知事定例記者会見
■日時 令和6年8月26日(月)10時00分~10時17分
■会場 応接室
【質問事項】
1 盛土規制法に基づく行政代執行について
2 燃料デブリの試験的取り出し作業について
3 復興庁の概算要求について
4 第13次与党提言について
5 ALPS処理水の海洋放出について
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【質問事項】
【記者】
西郷村の盛土の関係でお伺いします。先週、盛土規制法に基づく代執行の事業者が決定したということで、今後のスケジュールで決まっていることがあればお伺いします。また、これから台風のシーズンも本格化していき、現地の方々も心配されていると思いますので、知事の考えを改めて伺います。
【知事】
今年の6月でありますが、盛土の行為者に対し盛土規制法に基づく改善命令を行いました。
一方、提出期限までに工事計画書の提出がなかったことから、「災害防止のために必要な措置を講ずる見込みがない」と判断し、先般、県が盛土規制法に基づく行政代執行を行うことを決定し、公表したところであります。
地域の皆さんの安全、安心を確保するため、盛土の一部を撤去することが重要であり、早急に対応していきたいと考えております。
また、今後の具体的なスケジュール等については、担当部局等に御確認いただければと思います。
【記者】
デブリの取り出しの関係で、22日に試験的取り出しが始まる予定でしたが、準備作業段階での着手延期となりました。
このことに対する知事の受け止めと、東京電力にその日のうちに申入れされたと思いますが、改めて東京電力に求めることがあれば伺います。
【知事】
先週、福島第一原発2号機における燃料デブリの試験的取り出し作業が一時中断となりました。
東京電力からは、テレスコ式の取り出し装置を原子炉格納容器に押し込むための5本のパイプの接続順を誤っていたことが原因であるとの報告を受けています。
昨年10月以降、作業員の身体汚染など、県民の皆さんに不安を与えるトラブルが繰り返し発生している中で、今回の作業において、人為的かつ初歩的なミスが起きました。
県としては、同日、東京電力に対し、原因の究明と再発防止対策を確実に実施することや、今後実施される他の作業についても、手順等を確認した上で、同様のミスを起こすことがないよう、安全を最優先に着実に作業を進めることなどを強く求めたところであります。
燃料デブリの取り出しは、長期にわたる東京電力福島第一原発の廃炉作業の中でも最難関かつ最重要の課題であり、今回の試験的取り出しは、将来の大規模取り出しの入り口となる重要な作業であります。
東京電力においては、安全を最優先に、確実に作業を進めるとともに、県民目線に立った分かりやすい情報発信に取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
デブリの試験的取り出しについて22日に行う予定も中断したということで、県も再発防止などを申し入れたということですが、知事が考える再発防止として、東電に対して何を一番求めていきたいか伺います。
【知事】
福島第一原発の廃炉は、安全かつ着実に進められることが福島復興の大前提であります。
県民の皆さんは、最難関の課題である燃料デブリの取り出しが一歩でも前に進むことに期待を寄せておられます。
一方で、デブリの取り出しは非常にリスクの高い作業であり、一つの間違いが大きな影響を及ぼしかねません。万全の安全対策を講じた上で作業を進めることが何よりも重要であります。
東京電力においては、こうしたミスを繰り返すことがないよう、速やかに原因究明を行い、再発防止対策を徹底的に講じていただきたいと考えており、この点を先日も強く求めたところであります。
【記者】
復興庁の令和7年度予算概算要求総額が4,855億円の見通しとなりまして、本年度当初予算比で3%増となりました。
県からはかねて、令和7年度予算の重要性を国に訴えてきたところですが、今回の要求規模や内容に対する受け止めと今後の対応について伺います。
【知事】
まず、新年度予算についてお話をします。
福島県ではこれまで、政府要望活動や福島復興再生協議会、復興推進委員会等、あらゆる機会を捉え、避難地域等の復興・再生を始め、福島イノベーション・コースト構想の推進や、原子力発電所事故への対応、風評払拭・風化防止対策など、第2期復興・創生期間の最終年度となる令和7年度の取組を着実に進めるために必要となる財源確保を強く求めてきたところであります。
復興大臣を始めとする関係閣僚、各府省庁においては、こうした本県の訴え、県民の思いをしっかりと受け止め、令和7年度予算の確保に向け真摯に検討を進めていただくことを期待しております。
続いて、第2期復興・創生期間後の復興財源についてであります。
令和7年度予算は第2期復興・創生期間全体の最終年度であり、その後には次の新しい期間が控えています。
本県においては、今もなお、原子力災害に伴う困難な課題が山積しています。復興の進捗に伴って生じる新たな課題やニーズにも的確に対応していく必要があるなど、本県の復興はこれからも長く厳しい戦いが続きます。
国においては、本県の実情や現場の声を踏まえ、切れ目なく安心感を持って復興に取り組むことができるよう、必要となる十分な財源を確保していただきたいと強く考えておりますし、そういう意味でも令和7年度予算はその前提となる重要な期間の財源ということでありますので、これから概算要求、そして、年末の政府予算の決定に向けてしっかり県として対応していきたいと考えております。
【記者】
先日の概算要求の見通しについての受け止め評価はいかがでしょうか。
【知事】
今申し上げたとおり、私どもの思いを一定程度踏まえた対応かと思います。
ただし、概算要求は、これからしっかり整理されるものだと思いますし、事項要求も含めて全体像が固まるのは年末の予算案であります。
したがって、今後とも復興庁を始め、政府の皆さんと一つ一つの事業等について丁寧に協議を行い、理解を頂いて、しっかりと財源を確保していくことを私自身が先頭に立って取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
自民党の復興加速化本部の第13次提言案がまとまりました。
特に除去土壌、除染土壌の再生利用を政府一体で進展させるために、閣僚級会議の設置の検討を要請することや、最終処分について次の5年間で実現に向けた道筋をといった記載が盛り込まれましたが、今回の提言案について知事の受け止めを伺います。
【知事】
まず、第13次与党提言全体についての思いをお話しします。
与党において、復興加速化のための提言について議論が重ねられているところであります。
本県としても、先月24日に、自民党東日本大震災復興加速化本部の根本本部長と意見交換を行いました。第2期復興・創生期間中及び期間後の財源確保などを要望するとともに、本県の要望を政府に対する提言に盛り込んでいただくよう強く求めたところであります。
根本本部長は、私自身の思いを真剣に受け止めていただき、「既存の施策にとどまらず柔軟な対応を行い、しっかりと財源を確保して福島の復興を前に進める」という力強い言葉を頂いています。
自民党東日本大震災復興加速化本部において、本県の実情や地元自治体からの要望等を踏まえ、福島の復興に向け、丁寧に議論を重ね、今後政府との協議にも臨んでいただきたいと考えております。
また、中間貯蔵施設における除去土壌の県外最終処分の関係であります。
この件についても、根本本部長とは幾度も意見交換をしているところであります。
御承知のとおり、2045年までたった21年しかないという状況にございます。こういう中で、法律で定められた福島県民との、また日本国民との約束をしっかりと果たすことができるのかが問われる段階に入ってくるわけであります。
今回の第13次提言において、こういった内容について、政府全体を挙げてしっかりと取り組むことを丁寧に書き込んでいただいたことは非常に重要だと考えております。
県としては、この法律をしっかり守っていただく。このことをこれからも政府・与党に対して強くお願いしていきたいと考えております。
【記者】
デブリの関係ですが、ちょうどこの時期に処理水の海洋放出から1年が過ぎました。
各社の報道を見ても、今のところ福島県では危惧した風評が出ていないが、何かあったら一気に瓦解する怖さが拭えません。先週の会見の中でも、「引き続き緊張感を持って」と。この言葉は今まで何度も聞いている話ですが、そのタイミングで今回のデブリの初歩的なミスが出てしまった。それを踏まえて、処理水の今後について思うところを伺います。
【知事】
昨年の8月、私は岸田総理大臣に対し、ALPS処理水の海洋放出については、海洋放出はやむを得ないという声や、放出には反対だという意見、あるいは風評に対する不安の声など、県民の皆さんの複雑な思いを直接伝えました。
特に漁業者の皆さんにおいては、「我々の願いは、漁業を続けていくという、その一点である」といった切実な声が挙がっていることを率直に総理にお伝えしました。
その上で、福島県として四点要望しました。
一点目は「数十年にわたる安全確保」、二点目が「国内外への正確な情報発信」、三点目は「万全な風評対策と適切な賠償」、四点目は「中国に関する問題の早期沈静化」です。
岸田総理大臣におかれては、「今後数十年の長期にわたろうとも、政府として全責任を持って取り組んでいく」ことを明言されました。
国においては、この言葉を胸に刻み、引き続き、政府一丸となって、安全確保の徹底や国内外への正確な情報発信、万全な風評対策等を徹底的に講じていただきたいと考えています。
また、東京電力においても、廃炉と汚染水・処理水対策の実施者は東京電力であるという意識を常に持ち、長期にわたって安全を確保し続けるよう、全社を挙げて万全の対策に取り組むよう、我々自身もこれからも強く求めてまいります。
一方で、このタイミングで、正に先ほどから問題になっているトラブルが起きたところであります。
県漁連の野崎会長は総理との意見交換においても、「海洋放出を1回の失敗もなく行い、漁業を引き継いでいくことができるよう最後まで責任を持ってほしい」と述べられました。この思い、正に痛切な思いであります。
確かにこの一年間、順調に計画どおり、ALPS処理水の海洋放出が進んでいることは前進であると思いますが、一度でも二度でもこういった問題が発生してしまえば、漁業者の皆さん、あるいは福島県民がまた新たな風評に悩まされることになりかねません。
こういった厳しい状況、今回また新たなトラブルが起きたということを心のど真ん中に置いて、東京電力、また政府においても、今後の東京電力福島第一原発の廃炉対策、これは処理水の問題にせよ、燃料デブリの取り出しにせよ、この全体的な廃炉対策に徹底的な安全確保を行って取り組んでいただきたいと考えております。
(終了)
1 盛土規制法に基づく行政代執行について
→土木部都市計画課 電話024-521-7866
2 燃料デブリの試験的取り出し作業について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
3 復興庁の概算要求について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
4 第13次与党提言について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
5 ALPS処理水の海洋放出について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→農林水産部水産課 電話024-521-7375