知事定例記者会見
■日時 令和7年11月10日(月曜日)10時00分~10時24分
■会場 応接室
【発表事項】
1 欧州訪問について
【質問事項】
1 知事就任三期目残り1年について
2 県の課題について
3 残り1年の任期での重点的な取り組みについて
4 四期目について
5 今後重視する取り組みについて
6 長期的な取り組みについて
7 燃料デブリの試験的取り出しから1年
8 郡山駅前の混雑緩和に向けた社会実験について
9 中国による日本産水産物の輸入再開について
10 廃旅館について
11 デフリンピックに期待することについて
【発表事項】
来年1月10日から17日にかけて、再生可能エネルギー・水素等に関する経済交流や県産品の取引拡大を図るため、スペイン、オランダ、ドイツの欧州3か国を訪問いたします。
今回の欧州訪問の目的は、三つあります。
一つ目は、スペイン・バスク州、ドイツ・ハンブルク州及びノルトライン=ヴェストファーレン州の各州政府と、再生可能エネルギーや水素、医療関連産業等に関する連携覚書を更新し、各政府の関係者の方々と会談を行うなど、更なる経済交流に向けて、より強固な信頼関係を築いてまいります。
二つ目は、現地でビジネスセミナーを開催し、震災と原発事故から15年の節目を迎えようとする本県の復興の歩みと、これまでの御支援に対する感謝の思いを現地の皆さんに直接お伝えしてまいります。あわせて、県内における水素の利活用に関する先進的な取組など、再生可能エネルギー先駆けの地を目指して挑戦を続ける「福島の今」を発信してまいります。
三つ目は、現地の輸入事業者等の方々と連携しながら、飲食店関係者や卸事業者の皆さんへのトップセールスを通じて、県産日本酒の品質の高さなどを直接お伝えし、県産品の取引拡大につなげてまいります。
今回の欧州訪問を通じて、福島への理解と共感の輪を拡げるとともに、連携の更なる強化と県産品の販路拡大を図ってまいります。
【質問事項】
【記者】
知事の三期目について、始めにお尋ねしたいと思います。
今週で残り任期1年となります。この三期目の3年間で進んできた部分、成果の部分を、知事としてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
知事就任三期目も、間もなく残り1年となります。
三期目においても、就任以来掲げてきた現場主義の理念の下、県内各地に足を運び、復興や地方創生に向けて懸命に挑戦を続けておられる多くの方々から、様々な声を伺い、それらを県政に反映する努力を続けてきました。
また、福島の正確な情報や県産品の安全性、魅力などを国内外に継続して発信するとともに、私自身が積極的にトップセールスや情報発信を展開するなど、本県の課題解決に向け、チャレンジを続けてきました。
そうした中で、昨年度は県産農産物の輸出量が過去最高を更新し、観光客入込数や移住者数も過去最多を記録するなど、これまでの挑戦の成果が目に見える形となって現れてきております。
また、避難地域では、特定帰還居住区域において除染等の取組が進められるなど、本県の復興は着実に前進していると受け止めております。
【記者】
残された課題、県政が抱える課題はどのように認識されていますか。
【知事】
今なお、原子力災害に伴う困難な課題が山積しています。
復興の進捗に伴って生じる新たな課題やニーズにも的確に対応していく必要があるなど、福島の復興に向けては、これからも長く厳しい戦いが続きます。
加えて、急激に進む人口減少や、頻発化・激甚化する自然災害への対応なども、確実に進めていく必要があると考えております。
人口減少の問題に関しては、社会減の問題、特に、若い世代や女性の県外流出が非常に大きな課題だと考えております。もちろん、進学や就職等に伴って、一定程度、転出されることはあるものだと思います。
一方、福島県内で我々と共に暮らし、仕事をしていただく若い世代をしっかりと確保していくことが、これからも対応すべき重要な課題だと考えております。
【記者】
あと残り1年の任期の期間では、特にどのようなところに重点的に取り組んでいくのかお伺いします。
【知事】
まず、福島県の原子力災害を含む複合災害からの復興に力を注いでまいります。
また、今後も起こりうる新たな自然災害への対応も適切に行い、防災・減災・県土強靱化に努めてまいります。
そして、もう一つの重要課題である人口減少の問題について、福島県のみならず、市町村、民間企業、事業者、関係団体、大学など、多くの方々と力を合わせて、オール福島で地方創生に取り組んでいくことに力を尽くしていきたいと考えております。
【記者】
四期目についてのお考えは、今の時点で何かありますでしょうか。
【知事】
まず、頂いた任期の中で、複合災害からの復興、そして、急激な人口減少への対応としての地方創生に力を尽くしてまいります。
【記者】
今の質問と関連しますが、三期目を振り返りますと、処理水の海洋放出や第3期復興・創生期間の枠組みなど、復興に関わる点で大きな部分についてめどを付けられたのではないかと考えています。特に、復興に関して、原発の廃炉も含め、1年や2年で終わるようなものではないと考えていますが、大きな問題にめどが付いた中、今後、最も重視して取り組みたい点を教えてください。
【知事】
福島県の複合災害からの復興について、第3期復興・創生期間の枠組みが定まり、一定程度のめどが付いたという御意見を頂きました。
確かに、第3期復興・創生期間における福島県の5年間にわたる財源については、石破政権の下、一定のフレームを示していただいたと受け止めております。
ただ、御承知のとおり、これまでの第1期復興・創生期間、第2期復興・創生期間、そして、これからの第3期復興・創生期間においても常に同じですが、一定の財源フレームがあったとしても、福島県や被災自治体、事業者の皆さんが実施する事業の予算化は、各年度の予算編成の中で決められるものであります。
したがって、全体としての財源フレームがあるからといって、今の時点で、我々が実施したいと考えている各年度の事業のめどが立っているわけではありません。
だからこそ、夏からこの冬に向けて、各省庁と精力的に協議を行っているところであります。
第3期復興・創生期間は来年度が初年度となります。県、自治体、そして関係の皆さんが復興のために実施する事業や、国に責任を果たしていただくべき事業などを、しっかりと国の令和8年度予算として編成していただくよう、私自身、先頭に立って対応していきたいと考えております。
また、特定帰還居住区域については、現在、除染が進んでおり、「2020年代において、希望される全ての方が古里に帰ることができるようにする」という政府、与党の基本方針の大枠が決まっていることは、間違いなく前進だと考えております。
一方、いろいろな地域の方々からは、「除染をもっと早くしてもらえないか」とのお話をお聞きします。現在、新たに任命された復興大臣、副大臣等が被災地域を回っておりますが、首長の皆さんからは、「もっと面的な除染をしてほしい、生活環境の復旧をできるだけ早くやって、安心して古里に帰れる状況をつくり出してほしい」という意見が常に出てまいります。
こうした地域の思いを、県も一緒になって政府に訴え、2020年代に希望される方が安心して古里に帰還することができるよう、除染、生活環境の形成に力を入れていくことも重要だと思います。
また、東京電力福島第一原発の廃炉についてであります。
この1年間は、大きなトラブルやミスは、比較的少なく、先般、私自身も、直接視察してまいりました。問題は、正にこれからであります。
ALPS処理水の海洋放出は、まだまだ長く続きます。これをミスなく安全に着実に進めていくことはもとより、燃料デブリ等の高線量な放射性物質を安全に取り出していくこと(が重要)。
そして、こうした取組を東京電力が責任を持って対応できるよう、政府自身が前面に立って取り組んでいただくとともに、政府と東京電力が県民の皆さんに対して安心をしっかり担保していただけるよう、県としても対応していきたいと考えております。
【記者】
いろいろめどは付いたものの、やはり復興の課題は、知事がおっしゃったとおり、山積しているのが現状かと思っています。
特に、知事はこれまで国に対して、様々な約束を守るように、要望等を続けてこられたかと思いますが、残り1年という三期目の中で、問題が解決するものは逆に少ないのかと思っておりまして、そうなると、その先を考えた取組が重要になるかと考えています。
先ほどの質問でも四期目に関して明言はされませんでしたが、そういった長期的な復興の課題に向けてどのように取り組んでいくのか、改めて教えていただければと思います。
【知事】
県では、福島県総合計画を策定しており、この計画の中で、各年度の数値目標を掲げながら、取組を進めているところであります。複合災害からの復興、あるいは、人口減少対策としての地方創生に向け、この1年間でなすべきことが間違いなくあります。
また、新しい政権のリーダーや、各大臣等にも、我々の思いをしっかり伝え、福島県の復興のために、また、日本全体の地方創生のために、力を尽くしていただくよう、私自身が頂いている任期の中で全力を尽くす、このことに尽きるかと思います。
【記者】
昨年初めて成功した、東京電力福島第一原発からのデブリの試験的取り出しから1年が経ちました。
二回目の取り出しも成功し、三回目は延期という形になっています。
本格的取り出しについて、今年電力は遅れが出る状況であると発表しました。
現在のデブリ取り出しに向けた進捗について、知事としてどのように受け止めているか教えてください。
【知事】
昨年11月に、2号機における燃料デブリの一回目の試験的取り出しが完了してから、1年余りが経過しました。
これまで二回の取り出しが実施されており、採取されたデブリについては、現在、JAEA大洗原子力工学研究所を始めとした複数の機関において、分析が進められています。
また、先般、東京電力から福島第一原発3号機における燃料デブリについて、本格的な取り出しに向けた準備作業の内容と、その工程等の検討結果が示されました。
先月の私の視察においても、東京電力から詳しい説明を受けています。
燃料デブリの取り出しは、長期にわたる福島第一原発の廃炉作業の中でも最難関とされており、その実現には、原子炉内部の正確な状況把握に加え、作業の安全確保や取り出した燃料デブリの一時保管の在り方など、多岐にわたる課題があります。
国及び東京電力においては、中長期ロードマップに基づき、安全を最優先に、廃炉作業を着実に進めていただきたいと考えております。
【記者】
今日から郡山駅前で混雑緩和に向けた社会実験が始まりますが、知事が期待している効果や、郡山という場所でこういった取組を行う意義について伺います。
【知事】
郡山駅前における混雑は、バス、タクシー、一般の乗用車など、様々な車が行き交う中で、これまで、市民の皆さんにとって重要な課題であったところです。
市長が代わられ、郡山駅前の混雑状況を是非、変えていきたいと、今回、新たな試行をされることは意義があると考えております。
これについては、県や国など、様々な関係機関等が連携する中で、より良い形を見い出しながら、今後の対策を練っていくことが何よりも重要であると考えております。
【記者】
ALPS処理水の放出を受けて中国政府が輸入を停止していた日本の水産物について、先週、輸入が再開されたという発表がありました。
まだ一部にとどまるというところですが、それについて、知事の受け止めを伺います。
【知事】
先週、ALPS処理水の海洋放出に伴って中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止して以降、初めて、北海道産のホタテ等が中国に向けて出荷されました。
こうした動きは、今年6月に中国が日本産水産物の全面輸入禁止措置を一部解除してから初めてのことであります。
一方、本県を含む10都県産の水産物及び食品等については、引き続き、輸入停止措置が継続されたままとなっています。
国においては、今後も科学的根拠に基づく正確な情報発信を行うなど、輸入規制の撤廃に向け、責任を持って取り組んでいただきたいと考えております。
県としても、引き続き、県産農林水産物の安全性を確保する取組を進めるとともに、国と連携しながら、科学的根拠に基づく正確な情報や県産農林水産物の魅力を積極的に発信するなど、輸入規制の撤廃に向けて取り組んでまいります。
【記者】
(国において)廃旅館の撤去費用に関する補助上限の引上げを含めた支援制度に関して、来年度の創設に向けた検討が進んでいます。
県内にも放置されている廃旅館がありますが、これに関する受け止めや跡地利活用に関するビジョン等があれば伺います。
【知事】
観光地等において、廃業された旅館等の建物が撤去されず、地域にとって非常に大きな問題となっていました。
これまで、自治体や民間事業者が独自の取組で対応し、時には、国に支援措置を講じていただくこともありましたが、今回は、更に一歩踏み込んだ新たな措置が出てくることを期待しております。
現時点で具体的なスキームや規模は明確でありませんが、報道等を拝見しておりますと、これまでよりも踏み込んだ対応となっております。
そうした動向を注視し、関係の自治体と情報をしっかりと共有しながら、これまで長い年月にわたっていた問題の解決に向け、一緒に取り組んでいきたいと思います。
【記者】
デフリンピックについて、いよいよ15日に東京大会が開幕し、福島県でもJヴィレッジがサッカーの会場になっています。
県内出身の選手もバスケや柔道に出場しますが、この大会に対する期待をお聞かせください。
【知事】
いよいよ今週末、東京2025デフリンピックサッカー競技が、福島復興のシンボルでもあるJヴィレッジにおいて開幕いたします。
15日に行われる開会式に先駆け、14日から実施される男子サッカー競技は、デフリンピック全競技の中で最初に始まる競技種目となります。
先週、県では応援ムードを更に盛り上げるため、デフサッカー日本代表と県内高校生らとのエキシビジョンマッチなど、開幕直前イベントを開催しました。
さらに、福島ならではの特別企画として、14日のサッカー競技開幕に合わせ、県主催のオープニングセレモニーを開催いたします。
また、15日には、東京会場の開会式を中継するサテライト開会式を実施し、フラダンスショーなどのステージイベントや、常磐ものの振る舞いなどを通して、選手や観客の皆さんをおもてなしの心でお迎えしたいと考えております。
あわせて、サッカー競技以外では、バスケットボール競技の越前由喜選手と山田洋貴選手、柔道競技の蒲生和麻選手といった本県ゆかりの選手が日本代表に選出されており、活躍が期待されています。
本大会は、音のない世界で限界に挑む世界最高峰の選手たちのプレーを間近で観戦することができる絶好の機会であります。
是非、県民の皆さんの熱い応援で、一緒にこの大会を盛り上げていただきたいと考えております。
(終了)
【発表事項】
1 欧州訪問について
→商工労働部次世代産業課 電話024-521-8284
→商工労働部医療関連産業集積推進室 電話024-521-8536
→商工労働部観光交流局県産品振興戦略課 電話024-521-8026
【質問事項】
7 燃料デブリの試験的取り出しから1年
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
8 郡山駅前の混雑緩和に向けた社会実験について
→土木部まちづくり推進課 電話024-521-3638
9 中国による日本産水産物の輸入再開について
→農林水産部農林企画課 電話024-521-8183
10 廃旅館について
→商工労働部観光交流局観光交流課 電話024-521-7316
11 デフリンピックに期待することについて
→企画調整部文化スポーツ局スポーツ課 電話024-521-7312