事(大島幸一君)お答えいたします。


 精神的損害に対する賠償の継続につきましては、原子力損害賠償の指針において区域の状況や被害者の個別具体的な事情に応じて柔軟に判断すべきとの考えが示されているところであります。引き続き東京電力に対し、被害の実情を踏まえた賠償がなされるよう求めてまいります。
 次に、早期帰還・生活再建支援交付金事業につきましては、旧緊急時避難準備区域においては住民の帰還や生活再建に向けて依然としてさまざまな課題があることから、市町村がそれぞれの実情に応じて行うきめ細かな取り組みを支援するため、幅広い使途に活用できるものとし、一律の補助としたものであります。引き続き市町村と連携しながら、事業が円滑に実施されるよう取り組んでまいります。
 次に、酪農に係る飼料の購入費用につきましては、原子力損害賠償の指針において追加的費用として必要かつ合理的な範囲で賠償すべきとの考えが示されております。引き続き東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害者の立場に立った賠償を行うよう求めてまいります。
 次に、商工業等の営業損害につきましては、東京電力に対し、事業者への賠償の対応に相違が生じることのないよう原発事故との相当因果関係の判断根拠を公表するとともに、関係団体や事業者に周知するよう求めてきたところであります。引き続き事業者の立場に立った賠償がなされるよう取り組んでまいります。
 次に、農林業の営業損害につきましては依然として出荷制限や風評による被害が発生していることから、原子力損害対策協議会の活動等を通し、十分な賠償を確実に継続するよう東京電力に求めてきたところであります。引き続きJA等の関係団体と連携し、個別具体的な事情への対応も含め、被害の実態に見合った賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。
 次に、避難指示区域内の農林業に係る営業損害の賠償につきましては、原子力損害賠償の指針において個別具体的な事情に応じて合理的に終期を判断することが適当とされているとともに、被害者への柔軟かつ誠実な対応が東京電力に求められているところであります。引き続き原子力損害対策協議会の活動等を通し、的確な賠償がなされるよう取り組んでまいります。


避難地域復興局長(成田良洋君)お答えいたします。


 帰還に向けた準備宿泊につきましては、除染の進捗、インフラの復旧などおおむね環境が整ったところから国が市町村と協議し、実施期間を3カ月として開始いたしますが、その間生活環境の整備状況や市町村住民との協議を踏まえ、必要に応じ期間が延長されております。県といたしましては、今後もこの考えに基づき実施されるものと考えております。
 次に、仮設住宅の供与につきましては、旧緊急時避難準備区域においても除染の進捗、食品の安全性の確保等生活環境が整いつつある中、応急救助という災害救助法の考え方から平成29年4月以降の延長は困難と判断し、県による新たな支援策へと移行することとしたところであります。


こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。


 待機児童につきましては、厚生労働省が全国の市区町村を対象に実施している調査では、本年4月1日現在県内の13市町村で待機児童が生じており、その合計は462人となっております。
 次に、今年度の県内の認可保育施設の整備につきましては、安心こども基金特別対策事業補助金や認定こども園施設整備交付金などにより、12市町により45施設が整備予定となっております。
 次に、認可保育施設の整備による待機児童の解消につきましては、今年度12市町における45施設の整備により、合計で1,856人分の受け入れ定員が増加する見込みとなっております。
 次に、事業者の負担軽減につきましては、施設整備に伴う工事費用のほか、新たに土地を賃借して認可保育施設を設置する場合の土地の借料などについて補助を行っているところであり、引き続き事業者の負担が軽減されるよう支援してまいります。
 次に、県内の認可外保育施設数及び入所児童数につきましては、厚生労働省が行った調査では、平成27年3月末現在で施設数は129施設、入所児童数は3,267人であります。
 次に、県から補助を受けている認可外保育施設数につきましては、平成27年度において42施設であります。
 次に、認可外保育施設への補助の引き上げにつきましては、保育の質を確保するため認可外保育施設から認可保育施設や小規模保育施設への移行を支援する施策を推進しており、現行制度により認可外保育施設を支援してまいる考えであります。
 次に、認可外保育施設の運営費補助に係る対象年齢制限の撤廃につきましては、食事、排せつ等において多くの介助を必要とする零歳児から2歳児までの低年齢児の保育の質を確保するため、保育従事者を適正に配置している施設に対し運営費の補助を行っているところであり、引き続き低年齢児の保育の質の確保に取り組んでまいる考えであります。
 次に、認可外保育施設への補助につきましては、入所児童の健康診断経費や低年齢児の保育に要する経費の支援を継続し、入所児童の処遇の向上と福祉の増進を図ってまいる考えであります。


二十五番(宮本しづえ君)再質問いたします。


 まず最初に、知事に再質問いたします。
 避難指示の解除についてですけれども、避難指示の解除についてはどの住民説明会でも必ず時期尚早との意見が多数を占めるという状況があるということですけれども、このような状況を知事はどのように受けとめているのか、改めてその受けとめをお聞かせいただきたいと思うのです。
 今のようなやり方で避難指示が解除されていくならば、説明会は単なるセレモニーにすぎなくなるのではないでしょうか。避難者の意見を聞いて、なお必要な対策を講じながら時期を判断するというのが順当なやり方だと思います。国は早く避難指示を解除したいようですけれども、住民は納得していない。このはざまでどのような判断をすべきかが問われているわけです。
 先日楢葉の仮設で街頭宣伝をやろうとしたら、そこから飛び出してきた女性が、もう自分たちは見捨てられていくのだろうかと、もう泣き出してしまったというような事例も報告をされているわけです。県は県民に寄り添う立場で調整をすべきではないかと思いますが、現在までに県の役割というのは見えてきていません。必要性について、知事の基本的な考え方を伺いたいと思います。
 きょうのお昼のニュースでは、楢葉町の大型商業施設の開設を1年延期するという報道がなされました。昨年の9月5日の解除が適切だったのかどうかが問われているのではないでしょうか。こういう事態も踏まえて、改めて避難指示のあり方、解除ありきではない、こういう調整について県が役割を発揮すべきだと考えますので、知事の考えを伺いたいと思います。
 二つ目は、旧緊急避難準備区域問題について、原子力損害対策担当理事に伺います。
 県の早期帰還・生活再建支援交付金事業についてですが、要綱では避難者が戻っていない現状から、早期帰還と生活再建を支援するための交付金を交付するとしていて、避難者の生活再建支援が主たる目的とされています。
 ところが、県は交付金の使途に制限を設けて、現金給付は対象外としたのです。避難者がどこでどのように生活を再建するのかは避難者が決める問題です。避難指示区域との賠償の差を埋めるのであれば、現金給付が最も避難者が自由に選択できる方法です。現金給付はだめとする要綱の見直しをすべきではないかと思いますが、県の考えを伺います。
 また、町が発行する地域振興券について、当該の避難元でなければ使用できないというような制限を加えている自治体もあるようですけれども、これについて県はどのような指導をしているのかお聞かせください。
 さらに、原発事故に伴う牛の影響についてですけれども、農水部長に再度お聞きをいたします。
 全酪農家を対象に調査を行うということです。これは適切な措置だというふうに私は考えます。いつまでにやろうとしているのか、おおむねの時期の目安をお聞かせをいただきたいと思います。
 そして、土壌や牧草や牛の血液検査について、農家の負担なしでやれるように営農再開支援事業があるということですけれども、実はこの事業、まだまだ市町村が知らないというところがあるのです。だから、市町村がこれをやらなければ、結局農家負担ということになってしまいますので、この事業の周知徹底をあわせて図る必要があるというふうに考えますけれども、この点について部長の考え方を改めてお聞かせをいただきたいと思います。
 さらに、子育て支援担当理事に伺います。
 私は、認可保育所の不足分を無認可が補ってきたという、その役割をしっかり受けとめて、やっぱり無認可に対する助成をしっかりやるべきだというふうに思います。今、無認可に対してたった1,200万しか出ていなかった。それを2015年から半分の教材費等の補助金をばっさりと削ってしまった。これは余りにもひどいではありませんか。だから、その復活を求めているわけです。
 だって、認可が足りないのだから、無認可に預かってもらうしかないのです。そこの中で子供が良好な環境で保育が受けられるような環境をつくるというのが県の役割ではないでしょうか。そういう点からも、この補助金の復活を改めて求めるものですが、理事の改めての答弁を求めます。


議長(杉山純一君)二十五番議員に申し上げます。


 原子力損害対策担当理事への質問の中で、振興券に対する質問がありましたが、これは要旨と違いますので、発言は認められませんので、申し上げます。
 それから、答弁を求める際は、答弁者をしっかり申し上げてから質問に入るように申し上げます。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えをいたします。


 避難指示の解除につきましては、県、市町村、住民との十分な協議等を踏まえ国が判断することとしており、県といたしましては復旧・復興に取り組んでいる市町村の立場を最大限に尊重するとともに、一人でも多くの方が帰還したいと思えるよう、国、市町村と連携をして、医療、商業機能の充実など生活環境の整備に取り組んでまいります。


農林水産部長(小野和彦君)再質問にお答えいたします。


 2点質問ございました。1点目でございますが、農家に対しての調査ということでございます。県内全ての346戸の農家に対しまして現在聞き取り調査を行っておりまして、近日中には全ての結果が集計できるというふうに捉えております。
 もう1点でございますが、農家の負担なしの検査についての市町村等への周知ということでございますが、現在確かに今年度で6市町村において取り組みがなされている状況を踏まえまして、取り組みが進んでいないところにつきましては引き続き制度の周知に努めてまいりたいと考えております。


原子力損害対策担当理事(大島幸一君)再質問にお答えいたします。


 早期帰還・生活再建支援交付金事業につきましては、旧緊急時避難準備区域のある市町村が住民の帰還や生活再建に向けて、それぞれの実情に応じて行うきめ細かな取り組みを後押しするために幅広い使途に活用できるものとし、一律の補助を行うこととしたものでありますが、事業の目的に沿った効果が確認できないような使途につきましては対象とならないものといたしております。


こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。


 認可外保育施設への補助、特に教材費の補助を復活すべきということでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、県といたしましては保育の質という観点から、認可外保育施設から認可保育施設、小規模保育施設への移行というものを支援していくというのが基本的な考えでございまして、認可外保育施設に対する補助につきましては現行制度により行っていきたいと考えております。
 現行の補助につきましては、入所児童の健康診断経費、それから低年齢児の保育に要する経費という直接子供たちの処遇に関する補助金を特に支援しているというところでございます。


25番(宮本しづえ君)再々質問いたします。


 まず最初に、知事に避難解除の問題でもう一度お聞きをしたいと思うのです。
 どうも避難解除されればそれが復興なのだという形をつくろうとしているのではないかという、こんな懸念を私は持ちます。避難者自身はやっぱりまだまださまざまな要件で戻れる環境にない。そのことは、去年の9月5五日に避難指示が解除された楢葉町で、まだ7.3%しか戻っていないということに何よりも如実に示されているのだと思うのです。
 避難者の皆さんの不安というのはさまざまです。一人一人みんな異なりますよね。だけれども、それはしっかり受けとめるしかないのだと思うのです。その上で、では解除のあり方をどうしたらいいのかということをしっかり検討するというのが筋なのではないでしょうか。
 何か避難解除がされれば、それは復興に向かうのだし、あとは個別的に対応しますというようなやり方だけで本当に避難者が納得できるかというと、そうではないのだと思うのです。だから、きょうの新聞でも山木屋で国は説明会をやりたかったようだけれども、説明会をやれば住民との協議はやりましたという形がつくられるから、あとは避難解除に一気に進んでいくのではないかという住民の不安があって説明会の開催が延期されるようだというような、こういうことになっているわけです。
 ですから、住民の不安がどこにあるのかというのをしっかり踏まえて、そしてそういう避難者、県民に寄り添って、県は国や市町村と調整をするという役割をしっかり果たすというのが基本だと思うのです。避難解除ありきというような形だけはとるべきではないというふうに思いますので、改めて知事の考えを伺っておきたいと思います。
 それから、旧緊急時避難準備区域に対する早期帰還の交付金事業について、これは損害対策担当理事にお伺いをいたしますけれども、現金だとその交付金の効果が確認できないからだめなのだということですよね。だけれども、では現金だったら、現金が必ず効果がないものに使われてしまうなんていうことを誰が決めつけることができるのですか。
 それよりも何よりも現金も含められれば、もっと避難されている皆さんが、帰還したい人もいる、さまざまなこれからの再建を選択する際に、もっと自由にそのお金を使って自分の生活再建に生かせるわけですよね。だけれども、今のやり方だと使い方が限定されてしまいますので、逆にそれは生活再建の支援にも障害になりかねないのだと思うのです。
 だから、県が考えているのと実態は私は逆だというふうに考えます。ですから、もっと自由度の高い、使い勝手をよくすることで、なお当該市町村と協議をすべきではないかというふうに考えますので、改めて見解を伺っておきたいと思います。
 それから、避難地域復興局長に伺います。
 どの自治体も旧緊急時避難準備区域で戻ったのは6割、広野町がこの間ようやく5割を超えたという報道がありました。ところが、もう県は来年の3月で仮設住宅は終わりですということにするわけですよね。このことについての避難者の不安というのは非常に大きいものがあります。今戸別訪問やっているので、皆さんも具体的にそういう不安の声も聞いておられると思うのですけれども、避難の指示が誰だったかによって、今仮設も終わりかどうかが決められてしまっているという、これが実態です。
 だけれども、住民にしてみれば、これは市町村が避難指示したものであっても、避難指示を受けて避難しているという点では同じなのです。だから、国の避難区域と同じように扱って、もう来年の3月で終わりなんていう冷たいことをしないで延長して、しっかり避難者の皆さんが再建できるように支援するというのが避難地域復興局の本来の仕事ではありませんか。そういう立場で、もう一度局長の考え方を伺っておきたいと思います。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えをいたします。


 まず、基本的なスタンスであります。避難指示の解除はゴールではありません。当該地域の真の復興に向けた大事なスタートであります。県といたしましては住民の皆さんの御意見を丁寧に伺いながら、復旧・復興に悩みながら懸命に取り組んでいる市町村の立場を最大限に尊重して、さまざまな課題解決を前に進めて、避難地域の復興実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。


原子力損害対策担当理事(大島幸一君)再質問にお答えいたします。

 早期帰還・生活再建支援交付金事業についてであります。現金給付につきましては事業の効果の確認が難しいことや、また、個人の資産形成につながるおそれがあるということから使途の対象外としているところでございます。
 また、交付金につきましては、当該事業の趣旨を踏まえながら、住民にとってできるだけ使い勝手のよいものになりますように、市町村とともに取り組んでまいる考えであります。


避難地域復興局長(成田良洋君)再質問にお答えいたします。


 旧緊急時避難準備区域の仮設住宅についてでありますが、考え方については先ほど答弁したとおりでございます。
 なお、避難されている方々に先の見通しを持っていただくように、新しい支援策については余裕を持って昨年中にお示しをしたところでありまして、あと今町と連携して戸別訪問を実施しておりますので、一人一人の声をお聞きして丁寧に対応してまいりたいと考えております。


議長(杉山純一君)これをもって、宮本しづえ君の質問を終わります。

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