知事定例記者会見
■日時 令和5年7月18日(火曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 ALPS処理水の取扱いについて
2 秋田県の大雨被害について
3 福島県立医科大学会津医療センターについて
4 自治体の情報システムについて
【質問事項】
【記者】
処理水に関してお聞きいたします。
週末、共同通信の世論調査で、風評被害は処理水放出によって起きるという回答が8割以上を占めまして、政府の説明が不十分だといった見解も8割以上を占めました。
現段階において、こういった受け止めであるということに対して、知事のお考えを伺います。
【知事】
今回の世論調査を始め、ALPS処理水の取扱いに関する様々な調査結果が示されています。
国においては、こうした調査結果も踏まえ、県民の皆さん、国民の皆さんの理解醸成に向け、「基本方針」や「行動計画」の中で示した取組を更に徹底し、責任を持って対応していくことが重要です。
県としては、先月実施した国への提案活動、要望活動においても、改めて、西村経済産業大臣に対し、国内外の理解醸成に向け、正確で分かりやすい情報発信を継続的に行うとともに、IAEA等の国際機関と連携し、第三者による監視と透明性の確保に努め、科学的な事実に基づく情報を積極的に発信すること等について、訴えてきたところであります。
こうした取組について、政府として最後まで責任を持って取り組むべきと考えております。
【記者】
関連してですが、本日、県の廃炉(安全)監視協議会が開かれます。
この会議で、県が東電に求めていた八つの要求項目に関して審議が行われるということです。
情報発信に関する項目などもこの八つの要求事項の中に含まれています。
工事自体に関しては、いろいろ完了した部分であったり、規制委員会のほうの評価とかございますが、八つの要求項目には今後に関しての部分も多く含まれています。
県として、その理解醸成の部分を含めて、改めてこの要求事項に基づいて求めていくことについて伺います。
【知事】
県では、これまで事前了解に当たって求めた要求事項等について、専門委員等による現地調査を行うとともに、廃炉安全監視協議会等を開催し、継続して確認を行ってきました。
先週開催した技術検討会において、放出開始前までに確認できる事項については、要求事項を満たしていることなど、確認を終了しました。
また、本日、廃炉安全監視協議会を開催し、これまでの確認結果等について、専門委員と関係市町村に対して事務局から報告を行う予定であります。
国及び東京電力においては、引き続き、ALPS処理水の取扱いに関する国内外の理解醸成に向け、IAEA等の国際機関と連携し、第三者による監視と透明性の確保に努めるとともに、今回公表されたIAEAの包括報告書の内容も含め、科学的な事実に基づく分かりやすい情報発信を国内外に向けて行うなど、責任を持って取り組むべきであります。
こういった点を今後とも政府に対し、求めてまいります。
【記者】
今のお話も含めてですが、やはりその関係者の部分での溝が埋まっていないというのは、知事の御認識でもあると思います。
こういったところを八つの要求項目以上の部分になるとは思いますが、そういった関係者の溝をいかに埋めていくべきかとお考えであるか伺います。
【知事】
先週10日から11日にわたって、西村経済産業大臣が福島県を訪問され、福島第一原発を視察するとともに、県漁連や漁協の皆さんと意見を交わされました。
また、14日には全漁連の皆さんと大臣が意見を交わされました。
漁業者の皆さんからは、「海洋放出は反対である」との意見や、風評被害などに対する不安や懸念、県産魚介類の販路拡大に対する支援などを求める意見とともに、「漁業を安心して継続できることが唯一の望みである」といった切実な声が聞かれました。
西村大臣からは、「これからも福島の漁業者の方々の声に寄り添って、風評対策を含め、様々な対策をしていきたい」といった回答がなされました。
あわせて、「ALPS処理水の海洋放出は、日本全国で影響を受ける可能性があることであり、漁業者の皆さんが漁業をずっと継続していけるよう、国として責任を持って対応していく」との考えが示されました。
国においては、漁業者の皆さんから寄せられているこうした御意見をしっかり受け止め、引き続き、丁寧かつ十分な説明を重ねるとともに、新たな風評を生じさせないという強い決意の下、漁業者の皆さんが将来にわたって持続可能な漁業を実現できるよう、万全の対策を講ずるべきであると考えております。
【記者】
IAEAの報告書に関してですが、その中にも指摘がありますように、あくまでもこのIAEAの報告書というのは、放射線防護の観点からして科学的なことだけについて根拠を持たせるものであって、経済的とか社会的な要因について考慮した上で、最終的に判断するのは日本政府だということが繰り返し強調して書かれていると思います。その政治が、今、処理水問題に関して果たしている役割については十分だというふうにお考えであるか伺います。
【知事】
IAEAの包括報告書は、重要な視点を幾つか含んでおりますが、今ほど御指摘を頂いたとおり、日本政府の決定を推奨、あるいは支持するものではないというスタンスを明確にされています。
その上で、今回の処理水の問題は、日本国政府自身が責任を持って対応することが重要であると考えております。
特に、この処理水の問題については、これまでも幾度もお話ししておりますが、福島プロブレム、福島だけの問題ではなく、日本全国、ジャパンプロブレムということを、(福島県として)この2年余り訴えてまいりました。
昨今、香港政府において、日本産の水産物の輸入規制の方向性を示しておられますが、これは正にその典型(日本全国の問題であるという典型例)だと思います。
また、海外の国・地域においても、こういった日本の政府、あるいは、IAEAの報告書に対して、一定の理解を示していただいている国・地域がある一方で、明確にそれらを批判しておられる国・地域がある。これが現実であります。
こういった状況については、IAEAが云々ということだけではなく、やはり日本国政府自身がそういった国々に対して丁寧に情報発信を行う、あるいは、先ほど漁業者に対するお話もいたしましたが、漁業者の皆さんに対しても誠実に向き合って信頼を醸成していく、こういった政治的姿勢が重要であると考えております。
福島県としては、そういった包括的な視点の中で、政府が最後まで責任を持って取り組むべきということを、これまでも、そしてこれからも訴えていきたいと考えています。
【記者】
今の話に関連してですが、先週、円卓会議というものが開かれまして、元福島大の学長さんであったり、JA五連の元会長の菅野さんなんかも入っていらっしゃって、決めるのは国、決められるのは国民という構図を超えて本気で話し合うべきだというような、建設的な御意見があったように思います。
根本的な科学的な安全がまだ心配だという方がいらしたのも事実ですが、そうではなくて、もっと風評とか処理水の問題だけではなく、廃炉全体に県民がどう関われるのかとかですね、あと中間貯蔵とか最終処分場みたいなことも含めて、福島県がどう向き合っていかなければいけないのかということを、真剣に考えたいという県民の集まりになることが期待されるのですが、こういったところの役割というか、期待すること、あるいは福島県として、こういった市民の人たちとどういうふうに一緒に歩んでいくことができるかお考えがあれば伺います。
【知事】
廃炉や処理水の取扱いなどを議論される円卓会議が発足して、先週、第1回目の会合が開催されたとの報道を拝見しております。
やはり、福島県内のみならず国内においても、それぞれの立場で、それぞれの御意見がある。こういった状況が処理水を巡る包括的な環境だと思います。
県においても、廃炉安全監視協議会について、専門家の立場や自治体の立場(など、様々な方々)から構成され、またこの協議会とは別に県民会議という場を設けまして、JAであったり、経済団体であったり、あるいは市民、地元の方の代表等にも入っていただき、非常に活発な議論を、これまで幾重にもわたって重ねてきているところであります。
またそれとは別に、県に対しては、県内や県外の多くの方々から、様々な御意見を頂いているところであります。この処理水に基づく様々な立場からの、非常に葛藤も含む御意見については、県としても伺った上で、それらを踏まえ、政府や東京電力に対して言うべきことを言うというスタンスで、この間、臨んできたところであります。
今後とも、こういった様々な動きも見ながら、また県として多くの方々からの御意見を踏まえた上で、政府に対してしっかり臨んでいきたいと思います。
【記者】
今日午後にある廃炉安全監視協議会ですが、これで結論を出した場合は、それはあくまで技術的に、県としては容認というか、この計画でいいですということになるのか。
もしそうでない場合、この処理水計画全体に県が容認する、しないということを示すタイミングがあるのか、ないのか伺います。
【知事】
まず、今回の午後の廃炉安全監視協議会の取組というものについては、事前了解の手続の中のものでありますので、何か包括的な方向性を示すという性質のものではないということを、昨年の事前了解の段階から繰り返しお話をしているとおりであります。
また、福島県のスタンスは、一昨年4月に政府の基本方針示された際から変わっておりません。
政府自身が、この処理水の問題、非常に困難で、葛藤や分断を巡る問題でもございますが、これに対して、特に関係者の皆さんの理解、約束、そういったものをしっかり対応しつつ、また国内外に対して正確な情報発信を行うこと。そして、風評対策をしっかり行っていくこと。
これまでも(本県として)訴えてきた、こういった重要な内容について、これからも政府に対し求め、しっかり実現していただくよう、県としても取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
処理水関連の話ですが、確かに、海洋放出に関して、最終的にタイミングも含めて決めるのはもちろん政府自身だとは思いますが、県は、県民の代弁者としての立場もあると思います。改めて現時点での関係者の理解度というのは、どう捉えているのか伺います。
【知事】
関係者、特に漁業者の皆さんとの関係、極めて重要であります。御承知のとおり、約束というものがあります。西村経済産業大臣、あるいは岸田総理も、これまで政府として約束を遵守するということを再三お話されています。特に西村大臣は、最近、県漁連、全漁連等関係の皆さんと直接顔を合わせ、大臣自身が相当時間をかけて丁寧にIAEAの報告書等を説明しながら、お互いの意見交換を行う、こういうプロセスを進んでおられるかと思います。
ただ、現時点においては、県漁連、全漁連とも、反対の立場を崩さないということを明確にお話されています。
大事なことは、政府自身が、特に関係者である漁業者の皆さんとの信頼関係をしっかり構築していくことだと思っております。
私自身この約束を守るということについては、大臣に会うたびにと言ってもいいぐらい、お話をしているところでありますので、政府の今後の対応を注視してまいります。
【記者】
週末にかけて秋田県で大雨被害がありました。大きな被害が出ていますが受け止めを伺います。また、県から応援などの対応予定があれば教えてください。
【知事】
これまで経験したことがないような大雨によって、秋田県を始め、全国各地で甚大な被害を受ける事例が発生しています。こうした全国における大雨に伴う災害で亡くなられた方に、深く哀悼の意を表するとともに、被害を受けられた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
まず、秋田県、同じ東北の関係県でもありますので、これまで東日本大震災以降、様々な応援を頂いてきたという経緯も踏まえ、是非、秋田県とも御相談して、応援できるという場面においては、福島県として対応していきたいと思います。
また、本県においても、こうした大雨災害は身近に起こりうるということを認識して、日頃から備えておくこと、準備していくことが極めて重要であります。
このため県では、自らの適切な避難行動について考えておく、「マイ避難」の推進を図っています。県民の皆さんにおいては、大雨による土砂災害、低い土地への浸水、河川の増水等に、注意・警戒をしていただくとともに、御自身と大切な方の命を守るため、「マイ避難」の取組を改めてお願いしたいと思います。
【記者】
別の話ですが、福島医大の会津医療センターの開設から10年が経ち、今週土曜日には記念レセプションが開かれます。10年の成果について、知事はどのように見ているのか伺います。
【知事】
会津医療センターは、県立の総合病院から、ある意味形を変え、場所を移転した上で、また診療科目等も再編した上でスタートし、10年という年月が経ちました。
会津地方は、全体として、地域における医師不足、人材不足という中で、非常に御苦労を抱えておられる部分がございます。非常に面積が広いということもありまして、こうした点を踏まえ、住民の皆さんにとって、しっかりとした医療基盤、インフラをつくり上げて医療を提供することに意義があると考えています。
特に鎌田先生を始めとして、実際にそれぞれの地域、御自宅にまで伺って対応されるセンターが発足してから年月が経ちますが、私自身、実際に現場に行って、先生方の取組を拝見したことがあります。もちろん病院に行って診ていただくということも重要ですが、実際に過疎地、中山間地域まで、医師・看護師等が出向いて対応していただけるということに対する喜びのメッセージを数多く頂きました。
一方で、これを実際に行う際には、現場で大変な御苦労がある、負担があるというお話も聞いております。また、東洋医学、漢方医療も、現在の西洋医学と併せて、医学的に対応することによって、一人一人の患者さんのQOL、クオリティーオブライフをより高めることにもつながるかと思います。
県立医大会津医療センターは会津地域において非常に重要な病院でありますので、今後とも、福島県として、その地域の住民の皆さんの安全安心をサポートできるよう、努力を続けていきたいと思います。
【記者】
別件で、自治体の情報システムについてお伺いします。2025年度末までの標準化の方針が国で示されていますけれども、全国では市町村によっては余力がなく、25年度末には間に合わないというような声も聞いています。県として、県内の状況をどのように把握されているのかということと、広域自治体として支援は考えているのかということについて伺います。
【知事】
DXを含む情報化の関係について、政府が2025年という一定の期限を区切っており、各自治体はそれぞれ対応しなければいけないという状況にあります。
福島県自身も正に当事者ということで、様々な準備を進めておりますが、やはり相当大きな対応をしていかなければいけません。
県でも、なかなかこの期限どおりにしっかり対応していくというのは難しい部分がありますし、特に小規模な町村などの自治体においては、専門家の方が必ずしもおられるわけではありませんので、御苦労もあるかと思います。
例えば、会津地方でありますと、会津地方振興局がこのDXの関係で、既に2、3年前から自治体の対応を、てこ入れをしながら、広域的な対応を行っているところであります。
また、県においても、標準化システムをより簡便に導入できるようサポートを行っているところでありますし、県のDX関係の人材派遣、県職員、あるいは専門家を各自治体に派遣してお手伝いするということも行っているところであります。
ただいま御指摘ありましたとおり、締切りに向かって順調かというと、まだまだというところもあろうかと思いますので、今後とも、市町村の御意見を伺いながら、県としてできる限りのサポートを行うこと、またあわせて、財政支援の問題や、その期限までにどこまでできるかという部分、政府に対してお話をしていくべきことも今後出てこようかと思いますので、そういった点についても、広域自治体として対応していきたいと思います。
(終了)
○質問事項
1 ALPS処理水の取扱いについて
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
2 秋田県の大雨被害について
→危機管理部災害対策課 電話024-521-7741
3 福島県立医科大学会津医療センターについて
→総務部私学・法人課 電話024-521-7091
4 自治体の情報システムについて
→企画調整部デジタル変革課 電話 024-521-7854