■日時 平成29年3月27日(月)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 福島第二原発の廃炉について
2 避難指示解除について
3 福島イノベーション・コースト構想について
4 避難指示解除と除染の進捗について
5 県民世論調査結果について
6 東京電力について
7 自主避難者への支援について
【知事】
以前から、福島県内の原発、全基廃炉ということを国、東京電力に対して訴えてまいりました。その際、私が常に申し上げているのは、これは県民の強い思いであるということであります。今回の調査結果は、ある意味それを裏付けるものと考えております。これからも国、東京電力に対して、県民の強い思いをしっかりと訴え、全基廃炉を要請し続けてまいります。
【記者】
一方で、「一部」又は「全て稼働すべき」という答えを合わせると、1割くらいの方は稼働を希望しているということも今回の結果から出てきたのですが、どのようにご覧になりますか。
【知事】
これは様々な御意見があろうかと思います。ただ、一つ確かなことは、2011年3月の福島第一原発の事故によって、福島県が甚大な被害、損害を受けている事実でございます。避難区域はもちろんのこと、福島県全体が風評の問題も含め、本当に厳しい状況に置かれております。それは過去形ではなく、現在進行形の問題であります。こういう状況にあるからこそ、福島県として、県民の強い思いとして、全基廃炉を訴え続けていくことは、我々の重要な使命であると考えております。
【知事】
今週末に飯舘村、川俣町、浪江町、そして富岡町の避難指示が解除されます。町村長さんを始め、関係の皆さんのこれまでの御労苦に心から敬意を表したいと思います。避難指示の解除は、復興へのスタートラインであり、これからの取組が極めて重要です。これまでも県として、避難地域の復興再生に向けて、国、地元自治体と連携して生活環境の整備に取り組んでまいりました。多くの方が帰還したいと思っていただけるように、引き続き、取り組んでまいります。
また、一方で、帰還困難区域など今後も避難指示が続く地域もあります。この地域の避難指示が解除されて、住民の皆さんが本当の意味で復興を実感できるようになるためには、残念ながらまだ時間がかかる。これも現実でございます。しかし、長い年月を要するとしても、必ずこの地域の復興再生を成し遂げるという強い覚悟を持って、これからも国、自治体、関係の皆さんと力を合わせて取り組んでまいります。
【記者】
今回戻る方もいらっしゃると思いますが、一方で、いろいろな世論調査を見ますと、まだ不安があって戻れないという方もいて、そういった方々について、自主避難者に切り替わっていく中で、改めて県としては、どのようにケアをしていくのか。それから生活環境の整備とおっしゃっていましたが、特にどういったところに、一番力を入れていきたいのか。その2点についてお伺いします。
【知事】
今回、避難指示が解除されることによって、比較的早い段階でふるさとに戻られる方も一部おられます。一方で、どのタイミングで戻ろうかという悩みを持っておられたり、あるいはもう戻らないんだということを決めておられるなど、いろいろなお気持ちを持って考え、悩んでおられる方が多いと思います。
避難指示解除はあくまでも復興のスタートラインですので、それをもって「帰りなさい」ということではありません。今回、避難指示区域が解除されたことによって、いわゆる「自主避難」に切り替わるということではありません。それはあくまでも別の概念ですので、まず避難指示が解除された地域の方、当面、今の避難先での生活を続ける方は、これからふるさとがどうなるのか、再生は本当に進むのかというお気持ちを持っておられると思います。県として、例えば地域医療や公共交通の問題、商業施設の問題、あるいは郵便局や銀行といった様々な生活環境施設、こういったものをきちんと関係の方と力を合わせて、まずつくっていく。そういう中で、より安心してふるさとに戻ってもいいかなと思っていただけるような環境をつくっていくことが重要な仕事だと考えています。
【記者】
昨今、復興庁の調査でも、何割戻る、戻らないとあるのですが、生活が安定してしまうと、戻る、戻らないというのは、あまり本質的な議論ではないと思います。新しい産業を起こしていかないと、たぶん人口は増えていかないのかなと、もうこれ以上、戻る、戻らないについて議論しても中々進まないと思います。元々原発があったところで原発に従事していた人がいて、原発がなくなれば人もいなくなるということで考えると、知事自身も新しい産業を起こして人を増やしていくという取組をされていると思います。今後、人口を増やしていくのは中々難しいと思いますが、どのように新しい発想でやっていくのかお話しください。
【知事】
避難指示区域の今後の在り方については、大切な視点が二つあると思います。一つは、元々のふるさとに住んでおられた方にできるだけ多く戻っていただいて、また笑顔でふるさとでの暮らしを取り戻していただくこと。これが極めて重要な一つ目の視点だと思います。現在、比較的早い段階で避難指示が解除された地域では、7割程度の住民が戻られていて、ある程度落ちつきを取り戻してきている部分もあろうかと思います。ただそういった方でも、やはり避難指示前のふるさとと今は違うという思いを持っておられます。そういう意味で、比較的戻った地域も含め、まだまだ全体として取り組むべき課題はあろうかと思います。また、避難指示解除が比較的最近のところですと、まだ1割程度しか戻られていないということになりますので、住民の皆さんの思いをこれからも聞きながら、一つ一つの課題をどう解決するかということを関係者で頭を悩ませながら、形にしていかなければいけない、これが一つ目の視点になります。
そしてもう一つが、今、御指摘いただいたのですが、あの地域に新しい産業を起こす、あるいは、イノベーション・コースト構想を形にしていく中で、外から人が入ってくるということも大事な視点になります。既に今、第一原発の廃炉対策、あるいはイノベーション・コースト構想の関係で新しい企業があの地域に入ってきています。そして作業員の方やそれに関わる方々が住居を構えて、例えば、大熊町の大川原地区のように、新しい住宅が建ち、新しいメンバーが来て、そこを拠点にして日々の仕事をされているという方が増えてきています。今後、イノベーション・コースト構想を具体化していく、あるいは廃炉対策が進捗していく中で、あの地域に新しい住民の方が入ってきて、その方々がふるさとに戻られた住民の皆さんといい形で共存しながら暮らしていくということも、二つ目の視点として大切だと思います。
この両方の視点を合わせて丁寧に進めていくことが、避難区域の復興再生にとって極めて重要だと考えております。
【知事】
今国会に上程されていますが、福島復興再生特別措置法の改正法案の中で、イノベーション・コースト構想が国家プロジェクトとして位置付けられることとなりました。また関連する予算や、関係企業の皆さんの意欲も非常に高いものがあります。ここに地元の中小企業の皆さんも参画をしていただいて、イノベーション・コースト構想の具体的な形が見えないのではないかという御指摘もありますが、当面、拠点が間違いなく出来上がってきます。外から入ってきている企業も間違いなくあり、構想は幅が広い概念ですので、再生可能エネルギーやロボット、水素関係等々、具体的なプロジェクトも一つ一つ進捗が見られます。こういった輪を広げていく中で、新しい視点で多くの住民の方に外からも入っていただき、元々の方と一緒に力を合わせて、あの地域の再興を図っていく、そういうものを是非形作っていきたいと思います。
【知事】
まず、避難指示区域の解除については、2年ほど前に自民党本部で様々な議論を重ねながら、今年の3月末までに、基本的には帰還困難区域を除いた地域で避難指示を解除するように、国として取り組んでいきたいという方向性を出されました。御指摘がありましたとおり、一部の居住制限区域等については、他の地域との関係があって、結果的に避難指示が解除されない部分もございますが、基本的には国の方針が一定の形を満たしていると評価しております。ただ、解除するということで、全てが片付いたということではまったくなく、あくまでも復興のスタートラインであるということを、改めて我々は肝に銘じるべきだと考えております。ここからまだまだなすべきことはたくさんあり、また帰還困難区域や一部残った他の地域も含めて、どの段階で解除できるようにしていくのかという議論を、今後拍車をかけていかなければいけないと考えております。
また、市町村除染については、各市町村が努力をここ数年重ねる中で、相当程度、目標に達しつつあると思います。ただ、森林除染の方向性が十分整理されていなかった時期があり、あるいは道路の関係では、側溝除染の方針が比較的最近固まってきたわけであり、それとのリンクもあって、結果的に今年度末に間に合わなかったものも一部ありますが、全体として見ると、ほぼ完了しているという評価ができるかと思います。市町村の皆さんが過去前例のない状況に対応しながら、懸命に取り組んでいただいた成果だと考えております。
【知事】
まず、今回の調査結果を真摯に受け止めております。震災から7年目に入りました。福島県民の皆さんがどうやって復興再生が前に進むのかということを本当に心待ちにしておられます。そういった県民の思い、期待というものを、私自身が自分の真ん中に常に置きながら、復興・創生の施策を全力で進めていく中で、その思いに一つ一つ答えていきたいと考えています。
【知事】
今回の報道は目にしていますが、具体的にどうなるかという話をまだ伺っておりません。いずれにしても、東京電力は2011年3月の原発事故の当事者であり、原因者であります。今、福島県は原子力災害によって、依然として厳しい状況に置かれています。こういう状況というものを社全体として、あるいは今後の新しい体制においても引き続き、真摯に受け止めて、例えば、第一原発の廃炉対策や賠償問題の対応など、取組の一つ一つにしっかりと結果を出していただきたいと考えております。
【知事】
まず、今の時点で、一戸一戸、戸別訪問をしながら、一部残っておられる方々、方向性が定まっていない方々への丁寧な対応を続けているところでございます。結果として、3月末までに退去できない避難者の方々が出てこられる場合には、それぞれの御事情を丁寧にお伺いしながら、避難元の市町村や関係機関と連携しながら対応してまいります。
【記者】
改めてになりますが、4月以降に、「すぐ出ていけ」というようなことはあるのでしょうか。
【知事】
繰り返しになりますが、一世帯一世帯、事情がそれぞれ異なります。そういった事情を丁寧に伺いながら、我々としてはきめ細かく対応してまいります。
(終了)
【問合せ先】
1 福島第二原発の廃炉について
→ 企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116
2 避難指示解除について
→ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439
3 福島イノベーション・コースト構想について
→ 企画調整部企画調整課 電話024-521-7129
4 避難指示解除と除染の進捗について
(避難指示解除に関すること)
→ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439
(除染の進捗に関すること)
→ 生活環境部除染対策課 電話024-521-7276
5 県民世論調査結果について
→ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
6 東京電力について
→ 企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116
7 自主避難者への支援について
→ 避難地域復興局生活拠点課 電話024-521-8304