知事定例記者会見
■日時 令和7年6月16日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 日本郵便(株)の貨物運送事業許可取消による影響
2 復興推進委員会(新たな基本方針(案))について
3 復興推進委員会(委員発言)について
4 復興推進委員会(福島再生加速化交付金の取扱い)について
5 県民世論調査の結果について
6 双葉町における特定帰還居住区域の避難指示解除の方針
7 除去土壌等の県外最終処分について
8 「若年型甲状腺癌研究会」からの要望書について
9 大阪・関西万博について
10 復興の現状の理解促進について
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【質問事項】
【記者】
日本郵便(株)の一連の問題を受けて伺います。
過疎地も多い福島においては、ユニバーサルサービスの維持が特に重要なものだと思います。
そして、それに対し村上総務大臣から懸念の声も上がってきました。
県との連携協定もあるようですが、こちらには産品を送るふるさと小包への掲載の取組も盛り込まれています。様々な影響も危惧されるわけですが、知事の受け止めをお聞かせください。
【知事】
日本郵便(株)でありますが、最近、様々な問題、課題等が浮き彫りになっております。
こういう状況の中で大切なことは、ユニバーサルサービスです。全国において、しっかりと郵便物、あるいは様々な物品等を適切に送り届けていただくこと。
そして、それぞれの地域において郵便局が、非常に重要な役割を果たしています。
特に、我々は協定によって、日本郵便(株)を始め、郵便関係の皆さんからいろいろな御協力を頂きながら、地域の活性化や地方創生に取り組んでいるところであります。
是非、目の前にある課題を解決していただきながら、ユニバーサルサービスを維持できるよう、組織一丸となって取り組んでいただきたいと考えています。
【記者】
復興財源についてお尋ねします。
先週13日の復興推進委員会で、第2期復興・創生期間後となる、2026年度から5年間の財源として1兆9,000億円程度を確保するとの基本方針案が正式に示されました。
このうち本県分は1兆6,000億円程度と見込まれているということです。
知事も委員会に出席なさいましたが、この基本方針の受け止めと、次の5年間の財源を有効に活用するために、どのような分野に特に力を入れていかなければならないのか、それから国にどのようなことを求めていくのか、お考えをお聞かせください。
【知事】
先週開催された国の復興推進委員会において、「『第2期復興・創生期間』以降における東日本大震災からの復興の基本方針」の見直し案が示されました。
この見直し案の取りまとめに当たっては、県や市町村の意見を丁寧に聞き取っていただき、今後、復興を更に進める上で必要となる取組を盛り込んでいただきました。
特に、事業規模及び財源については、全体として次の5年間で1.9兆円程度、そのうち福島分として1.6兆円程度を確保するとされたところであります。
復興の基本方針の見直し案については、今後、閣議により決定されるものでありますが、福島分の1.6兆円程度という規模は、第2期復興・創生期間を大きく上回る額であります。
石破総理、伊藤復興大臣を始め、政府においては、福島県が訴え続けてきた切実な思いに真摯に向き合い、福島の実情をしっかりと理解していただいたものと受け止めております。
第2期復興・創生期間後の5年間については、例えば、特定復興再生拠点区域の生活環境整備が本格化するとともに、特定帰還居住区域のインフラ整備、福島イノベーション・コースト構想の更なる推進、根強く残る風評への対策など、新たな課題やニーズへの対応が必要となります。
令和8年度は次の5年間の初年度となります。県としては、大事な令和8年度予算の確保に取り組むとともに、復興の進捗に伴って生じる新たな課題等に対応するためにも、必要な財源が確実に確保されるよう、引き続き、国に訴えてまいります。
【記者】
復興推進委員会、私もオンラインで傍聴しましたが、会議の席上、国見町の(株)陽と人の小林さんから、「復興に係る極めて重要な決定の場に女性や若者の意見を」という指摘がありました。
人口流出が続く本県にとって、そういう面からも非常に重要な指摘だったかと思いました。
この復興事業を進めるに当たって、若者それから女性の意見を、どのように取り入れていくのか、知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
先日、復興推進委員会において、小林委員からそのような御指摘がありました。私も全く同感であります。
御承知のとおり、県において、例えば、復興、地方創生等に関係する検討の場、委員会、審議会等を設ける場合には、できる限り女性、さらに今後は、若い世代の意見を取り入れていきたいと考えているところであります。
特に今後、地方創生に向け、官民が連携・共創するための新たなチームを立ち上げますが、女性は当然のこととして、それに加え、若い世代が手薄であろうと考えております。大学生を始め、若い世代に入っていただいて、積極的に御意見を頂き、その意見を形にしていく。まず、県自身が若者・女性(の意見)に、耳を傾け、その思いを県政に反映させていくことにしっかり取り組んでいきたいと考えております。
また、私自身これまで、例えばF-REIの検討の場、あるいは、先日、福島イノベーション・コースト構想の青写真の見直しがございましたが、その検討の場においても、オープンの場では、ほとんどが男性で、女性は数えるほどしかいません。
こうした状況で、福島イノベーション・コースト構想であったり、F-REIの今後の道行きを決定していくことで本当にバランスがとれているのか。また、ベテランの御意見ももちろん大事でありますが、若い世代の意見もやはり聞くべきだということを明確に申しているところであります。
様々な状況がありますので、全部を機械的にというわけにはいかないかもしれませんが、「福島県は、できる限り若者や女性の声をしっかり聞くんだ」、そして「復興と地方創生を進めるに当たって、彼らの思いを心の真ん中に置くんだ」ということを、そういう検討の場においても、形で示していくことができるよう、私自身、力を尽くしていきたいと考えています。
【記者】
復興推進委員会の関連で、原子力被災地の現状と総括、課題をまとめた中で、「広域連携」、「広域課題」という言葉が非常にたくさん、10か所以上出てくるのですが、具体的に、福島再生加速化交付金について、財源配分は国より市町村に近い県が担っていくのが適切ではないかという文言が載っています。さらに地元負担を一部導入する方向の見直しも必要ではないかという指摘があります。
この点について県知事の見解、県としての見解を教えてください。
【知事】
復興推進委員会の委員の皆さんは幾度も福島県を訪問し、現地の状況や、地域の皆さんの思いを受け止めていただいております。
昨年の行政事業レビュー、あるいは総括ワーキンググループ等において一定の議論があったところでありますが、現在、国においては、今回の見直し方針案のような形で、我々の思いに寄り添った形でまとめていただいていると考えております。
その上で、広域連携というものの在り方は重要であります。来年は、震災と原発事故から15年となります。
それぞれの自治体において頑張っていただくことももちろん重要でありますが、あれだけの原発事故によって法律に基づく避難指示を受けるという特殊な状況を経験した被災自治体だからこそ、一定の連携を行い、そこに広域自治体である県がしっかり関与していく、一緒に取り組んでいくということは、あのエリアの復興にとって極めて重要だと考えております。
県としても、委員の皆さんの考えをしっかり頭に置きながら、広域自治体としての役割を果たしていきたいと考えています。
【記者】
週末に、福島民報さんと福島テレビで実施した世論調査の件でお伺いします。
参院選について重視する点を伺いましたところ、およそ半数が消費減税や給付など物価高対策というふうに答えられました。
復興ですとか福祉医療、それを大きく超えてこの点が重視されているというところ、知事としての受け止めをお伺いできますでしょうか。
【知事】
今回の調査結果は、厳しい物価高が続く中、生活や仕事に不安を抱えておられる県民の皆さんの思いが表れたものと受け止めております。
特に、日本人にとって主食とも言えるお米の値段に対しても、恐らく県民、国民の皆さんの関心は極めて高いと考えております。
先週には石破総理と野党党首による党首討論が行われるなど、国会においても、この物価高の問題について、様々な議論が正面から行われているところであります。
各党におかれては、物価高騰などで厳しい状況にある国民生活を守るため、国民の皆さんの声をしっかりと受け止めながら、具体の政策を考え、議論を深めていただくことが重要であると考えております。
【記者】
双葉町の伊澤町長から、町内の特定帰還居住区域の一部について、2026年度、来年度の避難指示解除を目指すと表明されました。
これに対し知事の受け止めですとか、今後県としてどのように関わっていくか、お伺いします。
【知事】
先週、双葉町議会において、伊澤町長から下長塚、三字、羽鳥の3行政区の特定帰還居住区域について、令和8年度中の避難指示解除を目指すという考えが示されました。
県としては、地元自治体である双葉町の御意向を踏まえながら、速やかに避難指示の解除がなされるよう、町や国と共にインフラや生活環境の整備に取り組んでまいります。
また、帰還意向をお持ちの全ての住民の皆さんが、一日も早く古里に帰還することができるよう、引き続き、国に対し、早期の避難指示解除に向け、除染等に取り組むよう強く求めてまいります。
【記者】
除去土壌の県外最終処分についてお伺いします。
夏にも示される最終処分と再生利用の工程表について、政府はまず、段階的に取り組む内容を示すべきだと判断したとして、法定期限の2045年3月までの全体像ではなく、当面5年間のみを示す方針です。
被災地からは今後の処分の道筋を明確にしてほしいとの声があり、最終処分の道筋が不明確なまま取組が進むという懸念もあります。
この方針を知事はどう受け止めていらっしゃるか教えてください。
【知事】
まず、基本的な考え方であります。
先般、国の全閣僚による推進会議において、「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針」が決定されました。
除去土壌等の県外最終処分の実現に向け、政府一丸となって取り組むための重要な方針が示されたと受け止めております。
国においては、県外最終処分の確実な実施に向け、今回示された基本方針を踏まえ、政府一丸となって取組を更に加速させるとともに、最後まで責任を持って対応していただきたいと考えております。
その上で、今、御指摘がありましたとおり、各自治体、あるいは地域の皆さんからは、より具体的な工程、方向性を明示してほしいという声を幾度も伺っております。
先週、私が政府に要望活動を行った際にも、この点について環境大臣に対し要請を行ったところであります。今はまだ具体的なロードマップ、道筋というものが示されているわけではありませんので、住民の皆さんが不安なく安心感を持って、2045年3月に向けてしっかり進んでいると実感することができるよう、政府においては、先般、私から直接お話しした要望を踏まえ、それに沿った対応をしていただきたいと考えております。
【記者】
県の甲状腺検査について伺います。
東京電力福島第一原発事故時に18歳以下だった県民を対象に、県が実施を続けていると思います。先日12日に検査の元責任者の方が立ち上げた団体が、検査に関して過剰診断の問題があるとして、県に要望書を提出したと思います。
そちらについて知事の受け止めと、甲状腺検査の必要性を運用面も含めて、いつまで続けるのか、知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
先週、若年型甲状腺癌研究会から、甲状腺検査の見直し等を求める要望書が県に提出されました。
甲状腺検査の在り方については、県民健康調査検討委員会等において議論がなされていることから、県としては、専門家の皆さんによる議論や、意見を踏まえながら対応してまいります。
その上で、甲状腺検査に関する基本的なスタンスについてお話をします。
県においては、原発事故を踏まえ、甲状腺がんに対する県民の皆さんの不安に応えるとともに、子どもたちの健康を長期に見守るため、県民健康調査において甲状腺検査を実施してきました。
甲状腺検査評価部会では、「甲状腺がんと放射線被ばくの間で関連は認められない」との見解が示されるとともに、震災時に放射線に感受性の高い乳幼児であった世代への継続した見守りの必要性も示されているところであります。
県としては、甲状腺検査のメリットとデメリットを踏まえ、任意性を担保した上で、対象となる方々の理解と同意を得て実施することが重要であると認識しております。
引き続き、検査を希望される方が、円滑に検査を受けることができるよう対応してまいります。
また、検査の在り方については、調査検討委員会において検討がなされているため、その議論を注視してまいります。
【記者】
万博の会場で絆まつりが行われましたが、改めて知事のお考え、受け止めをお伺いします。
【知事】
大阪・関西万博の会場において、東北6県の絆まつり、それぞれの地域のすばらしいお祭りを多くの方々に見ていただくという機会を頂きました。
前半は悪天候もありましたが、その後は、参加された方々がしっかりとオープンの場でも踊ることができ、被災地域の頑張りや努力を、お祭りという形に乗せて国内外に発信することができたと受け止めております。
また、5月に行われた復興庁、経済産業省の展示、こちらにも5万人近くの方々に実際に展示を見ていただき、復興の状況、福島の今についても思いを馳せていただきました。
今回の6県の祭りを見た方々からも「すばらしいお祭りだ」「是非、行ってみたい」という声も上がっておりました。
大阪・関西万博の場において、福島、東北の今を正確に発信することで、共感を得る、そして、できれば今後、我々のもとに来ていただくというすばらしいチャンスになっていると考えております。
来月には福島県単独の出展を予定しておりますし、そのほかの機会も含めて、できる限り、福島の今、魅力、そして復興の現状、一方で抱えている課題も積極的に発信していきたいと考えております。
【記者】
復興財源の関係で、第2期以降の5年間の財源確保の目処が立った一方で、いつまで復興予算を確保しなければいけないのかというような心ない声が上がっていたと聞いております。
第2期以降の5年間のあとも、息の長い復興支援や取組が必要だと個人的には思っていますが、国民の方々にそういった福島の現状をどう理解していってもらえばいいのか、知事のお考えをお聞かせ願えればと思います。
【知事】
今の御質問に対して大切なキーワードが二つあると思います。
一つ目は、「風化」です。
震災と原発事故から10年以上が経過しております。
やはり歳月が経つにつれ、人々の関心が薄らいでいくのは、どうしてもやむを得ない部分があります。
この14年間においても、全国各地で大きな災害に見舞われましたし、世界においては、戦争、あるいは新型感染症の問題など、様々な大きな課題が次々に現れております。
そういう中で、あの震災と原発事故の問題が一定程度風化していくことはやむを得ない部分があると思います。
ただ問題は、福島県の震災と原発事故からの復興は、長い戦いであるということです。
この「長い戦い」が二つ目のキーワードです。
どのぐらい長いかと言いますと、まず、除去土壌等の県外最終処分は、2045年3月までに法律上果たされるべきということになっておりますが、先ほどの御質問にあったとおり、まだ具体的な工程、方針、ロードマップが示されている訳ではありません。
あるいは、東京電力福島第一原発の廃炉は、現在、ロードマップで2051年までとなっておりますが、一方で最近、一部の専門家等からは、そこまでに燃料デブリ等の取り出しができるのかという疑問、懸念の声が上がっていることも事実であります。
また、昨日、小泉農林水産大臣が福島県を訪れ、県漁連の野崎会長等と意見交換をしておりますが、その際も野崎会長は、今は、ALPS処理水の海洋放出後、非常に安定的に作業が行われていると評価されていますが、この廃炉の問題は地雷だと言っておられました。
ALPS処理水のシミュレーションでも、これから10年、20年、30年という長いスパン、その最後は2051年ということになっております。今から20年以上先でありますが、この間、一切問題なく作業を行い続けなければなりません。
したがって、福島の復興は、あと5年10年で終わるというものではなく、特に東京電力福島第一原発の廃炉の問題をずっと抱えたまま、福島県は、復興と地方創生に取り組んでいかなければいけない。この長い戦いがあるということも念頭に置かなければなりません。
風化をできるだけ抑え込み、一方で長い戦いに対して、国民、また世界の皆さんの理解と共感を頂いていくためにも、福島に来ていただく。例えば、ホープツーリズム、観光。今、正にプレデスティネーションキャンペーン真っ最中でありますが、やはり来ていただくことが非常に重要な一つの解決手段になると思っております。
我々自身が国内外に行って発信をすることと併せて、多くの方に、できるだけ福島の地に足を運んでいただいて、「まだまだ途上なんだな」「福島の復興には長い時間かかるんだな」ということを実感していただくことができるよう、広域自治体である福島県として、真正面から取り組んでいきたいと考えております。
(終了)
【質問事項】
1 日本郵便(株)の貨物運送事業許可取消による影響
(包括連携協定関係)
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7110
(物流関係)
→企画調整部地域振興課 電話024-521-7870
2 復興推進委員会(新たな基本方針(案))について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
3 復興推進委員会(委員発言)について
→企画調整部復興・総合計画課 電話024-521-7922
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
4 復興推進委員会(福島再生加速化交付金の取扱い)について
→企画調整部避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
6 双葉町における特定帰還居住区域の避難指示解除の方針
→企画調整部避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434
7 除去土壌等の県外最終処分について
→生活環境部中間貯蔵・除染対策課 電話024-521-8638
8 「若年型甲状腺癌研究会」からの要望書について
→保健福祉部県民健康調査課 電話024-521-8606
9 大阪・関西万博について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7110
→商工労働部観光交流局観光交流課 電話024-521-7316
10 復興の現状の理解促進について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
→企画調整部復興・総合計画課 電話 024-521-7111