知事定例記者会見
■日時 令和5年9月25日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【発表事項】
1 台湾直行便に関する知事渡航について
【質問事項】
1 台湾直行便に関する知事渡航について
2 県民世論調査の結果について
3 只見線全線運転再開から1年について
4 ALPS処理水の海洋放出について
5 台風13号大雨に係る災害について
【発表事項】
今月5日に、台湾の航空会社・タイガーエア台湾、台湾の旅行会社・グロリアツアーとの間で、台湾直行便の運航に関する覚書を締結しました。来月5日には、台北市内において、福島県とタイガーエア台湾、グロリアツアーの三者による共同での記者会見を行います。そして、来年1月16日から運航される台湾定期チャーター便を活用した旅行商品の発表を行うため、台湾を訪問しますのでお知らせいたします。
今回の訪問を通じて、定期チャーター便の集客に弾みをつけ、台湾から本県に向けた誘客の促進につなげてまいります。あわせて、来年のサマーダイヤからの定期便就航をより確実なものとするため、私自身が先頭に立ち、福島県の観光や食の魅力を台湾の皆さんにしっかりPRしてまいります。
【質問事項】
【記者】
今ほど発表ありました台湾のお話をお聞きします。
まず、今回この定期便がしっかり成り立つためには、双方の搭乗率の向上というのが欠かせないと思います。
知事が台湾に行かれて、発信したいことをまずお伺いします。あと福島県民の方、隣県も含めてですけれども、台湾の魅力をどういった形で伝えていくかということをお伺いします。
【知事】
まず、1月から運行がスタートする定期チャーター便において、双方向での搭乗実績を着実に積み重ねていくことが重要です。
そのために二つポイントがあると思います。
一つ目は、台湾から多くの方々に福島県にお越しいただくことであります。
そのため、福島県内の観光団体はもとより、近隣県の自治体とも連携をしながら、台湾の方々の目線に立って、福島県の魅力が伝わる効果的な発信を行っていきます。
また、福島県にお越しいただいた台湾の方々に「福島に来てよかった」、「また来たい」、「この魅力を周りの人に伝えたい」と思っていただけるよう、福島のファンになっていただく取組も進めてまいります。
二つ目は、多くの県民の皆さんに台湾に行っていただくことであります。
各市町村や民間団体等においては、震災前から台湾との地域間交流が活発に行われています。
この台湾への直行便を機に、相互の交流を更に拡大させていくことが重要だと考えています。
台湾は、日本人の海外旅行先の中でも非常に人気があります。
このため、インバウンド、アウトバウンドの両面から着実に取組を進めることが、定期便化への鍵になると考えております。
今回私自身が台湾に伺う中で、まず台湾の方々に、福島はいいところだということを、「来て」「見て」「食べて」「感じて」いただく、その思いを発信していきたいと思います。
あわせて、観光関係の皆さんと力を合わせて、台湾の方々から、来ていただくだけでなく、福島の方が台湾に行って、台湾という地域のすばらしい魅力、食のおいしさ、また人の温かさ、こういったものをお互いに感じることができるように、積極的に取り組んでいきたいと思います。
【記者】
話題が変わりまして、福島テレビと福島民報社が共同で実施した県民世論調査の結果についてお聞きいたします。
処理水に関してですが、海洋放出後初めての調査ということで、結果としては、本県沖の海産物、常磐ものの関心が高まったというようなものが一つある中で、一方で政府の説明の不十分さであったり、政府の対応に関する評価というものが分かれるような結果となりました。こういった結果に関して知事の受け止めを伺います。
【知事】
今回の調査の結果、拝見しております。
特に海洋放出から1か月を経過したところであります。
県内の魚市場における主要魚種の価格は例年どおりとの報告を受けており、福島県において、いくつかの道県に見られるような目立った影響は現時点では確認されておりません。
引き続き、県内魚市場での取引状況を注視し、価格変動やその要因について慎重に確認してまいります。
一方で、ALPS処理水の海洋放出は、長期間の取組、長い戦いとなります。
今回の調査結果にも表れているとおり、これからの長い期間においてどのような結果が表れるかということが極めて重要であります。
そのため県としては、国及び東京電力に対し、引き続き、万全な対策を講じるよう強く求めるとともに、風評の影響を常に注視しながら、大都市圏への情報発信を強化するなど、県独自の風評対策を講じてまいります。
また、先ほど魚市場での目立った影響がないというお話をしましたが、その一つの、あるいは大きな要因は、この間、多くの方々から、応援をいただいていることだと思います。
例えば、各都道府県知事には福島県産水産物の積極的な活用を進めていただいております。
また、各国大使の皆さんや多くの民間企業の方々、そして国民の皆さんから、福島県を様々な形で応援していただいており、本当に心強く感じております。
皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。
おいしい常磐ものを全国の皆さんに食べていただけるよう、漁業関係者や水産流通加工業者の皆さんと連携して、県産水産物の生産拡大や販路拡大を推進してまいります。
また、中国などによる輸入規制の影響は福島県だけではなく全国に及んでいます。
このため、他県産の水産物についても積極的な活用を働き掛けていきたいと考えております。全国知事会長の村井宮城県知事とも、日本全体でこの水産物の厳しい状況を乗り切ることができるように、知事会として、各県として、力を尽くしていこうという相談をしているところであります。
【記者】
同じ県民世論調査ですが、ジャニーズ事務所の性加害問題に関しまして、県とTOKIOとの連携の継続に関する調査をしたのですけれども、そういったことに関して県民の4分の3に当たる方々は、県の姿勢を支持するという結果が出ました。
こういった結果に関する受け止めを伺います。
【知事】
多くの県民の皆さんが、今回の調査において、TOKIOの皆さんとの深いつながりを感じておられることが表れたものと受け止めています。
また一方で、この事務所の問題については、様々な御意見があるということを承知しております。
改めて、福島県としての考え方をお話ししたいと思います。
大前提として、いかなる性加害も決して許されるものではありません。
性加害は、被害者の尊厳を踏みにじる行為であり、決して許されない行為であります。
この問題を長期間にわたり隠ぺい、放置していた責任は極めて重く、ジャニーズ事務所においては、人権を尊重し、被害者救済や再発防止策など、社会的責任をしっかりと果たすべきであります。
TOKIOの皆さんは震災前からDASH村の活動などで福島県と深いつながりがあります。
震災、原発事故後、私たちが風評被害等で最も悩み、苦しんでいた時にも、福島県に寄り添い続け、県民の皆さんを勇気づけてくれました。
そして、「第二のふるさと福島のために何かできないか」と、長年にわたり、県産農林水産物のPRに御協力を頂くなど、福島を全力で応援し続けていただいていることに心から感謝しております。本当にありがとうございます。
福島県の復興は、これからも長く苦しい闘いが続きます。
TOKIOの皆さんには、これからも変わらず福島県を応援していただきたいと考えております。
【記者】
今のTOKIOの件に関してですが、今ほどおっしゃった談話を、県として発表されてから10日余り経ちます。
個人的には性加害は、決して許されないという認識は一緒ですけども、これまでのTOKIOの福島県に対する取組を見てきた一県民として、個人的にはとても心打たれたのですが、その後、県民から何か意見が寄せられていたりなど、県民の反響がありましたら伺います。
【知事】
様々な御意見を頂いております。
県のこういった対応に対して、「賛成だ」という声もありますし、一方で「性加害の問題というものがある」ということを厳しく御指摘される御意見もあります。
やはりそれぞれの立場で様々な御意見があると思います。
今、全国の話をさせていただきましたが、一方で、県民の皆さんからは、今回の調査結果にも表れているように、我々が、原発事故直後、特に平成23年以降、24年、25年、26年と、一番苦しいときに、TOKIOの皆さんがどういうことをやってくれていたか。
しかも御承知のとおり、無償での対応であってビジネスではありません。
TOKIOの皆さんが、正に家族として行っていただいたということを踏まえた県民の思いも、御意見としてあるのだろうということを感じております。
【記者】
談話を発表した時点で、数十件の問合せがあるということでしたが、その後、すごく増えたりとか、件数として把握しているものがありますでしょうか。
【知事】
今、手元にございませんので、担当部局に確認していただければと思います。
【記者】
間もなく只見線の全線再開通から1年となります。この1年をどのように見ていらっしゃるか伺います。
【知事】
只見線でありますが、昨年10月1日の全線運転再開から間もなく1年となります。
四季を通じて、多くの方々に乗車していただいており、特に海外からの観光客の姿を目にする機会も増えています。
JR東日本から公表された昨年度の利用実績では、昨年10月からの運行であったにもかかわらず、会津川口駅から只見駅間の年間利用者数が新潟・福島豪雨災害前を上回っております。
私自身、今年5月に乗車しましたが、正に満席であり、立っておられる方も相当おられました。このにぎわいを肌で感じることができました。
そのような中、先日は只見線利活用推進協議会が日本鉄道賞の特別賞に選ばれました。
只見線を応援してくださる皆さんと共に、一丸となって利活用に取り組んでいる姿が評価されたと受け止めております。
こうした様々な成果は、沿線自治体や地域の皆さんの只見線全線再開通に向けた思いが実を結んで、多くの方々に利用していただいた結果であり、大変うれしく思います。
この盛り上がりを一過性で終わらせることがないよう、引き続き、JR東日本や地元の自治体を始め、只見線を応援してくださる皆さんと共に、日本一の地方創生路線を目指して取り組んでまいります。
また、特に(10月)1日は大事な節目の日でありますので、私自身が現地に行って、皆さんと共に、「1年経った。けれどこれからだ。もっと頑張って只見線を盛り上げよう。」という思いを共有していきたいと考えております。
【記者】
只見線のことで、県が維持費で2億円余りの公費を支出することになったと思うのですが、先ほど知事のお話にもあったように、実際、再開前、新潟・福島豪雨前の乗車人員を上回っているというお話もありましたが、そのほか何か具体的に経済効果などを感じている部分があれば伺います。
【知事】
只見線沿線の自治体、例えば只見町、金山町等に多くの観光客の方が訪れていただいている。
これはもう当然のことでありますが、それに加えて、例えば会津若松市ですとか、その地域において旅館、ホテル等の活用状況というものが活性化しているというお話を伺っております。
また、只見線のみならず、日本全国においてJRの地方鉄道の在り方が議論になっています。
そういう中で、上下分離方式、これを取った福島県の取組が非常に大きく注目されています。
当然、只見線のすばらしい絶景を見たい、あの地域を見てみたい、秘境路線に乗ってみたいという方のみならず、今、行政関係者の視察も非常に増えているというのが実感であります。
ただ、先ほど冒頭で御指摘いただいたとおり、上下分離方式は、非常に難しい部分があります。
つまり、県や自治体などの行政関係者の方でも、維持運営費等を自分たちでしっかり持つという覚悟、決意が重要であります。我々自身も6年間かけて議論をした上で、上下分離方式の導入に踏み切ったところであります。
今、只見線が活況に沸いているということは非常にうれしいことでありますが、これは行政自身がこれからも覚悟を持ってこの上下分離方式を継続していくという前提があってこそであります。
我々の取組が、日本一の地方創生路線になるためには、やはり多くの方に乗っていただく、県民の方、あるいは県外の方、国外の方、多くの方が乗って、福島県に来て、見て、乗れて良かったと感じていただけるように、様々な広報、情報のPR、また観光客の誘致、一生懸命進めていきたいと思います。
【記者】
処理水の関連で、東電の賠償基準について伺いたいのですが、放出後の新規事業者を原則対象外としたことについて、特に双葉町では避難指示解除から1年しか経っておらず、ほとんどお店がない状況が続いています。
小売店や飲食店が、今後30年以上続く放出で、いつ風評が発生するか分からないというような不安の中で、なかなか出店に踏み切れないような状況が続けば、帰還住民の生活インフラが整わずに、復興からも遠ざかってしまうと思います。
知事としては、この基準について東電に変更を求めるような、検討の余地というのはあるのか伺います。
【知事】
ALPS処理水の取扱いについては、これまで漁業関係者を始め、事業者の皆さんが安心して事業を継続していけるよう、当事者である国及び東京電力において万全な対策を徹底的に講じるよう求めてきたところであります。
政府においては、「今後数十年の長期にわたろうとも、処理水の処分が完了するまで、全責任を持って取り組む」と表明しています。
そうした対策を講じても風評被害が発生する場合には、東京電力において、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考えの下、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により、迅速かつ確実に賠償を行うとともに、国において、東京電力をしっかり指導していただきたいと考えております。
これがまず基本的なスタンスであります。
その上で、今ほどお話があった件、特に大熊町、双葉町等は、避難指示解除が他の自治体に比べて非常に遅いという特殊な事情がございます。
また、処理水の問題もちょうどその間に起きているという、他の自治体とは違った特性もあります。
今後、双葉町長、大熊町長等の御意見も伺いながら、どういった対応が適切か検討していきたいと思います。
【記者】
処理水の放出開始から1か月ということで、冒頭にもありましたが、この1か月で、県として体験したといいますか、得た課題というものはどういったものがあるかについて伺います。
また、その課題についてどのように対応していきたいというものがあるか伺います。
【知事】
処理水放出から1か月が経ちました。
この間、全体としては順調に推移していると考えています。
東京電力自身が着実に計画どおり放出を行っておりますし、また、海域モニタリングも着実に進んでいます。
そして、一日一日異常が無いというデータが積み重なっていくこと、これがまず極めて重要だと思います。
福島県においては先ほど言ったとおり、魚市場等においても特に大きな問題は見られず、むしろ全国から応援を頂く中で、常磐ものが足りないという状況にあります。
ただ、県の課題として申し上げたいことは、今皆さんに注目していただいて、応援していただいていますが、処理水の放出は20年、30年と続く長期間の戦いでありますので、まず、東京電力自身がこの1期目のように、着実に安全に海洋放出を継続していくということが大前提であります。
また、この応援的な状況も沈静化する可能性があります。そうした際も、常磐ものを変わらず、国内の皆さんがおいしいと食べていただけるように、我々自身が汗をかいて、常磐ものの魅力を伝えていかなければいけないと考えています。
私自身が考えている一番大きな課題は、日本全体の水産物の問題であります。
中国、香港、マカオにおいて、日本の水産物の輸入を停止して、それが結果として、幾つかの道県において、やはり深刻な影響を及ぼしていると思います。
ただ、御承知のとおり、これは科学的な問題ではない部分を含んでおりますので、政府自身が、そういった国・地域へしっかり情報発信を行い、対話を行う中で、この問題を早期に鎮静化していただくことが重要であると考えております。
【記者】
台風13号の件をお伺いしたく、先週の答弁の中で、被災者生活再建支援法に当てはまらない方についても、補償を考えてらっしゃるという話があったかと思いますが、その後、週が明けまして、その辺りの具体化しているところがあれば伺います。
【知事】
現在、いわき市、南相馬市において住家被害認定調査が行われているところであります。
被害状況を早急に把握した上で、議会でも表明いたしました独自支援の具体的な内容について検討を進めていきたいと考えております。
現時点でまだ被害状況が十分整理されておりませんので、ここで具体的にお話しする状況にはございません。
(終了)
○発表事項
1 台湾直行便に関する知事渡航について
→商工労働部観光交流局空港交流課 電話024-521-7211
○質問事項
1 台湾直行便に関する知事渡航について
→商工労働部観光交流局空港交流課 電話024-521-7211
2 県民世論調査の結果について
(海洋放出について)
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
→農林水産部農産物流通課 電話024-521-7371
→農林水産部水産課 電話024-521-7375
(TOKIOの起用継続について)
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
→農林水産部農産物流通課 電話024-521-7371
→生活環境部男女共生課 電話024-521-7188
3 只見線全線運転再開から1年について
→生活環境部生活交通課 電話024-521-8495
4 ALPS処理水の海洋放出について
→危機管理部危機管理課 電話024-521-7302
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→危機管理部放射線監視室 電話024-521-8491
→企画調整部避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-7103
→農林水産部農林企画課 電話024-521-7315
5 台風13号大雨に係る災害について
→危機管理部災害対策課 電話024-521-8275