■日時 令和元年10月15日(火)17時00分~17時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 台風19号による犠牲者の氏名公表について
2 台風19号による被災状況の現地視察について
3 欧州訪問中における対応について
4 台風19号による被害への対応について
5 自民党二階幹事長の発言について
【質問事項】
【記者】
今回の台風による犠牲者がかなり出ていますが、犠牲者の氏名を公表するかについて、県のスタンスを伺います。各警察署に取材すると、市町村が発表するので取材には答えられないと言う一方で、市町村は、警察から情報をもらっているので詳細は分からないという状況です。警察は鑑識の結果などを待っていると思いますが、このまま発表されないということでしょうか。先ほどの災害対策本部員会議でも、災害対策課長から、県からは主体的に発表しないという回答がありましたが、県としての方針などあれば教えてください。
【知事】
昨日、そして今も、そういったお話を頂いております。御意見を真摯に受け止めた上で、災害時の犠牲者の方の氏名については、犠牲者の方やその御家族等のプライバシーを尊重し、これまでも災害対策本部としては公表をしていないところであり、今回も従来と同様の対応を継続する考えです。
【記者】
福島県の場合、原発事故で県外に避難している方も多く、全国から心配されている方もいらっしゃると思うので、是非前向きに検討していただければと思います。こういう問題もあるということを指摘しておきたいと思います。よろしくお願いします。
【知事】
御意見として受け止めさせていただきます。ありがとうございます。
【記者】
氏名公表の件を調べてみると、宮城では県警が公表している事例があります。先ほど知事は、犠牲者あるいは家族のプライバシーがあるので、公表は難しいというお話をされていましたが、一方で、今回のいわき市のように後になって出てくるという事実もあります。犠牲者及び家族のプライバシーという部分に重きを置き過ぎて、萎縮してしまっている部分があるとすれば、むし積極的に公表するという姿勢を示すことも大事だと思います。先ほど(災害対策)本部としては発表しないと言っていましたが、知事として、県警や関係機関に対して呼び掛ける予定はないのでしょうか。
【知事】
様々な御意見があるかと思います。また、私が知っている範囲では、47都道府県の中で、宮城県のような事例は比較的少ないのではないかと思います。いずれにしても、災害における犠牲者の方の氏名公表については、犠牲者の方やその御家族等のプライバシーを尊重し、従来と同様、今回もそういった対応を継続していく考えです。
【記者】
今日、被災地を視察されましたが、被害現場を見て、知事は率直にどのように感じ、どういった支援が必要なのかについて教えてください。
【知事】
本日、鏡石町、須賀川市及び郡山市の被災状況を確認し、市長や町長を始め、地元の方々から直接、今回の甚大な被害の状況を伺うことができました。
まず、鏡石町の成田地区では、阿武隈川の堤防の決壊により、広範囲にわたって農地が浸水し、米・野菜などに甚大な被害が発生しておりました。また、その周辺の家や店舗等でも大きな影響を被っておられました。こうした点を拝見して、被害を受けた農家の皆さんの支援に全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。
次に、須賀川市舘取町ですが、浸水によって尊い命が失われた現場を2か所拝見させていただきました。災害に遭われた県民の皆さんの、一刻も早い生活再建に取り組んでいくことが必要であること、また、皆さんが本当に汗を流しながら、泥だらけになって、自宅あるいは会社等の片付けをしている姿を拝見し、ボランティア等の多くの方々の力が必要であるということを感じております。こういった点について、社会福祉協議会や自治体と連携しながら、それぞれの家屋やお店の方々が、人的支援も頂きながら、速やかに対応できるよう、サポートしていきたいと考えております。
また、郡山市では逢瀬川から水が溢れ、浸水した赤木小学校の状況を、校長先生の案内を頂きながら確認しました。学校再開に向けて懸命に現場で活動されている先生方、またこの数日、生徒の親御さんたちがボランティアで参加して、体育館や教室の一部が既にきれいになっていました。私は、まだ全く手つかずの場所と、きれいになった場所の両方を拝見しましたが、手が入っていないところは本当に大変厳しい状況であり、この状況からきれいにするのに、どれだけ皆さんが御苦労されたかを肌で感じました。こうして、既に復旧に向けてがんばっている先生方や親御さん、そして地域の皆さんに、心から敬意と感謝の意を表したいと思います。現場の皆さんは、赤木小学校はまだ少し時間がかかるという感覚でありますが、子どもたちに出来るだけ早く本来は、の小学校の場でスタートさせたいということを、懸命に話しておられました。郡山市、県教育委員会、文部科学省も既に視察に来ていましたが、今後は皆さんと力を合わせて、学校再開に向けて取り組んでいかなければいけないという思いを新たにしました。
今回の災害の視察を通じて、台風19号による被害の大きさ、また、これから復旧・復興を進める上での課題の大きさ、重さを目の当たりにしております。まず、被災箇所の早期復旧、被災された方の生活再建に向けて全力を挙げて対応していこうと思っております。明日は二本松市、本宮市、いわき市の被災箇所を視察してまいります。
また、日々課題が変わってまいります。様々な状況で進捗するがゆえに、新たな課題が生じてくるという部分もありますので、今後対処すべき多くの課題を、その時点時点で臨機応変に受け止めながら、全庁一丸となって対応を進めてまいります。
【記者】
本日、須賀川市の視察に行かれた時に、直接その被害に見舞われた住民の方と対話されていましたけれども、知事がそちらで印象に残っている言葉ですとか、それを受けて県としてどのように対応していかなければならないと思ったのかについて教えてください。
【知事】
あの地区は本当に多くの浸水によって、1階部分が極めて大きなダメージを受けておられました。以前からそういった傾向がありましたので、住民の皆さんは一定の準備をされておられました。ただ、その準備をはるかに超える溢水の被害によって、深刻な影響を受けていました。そのような中でも、今日の段階では既に本格的に家屋の片付けに入っておられ、お住まいの方だけでなく、近隣の方々、関係の方々が既にサポートに入っておられ、懸命に作業に取り組んでおられる姿に感銘を受け、敬意を表したところです。一方で、こういった問題は個々人だけでは解決出来ないところがありますので、現在、それぞれの自治体と社会福祉協議会で窓口をしっかりとつくり、ボランティアの受入れを行うなど、多くの御尽力を頂きながら、当面の対応をしていく必要があると思います。
福島のすばらしさというと、正確に伝わるか分かりませんが、お互いに助け合っているということを感じました。体調の悪い高齢の方もおられますが、そういった方々が避難される時に、お互いに声をかけながら事前に避難されたとか、あるいは片付けの際に「じいちゃんの家は難しいからみんなで助け合わなきゃいけない」というお話もありました。一方で、亡くなられた方がおられ、市の方々も悔やんでおられたという話があり、そういった点が印象的でした。
まず目の前の状況にしっかりと対応しつつ、こういった大規模災害に対して、特にソフト面で何が出来るのか、より強化していかなければいけないということを、今日の視察を通じて実感しているところです。
【記者】
今回の水害で、福島県が今のところ全国で最も多い死者数となっておりますが、これだけ被害が拡大したのは、地形や夜の災害であったことなど、いろいろあったと思いますが、亡くなった方を見ると高齢者が多く、移動中に流されてしまったというケースもあります。その辺をどう分析して、これからどうしていくべきかについて見解をお聞かせください。
【知事】
まだ正確に分析するという状況ではありませんが、ここ数日で私自身二点感じているところがあります。
特に今日、現地視察をしながら感じたのは、皆さんが以前の「8.5水害」の時に比べて、(水が)3倍の高さまで来たという表現をされていました。従前も非常に大きな水害が発生しましたが、その時に比べて3倍の高さ、当時も1メートル近くあったと思いますが、2メートル3メートルというレベルで今回の水害に襲われたということです。従前にそれだけ大きな災害に遭っておられるので、そういったイメージが皆さんの中にはあったと思います。その災害にまず対応しなければならないという危機意識はもちろん持っておられたと思いますが、それをはるかに上回る災害の規模だったがゆえに今回、亡くなられた方もおりますし、また、家屋の状況も含め、我々の想像を超えた部分があったのではないかという点がまずあります。須賀川市、郡山市でも、想定ハザードマップを拝見しながら現地を見ました。正にそのハザードマップのエリアの中全体が、今回そういった溢水被害を受けていました。したがって、そのハザードマップのつくり方も、従前の災害を前提にしながらつくるということは一般的な対応ではありますが、今回の状況というものを勘案すると、どこまで想定したらよいのかというところを、まずは検証していかなければいけない、これが一点目かと思います。
そして二点目は、災害弱者の問題だと思います。特に東日本大震災以降、要援護者への対応について、各自治体とも非常に丁寧に取り組んでおられます。どこの家に、どういった方が住んでおられてどういう状況かを、民生委員の方のお力もお借りしながら、一定程度リストアップして、特に今回のような台風の場合は、事前にある程度期間もありますので、早期に避難していただくためにお手伝いするということで、準備はしていただいたと思います。ただ、それも「手挙げ方式」といって、自治体によって異なる部分があるかもしれませんが、助けてほしいといった方に対してはすぐ対応ができますが、手を挙げられない方に対して、そこまでしきれていない部分もあったかもしれません。したがって、要援護者対応というものに対して自治体によっても取り組み方が異なると思いますが、どこまでやったらいいのか。こういった点を、今回の台風災害の結果を受けて、改めてきちんと総括していかなければいけない部分があると思います。ただ、やはりそれぞれの自治体の状況や災害の状況によって異なりますので、一律のルールということではないと思います。いずれにしても、まだこの数日間での印象であり、今後、時間をかけて検証し、また次の災害に対し強化する形で、ソフト対策を進めていかなければいけないと考えております
【記者】
台風19号が直撃した際に、知事はヨーロッパ外遊中でしたが、12日に帰国する予定が、飛行機が欠航して14日に帰国することになったかと思います。現地でどのように情報収集や、対応指示に当たっていたのかをお伺いします。
【知事】
今回、私自身が12日に帰る前提で日程を組んでおりましたが、結果として、便が半日ごとにずれていきました。出来るだけ早い便を確保するため、その時点時点で一旦取れたのですが、次の便がダメになり、また次の便がダメになったことから、結果として昨日に至ったということです。様々な方のお力をお借りしながら、まずは早期に帰国するという対応を取りながら、並行して、宿泊していたホテルで、継続して現地の状況を確認しておりました。ホテルは通信環境が安定しておりましたので、日本のテレビのニュース等も見ることが出来ました。また、県庁からも随時情報が上がってきましたので、これらを確認し、例えば、災害対策本部の設置、あるいは自衛隊への救援要請、さらには、災害対策本部にテレビ会議を通じて参加するなど、現地において出来ることは全てやるという思いで対応しておりました。特に後半は、市長さん、町長さんにも直接、ヨーロッパから電話して、どのような状況になっているか、困った部分はないかという話をし、その上で、必要なことは副知事等に指示して、ヨーロッパにいながらも、現地の思いを出来るだけ反映できるように、こちらからお話ししました。ただ、やはり今日も改めて感じているのは、遠隔で最善を尽くしたとは言え、中々十分に出来なかった部分、現場を直接見ることが出来なかったという点は感じるところがございます。今回の日程の組み方、特に、ベルギーで欧州委員会の幹部とお会いして、今後のEUの輸入規制について話が出来るというのが最終日だったこともあり、結果として、こうなった点を重く受け止めております。
【記者】
台風が来るというのは、外遊の日程を組んだ時点では分からないと思いますが、台風19号は過去最強クラスと言われていて、知事不在の中で、事前に万全の体制は取れていたのでしょうか。
【知事】
台風が襲来する時点において、県の災害対策本部の立ち上げや、県としてなすべきことは、私自身がヨーロッパにいながらも、実質的に県庁にいて指揮していたのとほぼ同じ状態だったと思います。したがって、そういう意味では対応は出来ていたと思います。
いずれにしても、これからの部分も含めて、なすべきことはたくさんありますので、今、こうして福島に戻ってきて、日々、現地を拝見し、また、市町村長さん、地元の皆さんからお話を伺いながら、県として出来ることを最大限やっていくことが大切な責務だと感じております。
【記者】
県内各地で断水が長く続いていて、今後の見通しが立たない地域もあります。知事の認識と、県としてどのように対応していくのかお聞きします。
【知事】
県民の皆さんが安心して暮らしを営むためにも、インフラの復旧が極めて重要です。電気、ガス、水道、交通も含め、一刻も早く取り戻すことが重要だと考えております。また、県内各地で、今回の台風19号による断水が生じています。関係機関と力を合わせながら、まずは臨時の復旧に力を入れているところです。その上で、当面の対応として、市町村、自衛隊、各県の力もお借りしながら、給水車の配置や、住民の皆さんに対する臨時の風呂の提供等も進めていきたいと思います。
また、断水しているため、汚れた家を片付けることが出来ない。私が伺った場所は水が使えたので洗い流すことが出来る地域でしたが、一方で、市町村長と電話で話す中で、水がないため洗うことが出来ないという悲痛なお話も頂いております。そういう意味でも、公共インフラを出来るだけ早く復旧するように、関係機関と力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
【記者】
自民党の二階幹事長が「ほどほどで収まってよかった」と、13日の会議で仰っていましたが、被災県の首長としての御意見をお伺いします。
【知事】
そういった内容を報道で拝見しております。今、正に有事の時であります。国においては、激甚災害の指定を始め、迅速かつ的確な対応をお願いしたいと思います。
(終了)
【問合せ先】
災害対策本部事務局
(危機管理部災害対策課 電話024-521-7641)