知事定例記者会見
■日時 令和7年10月6日(月曜日)10時00分~10時19分
■会場 応接室
【質問事項】
1 自民党総裁選挙の結果について
2 令和8年度予算の確保へ向けた取組について
3 双葉町の特定帰還居住区域における立入規制緩和について
4 再生可能エネルギーの導入について
5 大熊町の帰還困難区域内で発生した住宅不法侵入事案について
【質問事項】
【記者】
自民党の総裁選についてお尋ねします。自民党の新総裁に高市さんが選出されました。首相に指名されれば初の女性首相ということになります。
知事の所感や、期待、注文があればお願いします。
【知事】
新たに自由民主党総裁に選出された高市早苗氏に心からお祝いを申し上げます。
我が国、そして地方を取り巻く環境は厳しさを増しています。
物価高騰や米国の関税措置への対応を含めた経済対策を始め、社会保障や深刻化する人口減少問題、外交・安全保障、頻発化・激甚化する自然災害への対応など様々な課題が山積する中、高市新総裁におかれては、日本全体が抱える困難な課題の解決に向け、強い決意を持って取り組んでいただくことを期待しています。
また、福島の復興・創生を成し遂げるためには、今後も長く厳しい戦いが続くことから、これまでの総裁が引き継いでこられた「福島の復興なくして日本の再生なし」との思いを胸に強く刻み、福島の復興・創生に真摯に取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
知事は高市新総裁とはこれまでに面識はございますか。あれば、印象に残っているエピソードをお聞かせ頂ければと思います。
【知事】
私が霞ヶ関にいたとき、直接レクをしたこともございますし、知事として6回、高市新総裁にお会いしております。
印象に残っておりますのは、平成26年11月18日、私が福島県知事に初めて当選した直後に、挨拶まわりで伺ったときのことです。
当時、高市新総裁は総務大臣でした。私が副知事時代から東日本大震災と原発事故の問題にずっと関わってきたことをよく御存じで、「本当にここまで御苦労を重ねてこられた。今回、福島県知事に当選されたことをうれしく思う」とのお祝いのメッセージを頂きました。
その上で、「福島県は、本当に苦労がまだまだ続くので、総務省を挙げて、これからも福島県のことを応援するから頑張ってください」という温かい激励の言葉を頂いたことを覚えております。
また、令和元年東日本台風の発災から間もなく、私がこの災害に関する緊急要望で総務大臣要望に伺い、政府の緊急対策本部にも当時の高市総務大臣と一緒に出席しておりましたが、特に、総務省関係の要望に伺った際、福島県が東日本大震災と原発事故に加えて、この令和元年の台風災害に遭ったことに対するお見舞いのメッセージとともに、「こういった問題を解決していくために、財政支援を含め、総務省を挙げてしっかり支援する」とのお言葉を頂きました。発災直後に私が伺ったものですから、「厳しい状況の中で、わざわざ足を運んでいただいて申し訳ない」と言っておられたことが印象に残っております。
【記者】
石破総理大臣の期間中に復興に関して決まったことが多々あるかと思います。
第3期復興・創生期間の事業規模や、除染土に関して閣僚が連携して取り組むこと、ロードマップなど、具体的に決まったことがあると思いますが、こういったことに対して、高市新総裁にはどのように具体的に取り組んでいただき、また、福島県に足を運ぶという意味で、どのように福島県と向き合ってもらいたいとお考えか教えてください。
【知事】
まず、高市新総裁におかれては、これまでの総裁が引き継いでこられた「福島の復興なくして日本の再生なし」、「閣僚全員が復興大臣である」といった、強い思いを心に置いて、実際に被災地に足を運んでいただき、被災地の状況、避難者の皆さんのお気持ち等を受け止めながら、福島の復興に真摯に取り組んでいただくことを期待しております。
また、石破総理には、この一年間、福島の復興に懸命に取り組んでいただきました。
第3期復興・創生期間における財源の確保や制度の安定化などをしっかり行っていただいたほか、中間貯蔵施設における除去土壌等の県外最終処分についても、ロードマップで一つ前進していただきました。
高市新総裁においては、是非、こうした石破政権時代における進捗を心に置き、ベースとしながら、新総裁として福島の復興に真剣に向き合って、前進させていただくことを期待しております。
【記者】
第3期復興・創生期間の5年間の大枠は決まっていますが、令和8年度、単年度の予算はまだ示されていない状況だと思います。来年度の予算確保に向けて、どのように取り組んでいくか改めて教えてください。
【知事】
ただ今、御指摘がありましたとおり、第3期復興・創生期間において、1.6兆円が福島県分の財源ということで、第2期復興・創生期間を大きく上回る形で方向性を示していただいております。これは大きな前進だと考えております。
ただ一方で、これはあくまでも全体の財源フレームでありますので、各年度における予算措置が、しっかりなされるのかがポイントであります。
令和8年度予算、正に国との協議は現在進行形で真っ最中であります。
先般の概算要求において、一定の方向性が示され、福島県がこれまで、この半年近く要望してきた事項が一定程度、盛り込まれた形になっております。
ただし、今後新総裁、新政権になりますので、石破政権での流れが引き継がれるとともに、令和8年度予算(の概算要求では)、事項要求となっているものがあるなど、我々の思いと霞ヶ関の皆さんの思いが、完全にかみ合っているわけではありません。だからこそ、先ほど協議は現在進行形だと申し上げました。
こういった点の細部も含めて、年末の予算編成において、しっかり福島県民の思い、被災地の思いが、政権の中に届いて実現されるように、私自身が先頭に立って協議を続けてまいります。
【記者】
先日、双葉町が3行政区の一部で、11月4日に立入規制を緩和する方針が示されました。
もし実現すれば、宅地での立入規制の緩和は初めてになると思いますが、知事の受け止めをお願いします。
【知事】
御承知のとおり、双葉町は避難地域12市町村の中でも、避難指示解除までに一番時間がかかった自治体であります。
双葉町において、今回、新しい形で規制が緩和されることは、双葉町にとって重要な一歩になると思います。
まず、家に帰るときに、いろいろな規制がなく、非常にスムーズに出入りできることによって、住民の皆さんはこれまで遠かった古里をより近く感じることができるようになります。
これによって、これから幾度も、古里に帰り、自宅を御覧になり、庭を見ながら、やはり帰ろうかなと思っていただける方が一人でも多く増えていくことを期待しております。
ただ一方で、こういった規制が緩和されることによって、治安や安全安心の面で、マイナスの方向になる部分もございますので、こういった点は県警察本部や町、関係機関と連携して、住民の皆さんが、「古里は大丈夫だな、安心だな」と思っていただけるような体制を構築していく必要があると考えております。
双葉町を始め、避難地域の市町村は、それぞれ進捗状況が全部異なっていますので、その異なっている中でも、しっかりと古里の未来に希望があることを感じていただけるように、県としても一緒に取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
再生可能エネルギーについてお尋ねできればと思います。
昨年度の福島県の再エネの導入割合は(エネルギー消費量の)約6割となり、県が目指す、先駆けの地が実現しつつあります。一方で、導入拡大に伴いまして、地域とのあつれきも生じるようになってきました。
今後、県としてはどのような形で再エネ導入を進めていくお考えでしょうか。また、改めて導入目標についても教えてください。
【知事】
ただ今、頂いた御質問、非常に重要な要素を幾つか含んでおりますので、少し丁寧にお話しさせてください。
福島県は、2011年3月に、東京電力福島第一原発の過酷な事故に見舞われました。
日本でも世界でも類例を見ない甚大な被害を受け、今なお、原発事故からの復興は現在進行形であります。しかも、今後の道行きもまだまだ長いという状況にあります。
そんな原子力災害に見舞われた福島県だからこそ、未来のエネルギーとして、再生可能エネルギーを主役にしていく、100%にしていく目標を立て、一歩一歩、その歩みを進めているところであります。
この14年間で再生可能エネルギーの割合が一定程度増えてきた部分は、原子力災害に見舞われた福島県の取組として、重要な前進であったと考えております。
一方で、近年、大規模な開発を伴う再エネ設備の設置事業が、福島県も含め、全国各地で大きな社会問題となっております。これは正に国全体の問題でもあります。
再エネの導入を進めるに当たっては、再エネの種別や規模にかかわらず、法令を遵守し、地元の方々の御理解の下、安全や環境、景観に十分に配慮し、地域との共生を図ることが重要であります。
このため、国においては、再エネ特措法等を改正し、地域と共生した再エネの導入に向け、地域住民の皆さんに対する事前周知等を認定の要件としました。
あわせて、法令等に違反した事業者に対しては、FIT交付金等を停止する措置を創設するなど、事業規律の強化が図られたところであります。
まずは、こうした対応が実効性を伴って適切に運用されることが重要であります。
県としても、県内の再エネ事業の現状や課題等について、随時、国と情報を共有するとともに、市町村に対しては、国への通報システムを積極的に活用するよう周知しているところであります。
また、再エネ関連施設の整備に伴う「林地開発許可」については、申請に基づいた適切な開発がなされるよう、関係法令に基づき、必要な確認と指導を徹底しています。その際、林地開発によって災害や水害が発生しないよう、造成工事を行う前に調整池等の防災施設の整備を先行するよう指導しており、許可条件に違反していることが確認されれば、直ちに中止を指示するなど、事業者を指導しています。
今年4月からは、林地開発許可に係る中止・復旧命令や許可取消しなどの監督処分等を行った事業者名を公表するなど、不適切な開発の抑制に向けて対策を強化したほか、近接する林地開発の一体性についても判断基準を見直すとともに、現場での指導などを強化することとしています。
さらに、先般の9月定例会で成立しました、「福島県水源地域保全条例」では、土地取引に係る事前届出制度や立入調査等制度など、森林法に基づく対応を補完しながら、水源地域における適正な土地利用を図るための措置などを講じることとしています。
本条例の施行後は、条例で定める対象区域内のメガソーラー等についても、こうした措置の対象となるため、情報の速やかな把握に努め、水源涵養機能が損なわれるような場合には、適切な利用や管理が図られるよう、関係機関と連携して対応してまいります。
【記者】
再エネに関して、規制や監視、指導等を強めるとのお話しもあったと思います。
一方で、防災や災害という部分だけではなかなか対応ができない、新たな課題も、福島市のメガソーラーなどで発生してきていると思います。
こういったメガソーラーを巡る様々な問題について、内堀知事として、事業者や市民に対してどういったことを求めるか、県としてはそういった問題に対してどういう立場で臨むかを伺えればと思います。
【知事】
今お話ししましたが、県として、これまで以上に適切な対応がなされるよう、新たに策定した制度などをいかしながら、丁寧に取り組んでまいります。
また、先ほど申しましたとおり、国の制度も非常に強化されたところでありますので、こういった規律性が担保されるよう、県、市町村が連携して取り組んでいくことが重要です。
特に、景観についての制度等については、市町村等が所管していただいておりますので、自治体自身がそれぞれの思いで一つ一つの事案にしっかり向き合っていただくことが必要であり、国や県、市町村、関係機関が連携しながら取り組んでいきたいと思います。
【記者】
先月、大熊町の帰還困難区域にウクライナ国籍の人が不法に侵入し、逮捕された事案がありました。こういった看過できないような事案について、どのように受け止められているか。例えば、警備を強化するとか、何か要望するなどの対応を考えられていることがあれば教えてください。
【知事】
先ほど双葉町の案件でもお話ししましたが、こういった問題は深刻な状況にあると受け止めております。これまでも、避難指示が出ている地域、特に、帰還困難区域等においていくつか発生しているかと思います。
県としては、県警察本部や地元自治体と連携し、パトロールを強化する中で、特に古里を離れて避難生活を続けておられる住民の皆さんが、安心して古里のことを思うことができるように、懸命に取り組んでいきたいと考えています。
(終了)
【質問事項】
2 令和8年度予算の確保へ向けた取組について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
3 双葉町の特定帰還居住区域における立入規制緩和について
→企画調整部避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434
4 再生可能エネルギーの導入について
→企画調整部エネルギー課 電話024-521-8417
→企画調整部復興・総合計画課土地水対策室 電話024-521-7123
→生活環境部環境共生課 電話024-521-8515
→生活環境部自然保護課 電話024-521-7209
→農林水産部森林保全課 電話024-521-7442
→土木部河川計画課 電話024-521-7484
5 大熊町の帰還困難区域内で発生した住宅不法侵入事案について
→企画調整部避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434