■日時 平成29年3月21日(火)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 避難住民による訴訟について
2 東京五輪(野球・ソフトボール競技)の県内開催について
3 県名変更の提案について
4 中国での日本産食品についての誤報について
【知事】
司法による判断についてはコメントを差し控えます。いずれにしても、国及び東京電力は、廃炉の取組についてあらゆるリスクを想定し、福島県民の安全・安心の確保を最優先に、確実に進めていただきたいと考えております。
また、原子力損害賠償については、被害の実態に見合った賠償が的確になされるべきであると考えております。
【知事】
先週、福島県内において、野球・ソフトボール競技が開催されることが決定されました。これは、福島県が2020年に向けて、復興を進めていく上で、大きな意義があると受け止めております。その際、大切なキーワードが3つあります。一つは「感謝の発信」、二つ目が「復興の発信」、三つ目は「交流の発信」です。2020年、福島で開催していただくという機会を捉えて、これまでいただいた御支援に対する感謝をきちんと申し上げること。そして、10年というスパンの中で、福島県の復興がここまで進んだということを全世界にお示しすること。さらに、オリンピックという機会を通じて、できるだけ世界中、日本中の多くの方々との交流を進めていくこと。こういった貴重な発信の機会にしていきたいと考えております。
【記者】
関連ですが、知事が議会で誘致するとおっしゃってからここまで来ました。今、様々な思いをお話され、これまで水面下での交渉もあったと思いますが、最後に開催が決まるまで、知事御自身がドキドキしたところはありますでしょうか。誘致に当たりわくわくするなど、いかがでしょうか。
【知事】
今回、競技の誘致に至るまでのプロセスで、非常に多くの方の御支援を頂きました。例えば、森喜朗組織委員会会長や遠藤代行を始め、丸川大臣、さらに東京都の小池知事など、多くの方々が、福島で開催することは意義がある、何とか形にしたいということで、全力で応援していただいたことを大変うれしく感じました。
一方で悩ましかったのは、この五輪の開催によって一定の経費負担があることです。特に、仮設経費の在り方について、昨年の中頃から不透明な状況になっていました。そういった状況において、受入れ自治体が仮設経費を負担することになりますと、復興五輪という名目を果たさなくなってしまう可能性があるという点について、組織委員会と様々な協議を進めながら、特に、福島県は、複合災害の被災県でもありますので、そういった点が整理されないと安心できないということを強く訴えて様々なお話をしてまいりました。結果として、今、いい方向に向かっておりますので、復興五輪の名の下で、2020年の福島での競技開催を多くの県民の皆さんが笑顔で迎えることができるよう、これからの3年間、一日一日を大切にして、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
【記者】
私どもが見ていて、(開催決定の)電話を受けたところはセレモニー的なもので、知事はどこかのタイミングでは、(開催が)決まったことを聞いたと思いますが、その時の気持ちはいかがでしたか。
【知事】
先週の火曜日、3月14日に、遠藤代行とIOC理事会から福島開催を提案したいというお話を頂きました。その時は、喜びというよりは、むしろ、これは2020年の本番に向けて、やらなければいけない大切な仕事であり、それを成し遂げることによって県民の皆さんを笑顔にしたい、新たな責任、重責を負ったという引き締まった気持ちになった、というのが私の率直な思いです。
【記者】
先週、五輪の関係で受け入れた後に、知事から改修費用の県の一部負担はやむを得ないというお考えがありました。先ほど、「結果として良い方向に進んでいる」とのお話がありましたが、これは例えば、県が一部負担しなくてもいい方向に事態が進んでいるのか、あるいは五輪が開催されるということに対して良い方向に行っているとの受け止めなのか、お伺いします。
【知事】
県営あづま球場は、御覧になって分かりますとおり、相当、老朽化が進んでおります。したがって、県営あづま球場の一定の改修は、オリンピックの有無にかかわらず、実施するタイミングが自ずと来ると受け止めており、県がきちんと対応していくことが大切だと考えています。一方で、オリンピックの時だけ使う仮設的なものは、福島だけではなく、例えば宮城県など他の自治体も含めて、同じ状況にあります。そうした自治体としっかりと連携、協議しながら、しかるべき対応を求めていきたいと考えています。
【記者】
野球を福島で開催すると、良い意味でも悪い意味でも世界中の注目が福島に集まると思います。中通りの元気な様子は伝えることができると思いますが、浜通りの現状を、世界中から注目が集まった時にどのように伝えていくのか、考えをお伺いします。
【知事】
私は常々、キーワードとして「光と影」という言葉を申し上げています。震災から丸6年が経った福島県、明るいニュースが増えてきましたが、まだまだ重い深刻な課題を抱えています。したがって、明るい部分も、厳しい状況も発信することが大切です。これから3年間で2020年を迎え、その間の努力もあって、明るいニュースも相当増えていくと思います。しかし、震災から10年経っても、福島県には難しい課題が依然として存在していると思います。したがって、2020年時点における「光と影」を正確に発信してことが、重要だと考えています。特に浜通りは、地震、津波、原発事故、風評という複合災害、悩ましい問題を直接抱えている地域です。浜通りの現状も発信していきたいと思います。例えば、Jヴィレッジにおけるサッカー等の合宿や、聖火リレーのコース選定も今後議論になってきますが、そういう場においても浜通りを直接、世界の方、あるいは日本中の方に見ていただけるような機会を是非、県としてつくれるよう、努力していきたいと思います。
【記者】
先ほど知事がおっしゃられた常設設備としてのあづま球場の改修は、県がしっかりとやっていくということですが、その認識は大会組織委員会と共有しているということでよろしいでしょうか。
【知事】
組織委員会とは、この半年余り丁寧な協議を重ねてまいりました。同じ認識です。
【記者】
具体的な負担割合は、今後でしょうか。
【知事】
実際にWBSCとの関係等もあり、具体的な内容は今後です。
【記者】
野球・ソフトボールを福島で開催することについて、球場の改修費用も大事なのですが、(中国での)ちょっとしたデマでも騒動が起こるということから、福島で開催されることについて、外国ではまたいろいろと出てくると予測されます。これらについては、知事はどのようなスタンスでの対応を考えていますか。福島で開催するからこその何かを考えてらっしゃるのか、この機会をどのように活用するのかをお伺いします。
【知事】
震災から3月11日で丸6年が経ちました。先ほどから風評についての話をしていますが、実は風化の問題も非常に深刻だと考えています。時間の経過とともに風化が進んできているという危機意識を持っています。そういう中、2020年の東京五輪で、福島県が野球とソフトボールの会場になるということで、改めて、福島、ローマ字のFukushimaも含めて、皆さんから非常に注目を集めていると思います。そして、これから1年、2年、3年と本番に近づくにつれて、世界中から注目が集まることは、風化対策としては意義があると思います。ただ、その時、誤解に基づく風評とセットの注目では困りますので、例えば、福島県内の放射線量の状況、農産物は放射性物質の問題がないという状況、あるいは県民が復興に向けて元気に懸命に努力を続けている姿、そういったものを丁寧に発信していく中で、風評・風化対策の一環としての意義をつくることができるのではないかと思います。ただ、これからも誤解、偏見がどうしても続いて、長い戦いになることは覚悟しなければならないと思いますので、1回、2回、施策を打ったから片付くという問題ではないので、国や政府、関係機関と一緒に丁寧な対応を長く続けていくことが重要だと思います。
【知事】
県名変更の議論が、現時点において出てきているという認識はありません。結論はシンプルで、福島県はこのまま「福島県」として、復興・創生していくことが何よりも重要だと考えております。確かに、原発の名称で県の名前が付いているところは非常に少ないです。そういった意味で、福島第一原発の事故によって、福島県全体が風評被害の対象になり、いろいろな誤解や偏見の対象になっているという重い現実は、真正面から受け止めなければいけません。しかし、例えば、県名を変更したから、そういったものが払拭できるかというと、私はそうは思っていません。福島県民は「福島県」という伝統ある名前に誇りを持っていて、「ふくしまプライド。」という言葉を常々使わせていただいております。確かに、ネガティブなイメージの付いた福島ですが、県民、行政、全ての主体が挑戦を重ねることで乗り切り、ネガティブなイメージをポジティブに変えていくことが我々の復興・創生そのものだと考えており、これからもその思いで真っ直ぐ進んでいきたいと考えています。
【知事】
福島県産物でも特に農産物や観光は、様々な風評で苦しんでいます。今回の案件も含めて、正確な情報をどのように世界に伝えていくかが、我々の重い課題であり、長い戦いだということを覚悟しています。例えば、農林水産物で、玄米や海の魚は、2年連続で基準を上回るものは出ていません。野菜、フルーツ、栽培きのこ、畜産物等は、4年連続で基準を超えるものはないという事実があります。こういった科学的なファクトを世界にできるだけしっかりと伝えていくこと、そして、福島県の安全対策を正確に発信していきたいと思います。できれば来て、見ていただくと、そういったものが腑に落ちるということを我々は幾度も経験していますので、そのような機会を県として努力しながら積み重ねていき、正確な情報を世界に伝えていきたいと思います。
また、今回の件は典型なのですが、福島プロブレムではなく、日本プロブレムです。したがって、国、政府として、特に2020年の東京五輪に向けて、この風評の問題は、福島の問題ではなく、日本全体の問題だという危機意識を共有していただき、一緒に取り組んでいくことが大切だと考えています。
(終了)
【問合せ先】
1 避難住民による訴訟について
⇒ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-8054
避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-8045(H29.4.1以降は024-521-8073)
2 東京五輪(野球・ソフトボール競技)の県内開催について
⇒ 文化スポーツ局スポーツ課 電話024-521-7312
⇒ (海外等での風評・風化対策に関すること)
生活環境部国際課 電話024-521-7181
総務部広報課 電話024-521-7124
3 県名変更の提案について
⇒ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
4 中国での日本産食品についての誤報について
⇒ 農林水産部農産物流通課 電話024-521-8041