■日時 平成29年3月13日(月)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 福島第二原発廃炉法案について
2 情報発信について
3 震災から7年目を迎えて
4 政府主催の追悼式について
5 避難者数について
6 避難している子どもへのいじめについて
7 道徳の副教材について
8 韓国チャーター便について
【知事】
第二原発の廃炉法案が国会に提出されたことは承知しております。今後、国会において、どのような議論がなされるのか、その推移を注視してまいります。福島県としては引き続き、国、東京電力が当事者ですので、この第二原発を含む県内原発の全基廃炉を機会があるたびに訴えてまいります。
【記者】
法案に対しての評価はどうでしょうか。
【知事】
法案については、国会においてどのような取扱いがなされるかということと思います。
【知事】
3.11に近づくにつれ、様々なメディアで福島や東北の震災、原発事故について取り上げていただくことは意義があると思います。全体としては、「課題が多い」、「まだまだ苦労が多い」という形での取り上げ方だと思いますが、復興が丸6年経ってここまで進んでいるというポジティブなメッセージもありました。
一方で、今お話もありましたが、特に、福島では原子力災害があり、5年、6年経ったから、だいぶ片付いてほぼ終わりに近づいているという状況では全くありません。むしろ、まだこれからということもありますので、きちんと必要な期間、適切に報道していただく、あるいは国民的に見守っていただくということが大切だと思います。県としては、風化することがないよう、長い戦いであること、今こういう状況だということの「光と影」を正確に伝え続けていくことで風化防止を進めていきたいと考えております。
【記者】
知事は昨日の日曜討論の中でも、「光と影」と冒頭におっしゃっていましたが、どうしても影の部分が6年経っても未だに報道され、返ってそこが掘り起こされています。もちろんメディアにきちんと報道してもらえることもありますが、その辺をどのように解消していくのか、どのようにこれから取り組んでいかれますか。
【知事】
率直に言って悩ましい問題です。「光と影」という2つの側面が福島県内に間違いなくありますが、影の方がどちらかというと取り上げやすいということです。例えば、原発の廃炉がこんな状態である、今でも避難区域がこれだけある、避難指示が解除されたけど、住民の皆さんはまだまだ戻っていない。あるいは、仮設住宅に丸6年経っても住んでおられる。こういった切り取り方の方が全国的に報道しやすいのだろうと思いますが、これはこれで事実ですので、そういった報道は当然あって然るべきだと思います。
一方で、我々が「光」と言っていることは、実は当たり前に復する、あるいは当たり前の形に戻していくプロセスを、我々としては喜び、頑張っているという部分が少なくありません。例えば、震災前のレベルに5年、6年かけてようやく戻った、それは我々からすると大きくへこんだものが元に戻ったという見方もできるのですが、客観的には前と同じ状態に戻っただけという見方もあるかもしれません。そうするとそれが全国的、世界的に発信するほどのニュースなのかと言われると難しいところがあるのかもしれません。例えば、川内村に診療所があり、以前は一定の診療科だけでしたが、震災後に増えました。ただ、川内村の方からすると、郡山に避難していた際は、診療科の多い立派な病院がたくさんあるので、そこと比べると少ないということになってしまいます。震災前と比べるとむしろ良くなっているのですが、比較する対象によってニュースになりづらいというところがあり、我々が「光」が増えてきたと言っても、中々、全国的な視野で取り上げづらいという部分があると思います。ただ、我々はそういう事情はともかくとして、前に進んでいる部分があるということをいろいろな場面で訴えていくしかないと思いますし、これも長い取組が必要だという覚悟を持っております。
【知事】
県民の皆さんのこの6年間の御努力と、国内外からのたくさんの温かい御支援を頂く中で、福島県は復興の歩みを着実に進めております。皆さんに「ありがとうございます」と、敬意と感謝の意を表したいと思います。
震災から7年目を迎えまして、避難地域におけるインフラ復旧や避難指示解除の動きを始め、福島の未来を拓く拠点施設整備の進展、観光地のにぎわいの回復など、明るい光が一層強まりを見せており、各地域にも徐々に笑顔が戻っていると思います。一方で、廃炉・汚染水対策や被災者の生活再建、風評・風化という二つの逆風、さらに人口減少問題など、福島県には今もなお難しい様々な課題があります。「復興・創生期間」の2年目となる新年度、いよいよ7年目に入りますので、こうした重い課題を解決していくために、復興の土台を固める取組を着実に進めていくことと合わせて、福島ならではの強みを生かした取組を「攻めの姿勢」で展開していくことが重要になります。
これからも直面する様々な課題に果敢に挑戦を続けて、福島の新しい姿を描く取組を一つ一つ積み重ねながら、復興、そして地方創生が更に前に進むように全力を尽くしてまいります。
【記者】
節目、節目で、6年目、7年目と区切る必要はないかと思いますが、知事はこの7年目、キーワードをあげると何になりますでしょうか。
【知事】
「復興・創生の加速」だと思います。昨年は復興・創生期間の1年目、一定の土台ができています。そして、今年は復興・創生期間の2年目になりますので、この復興・創生を更に前に進めていく、加速していくことがキーワードだと思います。
【知事】
東日本大震災追悼式の式辞において、毎年使われてきた「原発事故」という言葉が使われなかったことに、県民感覚として違和感を覚えました。福島県は、世界でも例のない過酷な原発事故によって甚大な被害を受けています。それは過去形ではなく、現在進行形の災害です。「原発事故」、「原子力災害」という重い言葉、大事な言葉は欠かすことができないものと考えております。
一方で、安倍総理、政府は、平成29年度の国の予算、福島復興再生特別措置法改正案、イノベーション・コースト構想の具体化などにおいて、福島県や地元自治体の要請を真摯に受け止め、しっかりと対応していただいております。また、昨日は、安倍総理が岩手県を視察した際に、福島県の帰還困難区域に関して、「たとえ長い年月が経っても完全に解除する方針で取り組んでいく」と力強く明言されました。安倍総理、政府におかれては、今後とも、福島の復興・再生に全力を尽くしていただけるものと期待しております。
【知事】
避難者の集計においては、災害によって一時的な仮住まいを余儀なくされていると判断される仮設住宅、借上住宅等の入居者を対象としております。一方で、復興公営住宅の入居者など、一時的な避難状況から脱して新たな生活が始まったと考えられる方々も、新しい環境における様々な生活上の不安を抱えておられたり、今、御指摘があったように、いずれ古里に戻りたいというお気持ちも持っておられると認識しております。
県としては、生活支援相談員による見守り活動での対応とともに、新たなコミュニティ形成に向けた交流員の取組や民間団体への助成などを通じて、安定した生活につながるよう、引き続き支援してまいります。また、特に帰還困難区域のように、まだ長期にわたって避難指示が解除されない地域においては、まずは復興拠点の整備、あるいはその後の対応を国、自治体と一緒になり、様々な形で取り組んでいきたいと考えております。
【知事】
避難されている方々、特にお子さんたちがいじめ等の問題で苦しんでおられる現状を様々な報道で伺っておりまして、本当に心が痛む思いです。様々な対応の仕方があろうかと思います。
まず教育委員会等を通じまして、各避難先の教育関係の方々と連携して取り組むこと。また、福島県の様々な相談拠点がありますので、そういった全国の相談拠点で幅広く意見を伺いながら、適切な対応を図っていくことも重要だと思います。本質的には、福島県の原発事故や放射線、放射能に対する理解が十分に全国的には行き渡っていないという現状がありますので、県として、今の福島の正確な実情をできるだけきめ細かく丁寧に伝えていくことの責務を果たしていきたいと思っています。併せて、政府にもお願いしていますが、この問題は、福島県だけの力では中々立ち行かないところがありますので、国全体として、いわゆる放射線教育というのでしょうか、そういう正確な理解を全国的にしていただけるような対応も前に進めていただきたいと考えています。
また、いじめで苦しんでおられるお子さん、もしそういう兆しがあった場合は、とにかく相談窓口です。今、我々はいろいろな形で周知していますので、遠慮なく、匿名でも名前を言っていただいてもいいので、まず連絡していただき、その思いを出していただきたい。そうすれば、必ず何らかの道が開けると思いますので、この点も徹底してお話をしていきたいと考えております。
【知事】
県教育委員会でいろいろなプロセスを経て、副教材を作りました。私も拝見していますが、一つ一ついろいろな角度から心に響く内容となっていると思います。そうした教材を神奈川県で使っていただけるというのはありがたいことです。今後、県教委と相談しながら、「このような教材があります。もしよかったら使っていただけませんか」という訴えかけを、改めてしていくことも大事な施策ですので、検討していきたいと思います。
【知事】
ツアーを楽しみにされている方が大勢いると伺っておりました。結果として予定通りの日程でツアーが催行されることとなった点は、安心しております。一方で、チェジュ航空さんが福島空港への発着を取り止めると判断されたことは残念です。同社に対して、引き続き、福島空港の安全性を理解していただけるように、丁寧に働きかけていきたいと考えています。県としては、今後とも国や関係機関等としっかり連携しながら、福島県の現状、復興の取組など、正確な情報発信に努めて、風評払拭に努めてまいります。
(終了)
【問合せ先】
1 福島第二原発廃炉法案について
→ 企画調整課エネルギー課 電話024-521-7716
2 情報発信について
→ 総務部広報課 電話024-521-7124
3 震災から7年目を迎えて
→ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
4 政府主催の追悼式について
→ 総務部政策調査課 電話024-521-7018
5 避難者数について
→ 避難地域復興局避難者支援課 電話024-521-8046
6 避難している子どもへのいじめについて
→ 避難地域復興局避難者支援課 電話024-521-8046
→ 教育庁義務教育課 電話024-521-7774
7 道徳の副教材について
→ 教育庁義務教育課 電話024-521-7732
8 韓国チャーター便について
→観光交流局空港交流課 電話024-521-2987