知事定例記者会見
■日時 令和4年12月26日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【知事 冒頭発言】
1 県民の皆様へ
【質問事項】
1 大相撲 若元春関の三役昇進について
2 今年の漢字について
3 新型コロナウイルス感染症について
4 ALPS処理水の風評被害に係る賠償基準の公表について
【知事 冒頭発言】
令和4年の年の瀬を迎えました。
今年一年を振り返りますと、葛尾村、大熊町、双葉町において特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されたほか、英国などにおける輸入規制が撤廃され、県産品の輸出額が過去最高を更新しました。あわせて、若い世代を中心とした県内への移住者数が過去最多を更新し、JR只見線が11年振りに全線で運転再開するなど、本県の復興は着実に前進しました。
さらに、本県出身力士として50年振りとなる若隆景関の幕内最高優勝や、若元春関の小結昇進、いわきFCのJ2昇格を始め、只見高校、聖光学院の甲子園での活躍、郡山高校と会津高校が全日本合唱コンクール全国大会で金賞を受賞するなど、県民の皆さんに元気と笑顔を届けてくれた明るい出来事がたくさんありました。
一方で、未曽有の複合災害からの復興・再生に加え、3月に発生した福島県沖地震や8月の大雨災害からの復旧、長期化する新型コロナウイルス感染症、原油価格・物価の高騰、さらには、県内初の鳥インフルエンザの発生、今般の大雪被害への対応など、数多くの困難に直面した一年でもありました。
そのような中、先般の知事選挙におきまして、県民の皆さんから多くの御支持を頂き、引き続き、県政を担わせていただくことになりました。
選挙期間中に頂いた県民の皆さんの思いや期待にしっかりと応えるためにも、引き続き、山積する課題に県の総力を挙げて対応するとともに、県民の皆さんお一人お一人が豊かさや幸せを実感することができるよう、県民の皆さんはもとより、本県に思いを寄せてくださる全ての方々と共に、福島の新しい未来を形づくるための挑戦を「シンカ」させてまいります。
日々、寒さが厳しくなってまいりました。
皆さんには、お体を大切にされ、健やかに新年を迎えられますことを心からお祈り申し上げ、年末の御挨拶といたします。
【質問事項】
【記者】
今の挨拶の中でも触れていましたが、若元春関の小結昇進ということで、(若隆景関と)兄弟三役になります。こちらの受け止めを伺います。
【知事】
若元春関におかれては、大相撲初場所で、初めての三役となる西の小結に昇進されました。本当にうれしく思います。おめでとうございます。
小結昇進により、同じ荒汐部屋で弟の若隆景関と共に、兄弟同時三役の誕生は、平成4年春場所の若花田関と貴花田関以来、史上3組目という快挙となり、復興に向けて挑戦を続ける私たち県民を大いに勇気付けるものであります。
大波三兄弟におかれては、更なる高みを目指し、互いに競い合い、支え合いながら、来場所においても、一番一番、ベストを尽くして御活躍されることを心から期待するとともに、私自身もしっかり三兄弟の応援、また、本県出身関係力士の応援を続けてまいります。
【記者】
今ほど、年内最後(の記者会見)ということで、今年の県政運営を振り返られましたが、本県を表す今年の漢字1文字について、知事の中であれば伺います。
【知事】
今年の漢字は「開」。「開」(ひらく)であります。
今年の福島は、これまでの挑戦の成果が形となって現れた一年でありました。
まず、唯一全町避難が続いていた双葉町の一部で避難指示が解除され、解除の瞬間、双葉駅前に設置された「希望のとびら」が町民の皆さんの手によって勢いよく“開かれた”ほか、英国等において県産食品の輸入規制が解除され、本格的な輸出の道が“開かれ”ました。また、11年振りにJR只見線において全線で運行が再開し、再び“開かれた”ほか、連日多くの利用客で混雑するなど、大変な盛り上がりが見られました。
さらに、若隆景関の3月場所優勝、只見高校の甲子園出場、聖光学院の甲子園ベスト4進出、いわきFCのJ3優勝とJ2昇格など、積み上げられた努力によって、様々な壁を乗り越えて、新たな扉が“開かれ”ました。特に只見高校は、全国有数の豪雪地帯という厳しい練習環境下においても、創意工夫をして練習に励まれ、また、平成23年の新潟・福島豪雨を乗り越えての甲子園初出場であり、県民の皆さんに大きな勇気と希望を届けてくれました。
こうした様々なものが開かれた一方で、いまだ本県は困難な課題が山積しています。この状況を打開、打ち“開く”こと、そのためにも、これまでの挑戦を進化させていくことが重要です。
今年は未曽有の複合災害からの復興を始め、3月の福島県沖地震や8月の大雨被害などの度重なる自然災害、さらに、長引く新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会・経済活動との両立、原油価格、物価高騰などに対応するため、様々な施策を展開してまいりました。
来年も、4月から開始をした県の新しい総合計画の下、福島の未来を切り“開く”挑戦を続けてまいります。
【記者】
(「今年の漢字」パネルの)「開」の字について、自分で書かれているのでしょうか。
【知事】
これはパソコンで打ち出しております。申し訳ありませんが、私の字ではありません。
【記者】
自分で書いたりはなさらないのでしょうか。
【知事】
これまで、(「今年の漢字」について)この場で御説明しているのですが、(「今年の漢字」パネルについては)いつもパソコンの字を使っております。足らざるところがあれば、お詫び申し上げます。
【記者】
先週、岐阜県で初めて新型コロナの医療対策強化宣言が発出されましたが、福島県内の新型コロナの状況と、県内でもそういった宣言を出す方針があるのかについて伺います。
【知事】
まず、本県の感染状況でありますが、感染者数が高止まりしているということがポイントだと思います。特に12月16日に本県独自の警報を発出しており、これによって、この一週間余り、(一日当たりの新規陽性者数が)前の週の同じ曜日を下回る日が、今日の公表数字も含めて連続しています。
ただ、(一日当たりの新規陽性者数が、)2,000名から3,000名、先週月曜日も3,366名ですから、いずれにしても、非常に高い水準が継続していることは変わりません。
現在、政府が整理しているレベル判断においては、レベル2を継続ということにしておりますが、今、県が発出しているこの警報を、しっかりと県民の皆さんに訴えて、感染拡大防止に向けた取組を継続していただくことが重要です。
この高止まりによって、コロナの患者さんが大幅に増え、負担が増えて医療機関の対応力が低下し、結果として医療提供体制が厳しい状況にあることは変わっていません。特に救急医療の受入制限が発生するなど、一般医療への影響が生じています。その結果、病床の使用率も県平均で59.4%、県北、県中、会津、南会津、いわきでは、相当高い水準にあります。
また、コロナに関連して、休んでおられる医師・看護師数も1,843名と高い水準で継続し、救急搬送困難事案も143件と、非常に厳しい状況が続いています。
こういう状況であるからこそ、福島県医療ひっ迫警報、レベル2とはいえ、この点を県民の皆さん、事業者の皆さんに御理解を頂き、特にこれから年末年始を迎え、人の交流がより活発になります。忘年会、今後の新年会、あるいは帰省された家族との会食などの機会も増えてくるかと思います。是非、県民の皆さんには、基本的な感染対策を徹底していただいて、一日当たりの新規陽性者数を抑え込んでいく、このことに御理解と御協力を頂きたいと考えています。
【記者】
岐阜県の場合ですと、レベル3と判断する目安の一つである「病床使用率」は50%を超えていて、救急搬送困難事案も、今月だけで60件ぐらいも出ているということで、レベル3の判断をしたということなのですけれども、福島県としてはレベル2で、まだ判断を継続している理由というのはどういったところにあるかについて伺います。
【知事】
このレベルの判断は、総合的な指標の判断によります。非常に細かく分かれているのですが、
「確保病床の使用率」は、もう6割に近い状況にあります。また、「確保病床外の病床使用率」も高く、重症者用病床も10.9%ですので、レベル1の水準でありますが、以前に比べるとじりじりと増えています。
ただ、その一方で、発熱外来患者の状況ですとか、「人口10万人当たりの新規陽性者数」、これは何とか警報を出して以降、低下傾向にある。また、社会経済全体の活動状況というものも、今、ひっ迫しているという状況に至っているというお話は聞いておりません。こういったものを総合的に勘案して、レベル2であります。
現在レベル3と整理をしているのは、47都道府県の中では、岐阜県と独自の対策をとっておられる静岡県、この2県かと思います。ただ、今レベル2の判断だから「安全だ、安心だ」ということでは全くありません。極めて厳しい状況が続いていますので、そういった点の注意喚起も含めて、本県独自の警報への御理解と御協力を訴えていきたいと思います。
【記者】
先週、東京電力が処理水を海洋放出した場合に風評被害が生じたときの新しい賠償基準を示しました。それについて、まず受け止めを伺います。
【知事】
処理水の処分に伴って風評被害が生じた場合の賠償については、9月に実施した原子力損害対策協議会の要望活動や今月実施した政府への緊急要望において、国及び東京電力に対し、事業者の皆さんが安心して事業を継続することができるよう、まずは、風評を起こさない万全の対策を徹底して講じるとともに、事業者の方々の納得が得られる明確な賠償基準を早期に策定するよう求めてきました。
また、先週、協議会として全体説明会を開催し、これまで、東京電力が関係団体等から出された意見等を踏まえて取りまとめた風評被害の確認方法や、損害額の算定方法などの賠償基準について説明を求めました。
それらを踏まえ、今般、東京電力が賠償基準を公表したものと受け止めています。
国及び東京電力においては、引き続き、関係団体等の意見を丁寧に伺いながら、それぞれの地域、業種の実情に応じた賠償に、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
示された内容を知事も御覧になったかと思いますけれども、評価としてはいかがでしょうか。
【知事】
この説明会の中でも、それぞれの業種、事業の代表の方から、様々な具体的な御意見がありました。まず、一定のフレーム、骨格としては示されています。それに対して理解を示しておられる事業団体もあるように見受けられました。
ただ一方で、多かった意見は、より細部の部分が大事だと。特に個別の実情に応じて、東京電力が丁寧に対応していくことが大切だという御意見が非常に多かったと考えております。
今回は一定の骨格、フレームを出して、ある程度皆さんに対して御説明したところでありますが、先般の説明会もそうですし、それ以外にも各事業団体からの個別の要望も出ております。
そういったものも踏まえ、国、東京電力においては、誠意を持ってきめ細かく対応していくことが重要だと考えています。
【記者】
団体によって、まだまだ不十分なところもあるというような感触でしょうか。
【知事】
先般の説明会の状況を御覧になっているかと思いますが、そういったそれぞれの意見に対して、今後このフレームにより肉づけをしていく、きめ細かく対応していくことが大切だと考えています。
【記者】
出席者の方から、賠償はもちろん必要なのですけれども、その新たな線引きによって、またコミュニティーの分断であったり、県民同士のいがみ合いのようなものも生じるというような、悲痛な訴えもありました。
11年以上も前の事故で、まだこんなに県民が苦しんでいること、新しい苦しみを与えられることについて、どのようにお考えか伺います。
【知事】
今のお話は、処理水の風評賠償のお話ですか。それとも、別の自主的避難等の関係のことについてですか。
【記者】
今の発言は処理水放出に当たっての会議での発言だったのですけれども、今、知事に御指摘いただいたように、ほかの分野においても新しい線引きであったりとか、賠償の基準を変えることによる分断というものも生じているかと思うのですけれども、その全体についてどのようにお考えか伺います。
【知事】
まず処理水の関係については、様々な御意見があったと思いますが、この骨格をベースにして、よりきめ細かな対応をしていただきたいという意見が多かったかと思います。
したがって、先ほどからお話しているとおり、政府、東京電力において丁寧に対応していくこと、あと、私どもが望んでいるのは、そもそも賠償が必要な事態にならないように風評対策を万全に講じることです。まずはこれを大前提として求めておりますので、この点を県としては、まず訴えていきたいと考えています。
また、原子力損害賠償の関係でありますが、今回、前回の指針見直しから9年振りにようやく指針が見直されたところであります。
その中で、地域によって様々な受け止め方がありました。今回の指針見直しを踏まえて、国及び東京電力において、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償がなされるように、スピード感を持ってこの賠償対応に取り組んでいただきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 大相撲 若元春関の三役昇進について
→文化スポーツ局スポーツ課 電話024-521-7742
3 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
4 ALPS処理水の風評被害に係る賠償基準の公表について
→避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-7103