知事定例記者会見
■日時 令和6年6月10日(月)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 国への提案・要望活動について
2 合計特殊出生率について
3 福島市の太陽光発電施設に係る林地開発の中止指示について
4 国家戦略特区の指定について
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【質問事項】
【記者】
7日の省庁要望の関係で三点伺います。
一点目が、中央省庁、政党を回られた全体的な知事の感想。二点目が、除染土の県外最終処分に関する国側の反応。三点目が、8月にデブリの試験的取り出しが始まりますが、デブリの処分方法や処分先などについて、県として、国にどのようにこれから向き合っていくか、この三点伺います。
【知事】
まず一点目であります。
各省庁を回りまして、官房長官、5人の大臣や副大臣等、さらに政党幹部に対して、福島県として、令和7年度の予算編成等に関わる重要な要望を行ったところであります。
全体的な受け止めでありますが、官房長官、大臣、政党幹部の皆さんに、福島県が復興に向かって、今、様々な課題を抱えながら努力をしていること。特に、原子力災害を含む複合災害からの復興について、長い期間がこれからもかかる。したがって、第2期復興・創生期間の最終年度となる令和7年度の予算、そして第2期復興・創生期間後の新しい期間における財源確保について、その重要性、必要性を共有していただいたと考えております。福島の復興・再生のため、政府として、あるいは各政党としてしっかりと取り組んでいくという心強い発言を頂いたところであります。
二点目の中間貯蔵施設の(除去土壌等の)県外最終処分の問題についてであります。
これについては、先ほど申し上げたようなことを官房長官や関係政党に対してもお話ししておりますが、担当の省庁は環境省であり、伊藤環境大臣に対して、この要望を真摯に伝えたところ、大臣においては、「これは法律に定められた国の約束だ。この約束を果たすため、しっかり環境省として取り組んでいく」と明言していただいたところでございます。
そして三点目は、デブリの関係であります。
福島第一原発の燃料デブリの取り出し工法については、今年3月に、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)から、空気中で取り出す「気中工法」を軸に、充填剤を流し込んで固めてから削り出す「充填固化」の工法を一部で活用すべきという提言もなされました。
今後、東京電力においても、具体的な検討や問題の研究などが進められる予定と聞いております。福島第一原発の燃料デブリの取り出しは前例のない困難な取組であり、安全かつ確実に進められなければなりません。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構及び東京電力においては、引き続き、様々な知見を取り入れながら、適切な手法の検討を進めていただきたい。また、その検討状況や今後の取組等について、県民目線、国民目線に立った、分かりやすい情報発信に取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
出生率について伺います。先日発表された昨年の本県の合計特殊出生率は前年比0.06下がり、過去最低を更新しました。県の人口ビジョンでは、2040年に出生率2.11を達成することが、人口150万人程度を達成するための一つの柱になっていますが、今回発表された出生率に対する受け止めと、これまでの取組に対する評価、今後、特に重要と考える施策について伺います。
【知事】
先週、令和5年人口動態統計の概数が公表され、福島県の出生数は、初めて1万人を割り込んだ昨年度を更に下回る9,019人となり、過去最少となりました。
また、本県の合計特殊出生率ですが、全国平均と同じく前年から0.06ポイント減少し、1.21となりました。
さらに、婚姻件数についても、5,599組となり、過去最少を更新するなど、本県の少子化傾向は歯止めがかかっておらず、改めて大変厳しい状況にあると受け止めております。
二つの視点でお話ししたいと思います。
まず、福島県としての対応についてであります。
県においては、先週、地域創生・人口減少対策本部会議を開催しました。
出生数の減少要因について、「女性の数の減少」「婚姻件数の減少」などが特に影響を及ぼしていると分析しており、今後、若者・女性にとって魅力のある仕事づくりや、出会い・結婚支援に一層、力を入れていく必要があります。
引き続き、市町村や企業など様々な主体と危機感を共有しながら連携を強め、結婚・出産・子育ての切れ目のない支援を行ってまいります。
あわせて、若者・女性にとっての魅力を高めながら、雇用の創出、移住・定住を促進するなど、自然減対策と社会減対策の両面から、人口減少対策に着実に取り組んでまいります。
次は、国、政府における対応についてであります。
先週、国会において、児童手当の拡充や「こども誰でも通園制度」を始めとする、全ての子ども・子育て世帯への支援策を盛り込んだ少子化対策関連法が成立しました。日本全体の課題である少子化に歯止めをかけるためには、国と地方が適切な役割分担の下、幅広い施策を総合的に推進することが重要であります。
先ほど政府要望のお話をしましたが、今回、官房長官、あるいは政府、政党の幹部と、この少子化対策についても積極的に意見交換を行ったところであります。
福島県としての要請は、主に二点あります。
一点目は、政府において、この国難とも言える人口減少問題に対して、司令塔機能をしっかり据えた上で対応すべきだということです。
二点目は、現在、様々なデータや統計数値を見て、例えば、東京都だけ人口が増え、残りの46道府県では、全て人口が減少しているという部分、あるいは、先週発表された合計特殊出生率において、東京が初めて1.00を本格的に下回り、0.99というデータになったということを踏まえまして、過度な東京一極集中に対する是正を同時に行っていくことが、この国全体、オールジャパンでの人口減少対策として必要だということをお話ししました。
官房長官自身が地方の御出身であり、高校時代まで地方で生活し、そして今、東京におられるわけですが、東京と地方との格差を実感しているというお話もございました。
この問題について、国の使命、あるいは国の役割は極めて重要であります。もちろん、福島県や県内の59市町村も懸命に人口減少対策に取り組んでいきますが、国難を乗り越えるという覚悟で、司令塔機能を持った上で、オールジャパンで取り組むことが重要だという思いを意見交換したところでございます。
特に福島県にとっては、人口減少対策と原子力災害を含んだ複合災害からの復興という二つの重要な課題がありますが、これは正に両輪であります。「人口減少対策なくして福島の復興なし。また、福島の復興なくして、人口減少対策なし」この思いで、今後とも県政に臨んでまいります。
【記者】
少子化対策の司令塔機能を据えるべきというお話で、こども家庭庁に少子化対策についても、司令塔機能として期待されていると思いますが、どのようなところを期待されているか伺います。
【知事】
宮崎県での先般の有志の知事によるサミットにおいても、この点について非常に積極的な議論が行われました。
人口減少対策、例えば県庁の施策をとっても、こども未来局一つで担えるかといったら、それは無理だと思います。企画調整部、総務部、保健福祉部、こども未来局、あるいは産業を司る商工労働部、農林水産部、さらに、県内のインフラを司る土木部、また、県内の教育を司っている教育委員会、さらに、県内の地域医療を担う病院局、とにかくオール福島、オール県庁で取り組むことが人口減少対策、総合政策だと考えております。
したがって、政府において、こども家庭庁が発足して、特に子育て支援という意味で、今一生懸命取り組まれて、先日も新しい法案を通されたというのは、大きな前進だと考えています。しかし、こども家庭庁の所掌業務と予算を見ていただければ分かりますが、それは政府の施策全体の一体どれだけの部分を占めているか、やはりなかなか困難な部分があると思います。例えば、復興庁は、明確に福島あるいは東日本大震災からの復興についての司令塔機能を担うという一段高い位置で、司令塔としての役割を果たす、各省庁に対する一定のアドバイスをする権限があります。こういった総合的な司令塔機能というものが極めて重要だと考えていますし、ポイントは、2030年までに一定程度歯止めをかけるために具体的に動き出さないと時間的に間に合わないというのが、有識者、あるいは知事たちの皮膚感であります。
そういう意味でも、この司令塔機能の議論、今、子ども対策、正に異次元の対策を講じるということで政府がお話をされていますし、与野党関係なく、オールジャパンで、オール国会でこの問題に真正面から挑んで、できる限り歯止めをかけていくという総意で、具体的な取組を一つ一つ行っていくことが重要だと考えています。
【記者】
福島市先達山のメガソーラーの造成地から泥水が流出した問題について、福島市が事業者に対して台風などを想定した対応を指導するように県に申し入れたとのことですが、これに対する対応について伺います。また、福島市長は今後同様の被害が続く場合は、県に中止命令を求める考えを示していますが、中止命令を御検討するお考えはあるか伺います。
【知事】
福島市の担当課から、先週、県に対して、台風などを想定した対応を事業者に指導するようにとの申入れがあったと聞いております。
県としては、災害の防止などの観点から、林地開発が計画どおり実施されているか、必要な確認と指導を行っているところであります。引き続き、住民の皆さんの安全・安心の確保に向け、事業者を適切に指導してまいります。
後半の仮定の御質問については、今日の段階でお答えする状況にはないと考えております。
【記者】
今の質問に関連してですが、先日の先達山のメガソーラー発電所建設予定地からと思われるところから泥水が県道70号に流れ込んだことに関して、県北農林事務所が事業者に対し、工事の中止を指示しながら、本庁の農林水産部の指摘を受けて撤回したということが、弊社の取材で分かっています。この過程について伺います。
【知事】
大雨の際、現場では事業者によって応急的な排水対策がとられました。
この排水対策が「林地開発計画説明書」に記載された対策に該当するのかどうかについて出先と本庁との間で、調整を行ったとの報告を受けております。
【記者】
その上で先ほどの質問に対して、今のところ指示を出していないということですが、一方で地元の住民の方や高湯温泉の方々からは、県の対応が今回甘いのではないかというような声が挙がっています。
このような地元住民の声に対してどのように、知事は今回の件を御説明されるのか伺います。
【知事】
まず、県道福島吾妻裏磐梯線についてであります。今月3日及び4日に現地調査等を行ったところ、メガソーラー工事の一部エリアについて、仮設水路が閉塞したことが原因と確認されました。
次に、農業用水についてであります。今月2日の降雨により、メガソーラー工事のエリアから農業用水路に流れ出たとの報告を受けております。
それぞれ、県として、事業者に対し、適切な開発となるよう指導してまいります。
【記者】
特に事業者に対しては罰則とかそういうものを求めていくという考えは、今のところないということでよろしかったでしょうか。
【知事】
今申し上げたとおりであります。
【記者】
先週、政府の国家戦略特区諮問会議でドローンの配送サービスを全国に先駆けて進める特区に福島県と長崎県が指定されました。
この受け止めと、県内では、南相馬のロボットテストフィールドを中心にこうしたドローンの実証を進められていますが、今後こういったものをどのように具体的に進めていきたいか県としての思いを伺います。
【知事】
先週6月4日でありますが、国家戦略特区諮問会議において、連携絆特区に指定されたことを本当にうれしく思います。
先月、地方創生担当の自見大臣と国家戦略特区ワーキンググループの委員の方々に対し、私から直接、創造的復興に向けた規制緩和の必要性を強く訴え、活発な質疑応答も頂きましたが、それぞれについて、私自身、福島県としての思いを、丁寧に説明させていただいたところであります。
国においては、こうした本県の思いをしっかり受け止めていただいて、福島ロボットテストフィールドを核としたこれまでの取組と、提案の実現性の高さなどを認めていただいたものと考えています。
今回の特区指定を受け、共に指定を受けた長崎県と連携しながら、利便性の高いドローン物流の社会実装を全国に先駆けて実現し、関連産業の振興と福島イノベーション・コースト構想の更なる推進を図っていきたいと考えています。
そして、福島イノベーション・コースト構想の下で、これまでの10年間で、ロボットテストフィールドを拠点に、ロボット・ドローンの関連事業や企業の集積が進み、福島発のユニークな製品や技術開発が現在行われています。
今回、特区の指定がなされることで、このイノベ構想の実現に向けた取組が更に前に進むことを期待しています。
(終了)
1 国への提案・要望活動について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7110
(除去土壌等の県外最終処分について)
→生活環境部中間貯蔵・除染対策課 電話024-521-8638
(燃料デブリ取り出しについて)
→危機管理部原子力安全対策課 電話 024-521-8054
2 合計特殊出生率について
→企画調整部復興・総合計画課 電話024-521- 7922
→保健福祉部こども未来局こども・青少年政策課 電話024-521- 7198
3 福島市の太陽光発電施設に係る林地開発の中止指示について
→農林水産部森林保全課 電話024-521-7442
→土木部道路管理課 電話024-521-7468
4 国家戦略特区の指定について
→企画調整部地域振興課 電話024-521-7870
→企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進課 電話024-521-7112
→商工労働部次世代産業課 電話024-521-8045