知事定例記者会見
■日時 令和7年10月20日(月曜日)10時00分~10時22分
■会場 応接室
【質問事項】
1 クマ出没への対策について
2 新たな政権枠組みについて
3 連立協議事項である国会議員の定数削減について
4 米国での福島県産日本酒のPRイベントについて
5 県内経済への相互関税の影響について
6 新政権について
7 主食用米の予想収穫量について
8 クマの観光業に与える影響について
9 西田敏行氏の逝去から1年について
【質問事項】
【記者】
クマの関係でお尋ねします。
クマの出没が過去最多となって、先週は人身事故も相次ぎました。16日には関係部局長会議を開いて警戒を強めたところだと思いますが、県として、人の居住地域まで進出しているクマに対して、どう対策を進めていくのか、改めて考えをお聞かせください。
あわせて、関係部局長会議の席上、知事から市町村に対する人的、財政的支援について言及がありました。具体的に検討されている支援の内容等がございましたら、お願いいたします。
【知事】
県内では、連日、人里や市街地でのクマの目撃が相次いでいます。
10月だけで6件の人身事故が発生しており、クマの目撃件数についても、(秋としては)過去最多だった令和2年と比べて今年は2倍以上となるなど、正に「非常事態」であります。
県としても、こうした状況について強い危機感を持っています。
16日には、緊急関係部局長会議を開催し、改めて各部局長に対し、県民の皆さんの安全を守ることを最優先に、クマ対策を徹底するよう指示したところであります。
また、17日には、クマの人身被害が連続している会津地域において、市町村や警察、猟友会、教育関係者の皆さんとの緊急連絡会議を開催し、「非常事態」を踏まえたクマ対策の強化などを確認しました。
この会議において、専門家の先生からこのようなお話がありました。
それは、子連れのクマや若いクマなどが人里でエサを得られることを学習し、繰り返し人里に出没するようになる「クマの人馴れ」が起きているということ。
さらには、クマの出没が増加していることに、地域住民の皆さんが慣れてしまい、クマに対する警戒が緩んでしまう「人のクマ慣れ」も起きていること。この二つが同時に起きてしまっていると指摘されています。
このため、県としては、県民の皆さんお一人お一人に危機感を持っていただけるよう、注意喚起を強化するとともに、引き続き、市町村の意見を丁寧に伺いながら、市町村に対する人的・財政的支援、そして実効性のある対策を早急に行ってまいります。
県民の皆さんにおかれては、今、「非常事態」にあることを、改めて強く認識していただき、自宅周辺にクマのエサとなるようなものが放置されていないか、自宅周辺や通学路、散歩コースなどでクマの目撃情報、痕跡等がないかといったことを確認していただくとともに、「目撃情報がある場所では朝夕の行動を避ける」「見通しの悪い場所には近づかない」「クマ鈴等を携帯し、クマに対して警戒を怠らない」など、お一人お一人が「自分事」としてクマへの警戒を強めていただくようお願いいたします。
【記者】
人的、財政的な支援の内容については、今、検討中ということでよろしいでしょうか。
【知事】
今、正に鋭意、検討中であります。
早急な対応が必要だと考えておりますので、市町村の御意見を伺いつつ対応していきたいと考えています。
【記者】
今、議論が進んでいる新たな政権の枠組みについてお尋ねします。
今日にも、自民党と日本維新の会が連立政権の合意書に署名をされるということです。
両党に望むことがあれば、お願いいたします。
【知事】
現在、首相指名選挙に向け、政党間において様々な調整や検討が行われております。その状況を注視してまいります。
その上で、明日、臨時国会において新たな総理大臣が誕生する見込みであります。
我が国、そして地方を取り巻く環境は厳しさを増しています。
物価高騰や米国の関税措置への対応を含めた経済対策を始め、深刻化する人口減少問題や社会保障、外交・安全保障、頻発化・激甚化する自然災害への対応など、様々な課題が山積する中、新総理におかれては、日本全体が抱える困難な課題の解決に向け、強い決意を持って取り組んでいただくことを期待しております。
また、福島の復興と地方創生を成し遂げるためには、これからも長く厳しい戦いが続きます。
このため、新政権においては、これまでの総理や内閣が引き継いでこられた、「福島の復興なくして日本の再生なし」との思いを強く胸に刻み、福島の復興・創生に真摯に取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
連立協議の中で国会議員の定数削減について、にわかに論点となっています。
地方に対する影響もあるかと思います。具体的な内容はこれからですが、この議論に対して、地方の知事として、注文と要望等があればお願いいたします。
【知事】
現在、協議事項の一つとして、国会議員定数の削減が挙げられています。
議員定数については、国会の場において丁寧に議論されるべきものと考えております。
特に、制度変更により、地方の声が国政の場に届きにくくなるといった支障等が生じることのないよう、慎重に対応していただきたいと考えております。
【記者】
先週、相互関税の影響が懸念される中で、米国ニューヨークで福島県の日本酒をPRするイベントが開かれました。
このタイミングでイベントが開かれた意義を、どのように考えていらっしゃるか伺います。
【知事】
トランプ大統領の関税政策により、輸出が非常に困難な状況となっております。
御承知のとおり、福島県産の農産物について、特に米国に対しては、お米や日本酒がこの数年間、非常に好調で、(輸出量が)過去最多を更新する大きな原動力になっておりました。
しかしながら、現在の関税政策の中で、日本酒を輸出し続けることが困難な状況になっています。
ただ一方で、米国の方々に、福島県産日本酒の品質の高さや、おいしさを今、相当理解し始めていただいておりますので、「ここを逃してはいけない」との思いがあります。
そこで今回、改めて福島県産日本酒の品質の良さや、おいしさを、特に、震災と原子力災害等を乗り越えて頑張っている酒蔵の皆さんの思いと共に発信しているところであります。
イベントにおいては、米国の皆さんから、「おいしい」「やっぱり福島の日本酒は良いね」と非常に高い評価を頂いておりますし、「是非、輸入したい」「販売したい」という方々もおられます。皆さんの御理解を頂きながら、関税政策の中、厳しい状況もありますが、福島のお酒を今後、米国を始め、世界の皆さんにお届けできるよう、県としても頑張っていきたいと考えています。
【記者】
今の話題に関連して、日本酒も含めて県内経済に相互関税の影響が確認されているものがあれば教えてください。
【知事】
これまで、今年度の当初予算、6月補正予算、9月補正予算において、トランプ大統領の関税政策に対して、県として先手を打って、例えば融資や補助金の制度を構築するなど、対策を行ってまいりました。
また、並行して、具体的な現場の声を聞くことを、関係団体等と連動して行っているところでありますが、現時点においては、大きな被害や厳しい状況は聞こえておりません。
ただ、今後の先行きに対して不安を持っている方や間接的に影響が出てきたとの声も出ておりますので、今後とも、米国の状況を注視しながら、その時点時点において、福島県が広域自治体として何ができるのか検討し、適切に対応していきたいと考えております。
また、いよいよ新しい政権も出来上がってまいります。これはオールジャパンの問題でありますので、是非、新しい総理大臣、新政権において、米国との関係、特に、関税関係をより良い形にしていただくことを期待し、全国知事会としても、その点を政府に強く求めていきたいと思います。
【記者】
国政について、連立の枠組みがこれまでの自民党・公明党から自民党・日本維新の会に変わる見通しです。
復興に関しては、これまでの路線の継続を求めていく立場かと思いますが、今後の予算要望も含めて、県として、明日誕生する新政権にどのように向き合っていくかについて教えてください。
【知事】
明日の臨時国会において、新しい総理大臣が指名され、組閣がなされます。そして、組閣後に新しい内閣の全貌が見えてくる。その時点において、連立の枠組みが明確になっているかと思います。現時点においては、その状況を注視しているところであります。
一方で、福島県の複合災害からの復興、特に、原子力災害からの復興は、これからも長い道のりが継続します。まだまだ復興の途上にあって、これからも政府が責任を持って、最後の最後まで福島の復興に向き合い、結果を出していくことが何よりも重要であると考えております。
また、新しい総理、新しい政権に対して、福島がこの14年余り、どういう努力を続けてここまで復興の歩みを進めてきたのか、残念ながら今後も長い復興の道のりがこの先にあって、非常に厳しい状況がこれからも続くということを、私自身が、しっかりと訴えながら、「福島の復興なくして日本の再生なし」、政府が最後の最後まで責任を果たしていただけるよう、求め続けてまいります。
【記者】
主食用米の予想収穫量について、福島県は全国で最も増加量が多い見込みとの統計が先日発表されました。
これについて、どのように受け止められているのか。今後の米相場について、消費者の視点に立てば価格下落を期待しますし、生産者の視点に立てば主食用米に転換した農家は価格下落に懸念の声も上がるかと思います。
そういった意味で、県として何か消費者や生産者に考えられる働きかけ、支援などがあれば教えてください。
【知事】
先般、国は令和7年産主食用米の作付状況及び予想収穫量を公表しました。
作付状況については、全国的に主食用米の作付が増加している中、本県の作付面積は6万7,000ヘクタール、前年比1万500ヘクタールの増加となり、増加面積は全国で最も多くなっています。
また、福島県の予想収穫量は38万4,600トン、前年比6万3,100トンの増加でありました。作付面積の増加に加え、総じて天候に恵まれたことにより、コメの収穫量も増加したものと考えています。
今回から新たに設けられた作況単収指数について、福島県は101と見込まれています。県としては、引き続き、コメの需給に関する動向を注視してまいります
また、生産者の皆さんにとって、米価が非常に重要であります。一方で、消費者の皆さんも様々な食料品等の物価高騰の中で、コメの値段が高いことに対して、非常に強い関心を持っておられます。
政府に対して、これまでも求めておりますのは、生産者の皆さんが、これからも持続可能で、コメを安心してつくり育てることができる政策をしっかりと講じていただくことと、消費者の皆さんが、日々の食卓等でコメをおいしく頂ける状況をつくり出すことです。このバランスが何よりも重要であろうかと思います。
明日、新しい総理が誕生されます。新政権においても、このコメ政策の在り方については、国民や生産者の皆さんが見守っている重要な政策でありますので、農林水産省、政府として、しっかりと力を注いでいただきたいと考えております。
【記者】
クマの話題です。今年は、あづま総合運動公園で行われているイチョウのライトアップが、クマの影響で中止とのリリースも頂きましたが、クマによる観光業へ与える影響への懸念、それに対する県の支援策など、考えていることがあれば、お願いします。
【知事】
あづま総合運動公園のライトアップや、そのほかの各種イベントも、これまでのクマの出没によって、急遽中止、内容の変更等に至っていることを残念に思います。
一方で、このクマの問題は、福島県のみならず、全国各地で起きているものであります。今後、環境省や市町村と連動しながら、このクマ対策を速やかに講じてまいります。
先ほどお話したとおり、今後、人的支援、財政的支援等も含め、市町村と連動しながら観光の面でも、皆さんがより安心できる環境をつくっていくために、県としても努力を重ねていきたいと考えております。
この問題には特効薬があるわけではありません。是非、県民の皆さんには、日々の注意をお願いいたします。
また、観光面においては、来年いよいよデスティネーションキャンペーン本番になるわけですが、今後、本番DC、アフターDCにおいては、クマが冬眠を終える出熊の状況等にも配慮した上で、DCの枠組みも検討していかなければいけないと考えております。
いずれにしても、「これが特効薬」というものはありませんので、我々にできること、市町村にできることを、一つ一つ積み重ねていきたいと考えています。
【記者】
西田敏行さんが亡くなられてから17日で1年が経ちました。
県民だけでなく多くの方々がまだ西田さんを慕って、いろいろ思いを寄せている状況かと思います。
知事も親交が深かったと思いますが、改めて西田さんの功績をどのように振り返りますか。
今のお気持ちを聞かせていただければと思います。
【知事】
昨年10月17日に西田敏行さんが逝去されましてから一年が経過しました。出身地の郡山市では、先月、西田さんのこれまでの功績を伝える企画展が開催され、多くの方々が来場され、西田さんを偲んでおられました。
西田さんは、国民的俳優として、また、歌手、司会、ナレーターなど、幅広い分野で活躍され、県民を始め、多くの方々を笑顔にし、感動を届けてくれました。正に福島の宝、県民の誇りであります。
また、「しゃくなげ大使」としても、本県のPR等に多大なる御協力を頂きました。
西田さんの生前の御厚情に対し、県民を代表して深く感謝を申し上げますとともに、心から哀悼の意を表します。
私自身、西田さんとの関わりが幾度もありました。
その中で印象に残っていることをお話しさせていただきますと、震災と原発事故が起きた、2011年9月に、福島の復興支援を目的とした野外ロックフェスが郡山で開催されました。
そのフェスに参加をされた西田さんは、御自身の福島復興への思いを込めた新曲「あの街に生まれて」を熱唱されました。西田さんは目に涙を浮かべながら、歌詞の最後の部分を変えて、こう歌っておられました。
「胸を張り 誇らしく 福島で生まれたこと」と。
私は、この歌を直接聞いており、そこの部分が非常に心に響いたところであります。原発事故で誇りを失いかけていた私たち県民に、西田さんは再び「福島県民の誇り」「福島プライド」を思い起こさせてくれました。その場におられた多くの観客の皆さんが目に涙を浮かべながら聞き入っておられた姿を、今も忘れることができません。
こうした西田さんの愛する福島、その福島のために発せられた言葉の一つ一つが、復興に向けて歩む私たち県民の背中を優しく押して、再び前に進むための大きな力になりました。
西田さんは、これからも私たちの心の中に生き続け、笑顔で応援していただけると考えております。
(終了)
【質問事項】
1 クマ出没への対策について
→生活環境部自然保護課 電話024-521-7740
4 米国での福島県産日本酒のPRイベントについて
→商工労働部観光交流局県産品振興戦略課 電話024-521-1167
5 県内経済への相互関税の影響について
→商工労働部観光交流局県産品振興戦略 電話024-521-8026
→商工労働部経営金融課 電話024-521-7288
7 主食用米の予想収穫量について
→農林水産部水田畑作課 電話024-521-7359
8 クマの観光業に与える影響について
→商工労働部観光交流局観光交流課 電話024-521-7316
→生活環境部自然保護課 電話024-521-7740
9 西田敏行氏の逝去から1年について
→総務部県民広聴室 電話024-521-7016