【質問事項】
1 プレミアムフライデーについて
2 情報発信について
3 除染の進捗について
4 廃炉に向けた取組と風評について
5 応急仮設住宅での避難生活について
6 避難指示解除後の対応について
7 富岡町の避難指示解除について
【記者】
今週金曜日から「プレミアムフライデー」が始まります。制度化はすぐにはできないかと思いますが、働き方改革、長時間労働の是正も問題になっており、時間休の取得や運用の仕方によってはうまく取り入れることも可能だと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
【知事】
「プレミアムフライデー」という新しい取組がこれからスタートするということで、その状況を注視しております。県として、働き方改革、ワークライフバランスを取っていくことは非常に重要な課題であると受け止めております。そういう中で、職員の超過勤務をできるだけ減らしていく、あるいはイクボスを始めとして、例えば育児休暇の取得を促進するなど、様々な制度を職員ができるだけ活用できるような職場環境を作っていくという地道な取組を続けております。また、有給休暇についても、効率的、効果的に取得できるように県庁内の取組をしっかりと進めていきたいと考えています。
【記者】
知事は「プレミアムフライデー」として3時で退庁というのは難しいかもしれませんが、仮に3時で退庁された時には、どのように過ごしたいとお考えですか。
【知事】
3時退庁というのはイメージがわかないのですが、日頃から、映画を観に行くとか、読書をするとか、そういう時間を取りたいという思いがあるので、まず、そういうことに使うのかなと感じています。
【記者】
3.11前にあえて聞きたいことがあります。風化が進んでいる中で、3.11になると悪い側面ばかりが掘り起こされて、伝えたいことも伝わらないという悔しい思いがあります。この1年を振り返っても全国で福島が取り上げられることはあまりなく、3.11になると掘り起こしたかのように悪い話がボロボロと出てきます。知事はよく光と影とおっしゃいますが、影の部分がクローズアップされる傾向にあると思うのですが、この1年を見てもどうしても光の部分は中々取り上げられない。常磐線など(明るい話題が)あったと思いますが、いわゆる光の部分が取り上げられないことで、影の部分だけで風化が進むということに関してどのようにお考えでしょうか。この1年を振り返っていかがでしょうか。
【知事】
今、御指摘いただいた「影の部分だけが取り上げられて風化が進んでいく」、これは風評と風化という二つの逆風が共存したまま時間が経っていくということを示していて、これがある意味一番良くない状況だと思います。もちろん福島県の中にはたくさんの課題があって、しかも一つ新しいことが前に進むと新たな課題が生まれてくるという側面があります。例えば、避難指示解除はその典型だと思います。ある地域で避難指示が解除されるということは前進です。ただ、その決めるプロセスの中でもいろいろな御意見があり、結果として解除されたことがゴールのように受け止められてしまうことがあるのですが、実は、そこからがむしろ本当のスタートになる。こういった非常に複雑なニュアンス、現状は中々正確に伝え切れない部分もあろうかと思います。また、今年1年をとっても、明るいニュースが非常に多く、県内ではもちろんそういったニュースをきちんと報じていただけるのですが、すぐに全国ニュースとして展開できるかというと現実、中々難しい側面もあろうかと思います。特に3.11が近づきますと、どうしてもネガティブな側面、「福島県は6年経ったけど、こういった側面が進んでいない」というところにスポットが当たることがこれまでの傾向としてありますので、それも間違いなく事実なので、これはこれでやむを得ない部分だと思います。一方で、前に進んでいる部分があることも具体的な例を挙げながらできるだけ発信していく努力を我々自身が積み重ねていかなければならないと考えています。明るいことだけを発信することも違うと思いますし、一方で課題だけを取り上げてしまうことも今の福島とは違うということで、その辺の光と影の兼ね合いを我々が絶えず多くの方に知っていただけるように努力していく。また、その時、「斬新さ」と「繊細さ」という言葉を広報戦略で使っていますが、繊細な部分を残しながら、斬新な見せ方で伝えていく、この両方の工夫をしていかなければいけないと考えております。
【記者】
昨年、「あなたの思う福島はどんな福島ですか」という新聞広告を出して、結構お金が掛かったと思います。それはそれで意味があったと個人的には思いますが、ああいうものを出していかないと中々伝わらない部分があると思います。我々マスコミに対して、こうして欲しいなという部分はありますか。
【知事】
もしお願いできるならば、人にスポット当てていただければありがたいと思います。例えば、いろいろな事象、事柄も大事なので報道していただくことが重要だと思いますが、復興に向かって懸命に努力をしている姿、あるいはふるさとに帰りたいが、まだ帰れず悩んでおられる姿とか、一人一人の姿にそれぞれの本質があると思います。今、ホープツーリズムの話もしているのですが、復興に向けて努力している姿を見ることによって、すごく共感できるというお話を修学旅行で福島県に来てくれた生徒さんたちからも聞きました。復興というのは県や市町村、あるいは国という組織が行っているのではなく、一人一人の県民の努力や悩み、苦悩など、そういったものも全部ひっくるめて復興なんだと思いますので、人にスポットを当てていただいて、全体としては励ます方向にしていただければ本当にありがたいと思います。
【記者】
除染について、市町村除染の進捗が想定より少し遅れていると思っていまして、予定では10市町村が年度内に終わらない見込みという話を伺っています。国直轄除染はある程度目途が立っているという状況ですが、進捗状況について知事はどう捉えていらっしゃいますか。
【知事】
各市町村とも今年度内の完了を目指して今、努力を重ねておられます。個別の特殊な事情があって、完全に終わるということには中々いかないかもしれないのですが、県としては、引き続き、県全体の環境回復に向けて、市町村、国と力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
知事は、ある程度進んできていると捉えているのでしょうか。
【知事】
市町村の努力は本当に目覚ましいものがあります。原発事故が起きてから最初の1年2年は基本的な方針ややり方、財源、そういったもの全てが整わない中で苦労していましたが、ここ2年3年は計画的に進めていただいております。全体としての達成率も一つ一つの指標を見ますと、相当頑張っていただいておりますので、市町村の御努力に対して、まず敬意を表したいと思います。
【記者】
光と影の話ですが、先日も東京電力福島第一原発2号機の中でサソリ型のロボットが動けなくなり、ケーブルを切断してその場に置いてくるということがありました。廃炉に向けた道のりがかなり厳しいという印象が強調されて、実際に推定値ですが、かなり高いレベルの放射線量が強調されたニュースが世界を駆け回りました。震災から6年を迎える中で、廃炉に関して東京電力はどのように進めていくべきなのか、こういった現状を鑑みて、知事としてどう考えていらっしゃるのでしょうか。
また、このようなニュースが世界を駆け巡ると、まだ高レベルのものがあるということが風評として足を引っ張り、現状をひっくり返すような気がしますが、知事としてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。このダメージをどのようにコントロールして前向きに進んで行くのか、この点についてお伺いします。
【知事】
まず、2011年の福島第一原発の事故は、世界でも例がない過酷な深刻な事故であると捉えています。最近、内部調査を行う中で、改めて深刻で、過酷な事故であるということが一部見えてきたというのが現状です。こういった前例のない廃炉対策に対して、国、東京電力は世界の英知を結集して、安全を最優先にして、「何としても廃炉を成し遂げる」という思いを持って継続的に取り組んでいただきたい、これが県民の強い思いだと思います。
また一方で、こういった内部調査をすることは前向きな取組ではあるのですが、そのプロセスの中で、炉内の過酷な状況や非常に高い線量が明確になる、そういったものが報道として駆け巡ることによって、一部で、誤解や風評を新たに呼び起こして、我々の復興に向けた前向きな取組が残念ながら後退してしまうという側面が間違いなくあります。先日、ヨーロッパの大使とお話をした際に、私が前向きな話をいろいろしている中で、「知事、県民の皆さんが一生懸命、努力されていますが、先日のような報道があるとまた後退してしまいますね」と言われました。これが正に我々自身にとっても率直な実感です。ただ、内部調査を行い、廃炉対策を進めていくことは、福島の真の復興にとって必要不可欠なことです。事実として、今まで見えなかった炉内の状況が見えてきたものであり、周辺環境に何か新たな問題を生じさせるものではないという当たり前のことをまたしっかりと発信していくしかないと思います。福島の風評払拭は、正直、長い時間がかかりますし、後戻りすることもあり、我々は歯を食いしばらなければならない部分はあるのですが、特効薬はありませんので、とにかく粘り強く、未来を信じて発信し続けていきたいと思います。
【記者】
応急仮設住宅についてお伺いします。現時点で6年が経過し、まだかなりの数の応急仮設住宅があり、そこで不便な生活をされている方がたくさんいらっしゃいます。この現状について知事はどう受け止めていらっしゃいますか。
【知事】
避難生活は、通常の自然災害ですと1年、2年、長くて3年というのが一般的かと思います。ただ、福島県の災害は自然災害に加えて、原発事故という特異な災害です。そういった要素もあり、本当に丸6年という極めて長い期間で、避難の形態というものが非常に特殊でしたので、避難生活を続けておられる方々に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思います。特に、仮設住宅にお住まいの場合、いろいろな意味で不便を感じておられると思います。これまで一定の修繕はしてきているのですが、それでも、本来ふるさとで暮らしておられた頃に比べて御不便をおかけしているという事実はあろうかと思います。例えば、復興公営住宅をできるだけ早く整備する、あるいは、住んでおられたふるさとに一日も早く安心して戻れるようにする、こういった基本的な施策を前に進めていきながら、仮設での不自由な暮らしをできるだけ短くしていくことが国、県、自治体の責務であると考えております。
【記者】
いろいろな努力をされていることはよく分かるのですが、仮設暮らしという状況を一体いつまでに全員の方が解消できるとお考えですか。
【知事】
復興公営住宅をきちんと整備していくことが重要かと思います。特に、帰還困難区域は、残念ながらまだ現時点で目途が立っているわけではありません。こういった地域の住民の皆さんについて、できるだけ安心して、安定して暮らせる場を確保していくことが重要だと考えています。そういった施策を進めながら、また自治体とも連携して、きめ細かい対応を続けていきたいと考えております。
【記者】
時期的な目途というのは。
【知事】
できるだけ早くしていきたいと思いますが、復興公営住宅の整備は一定の期限を持って取り組んでおりますので、その中で、整備を完成させていきたいと思います。
【記者】
先ほど避難指示解除の話がありましたが、県としては、例えば避難指示が解除されると、それからも避難を続ける方というのは自主避難者になるという認識ですか。
【知事】
避難指示が解除されても直ちに元のふるさとの状況になるわけではありません。したがって、そういった方々に対して、経過的に、例えば住居の対応や様々な生活面での支援を行っていくことは、自治体も県、国も同じ思いを持っておりますので、きめ細かく対応していきたいと考えております。
【記者】
避難を続ける方の中には、自主避難者の方々と同じように、いずれは支援が縮小してしまうのではないかという不安を抱えている方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、そういった不安をどのように払拭していこうとお考えですか。
【知事】
県として大事なことは、皆さん一世帯一世帯が元々持っておられたふるさとでの暮らしを安心して取り返すことができるように、まず最大限対応していくことです。また、避難先で定着されるという方もおられるわけですので、そういった方々にどのように対応するかを自治体と連携して考えていくこと、その二面について対応していくことが重要だと考えております。
【記者】
先週、富岡町が、4月1日に避難指示解除ということで国の方針を受け入れました。町は、国と県の三者での覚書のようなことをやってほしいということです。避難指示解除によって、県も含めてなのかもしれませんが、支援やサポートがだんだん終わっていくのではないかという懸念を強く感じるのですが、県としてどう考えていらっしゃるのか。町の懸念をどのように受け止めるのか、国に対して何か要望することがあるのか、その辺を教えていただけますか。
【知事】
まず、12市町村の将来像の議論を昨年来継続して行っております。その中での基本スタンスや、既に閣議決定された国の基本方針の中にも明確に書いてありますが、特に12市町村のような避難指示区域のある市町村においては様々な課題があり、しかもそれが長期継続的なものであるという現実があります。富岡町もその一つです。もちろん、そういったものに対する不安・懸念があるという声はきちんと受け取っていますが、継続的に避難指示区域をできるだけいい形にしていくということは、国は当然、県も当たり前ですがそういう思いを持っております。
また、協定という形も、一つの大事なスタイルだと思います。そういった地域の自治体や住民の皆さんが安心して対応できるように、継続的に支援していくことが責務だと考えております。
【記者】
将来像をやっていても、それでもなお町側からすると、国や県の言質を取りたい、「しっかりやります」というものを取りたいと。それは、まだまだ国のやり方が信頼できていないということがあるのかもしれませんが、どうでしょうか。
【知事】
私自身は町長さんや村長さんと常日頃から接していますので、そういったことを継続的に行うことは受け止めていただいていると思います。ただ一方で、国や東京電力に対する思いがあることも事実かと思います。特に復興・創生期間が5年間ということで、ある意味時限になっており、復興庁も10年間という時限立法になっておりますので、「その後はどうなるんだ」という不安も含めて持っておられると思います。県は広域自治体として、そうした自治体や住民の皆さんの不安を真正面から受け止めて、「そういった問題はないんだ」、「継続的に国が最後まで責任を持って、この原発事故に対応するんだ」ということを、国にきちんと責任を持ってやっていただけるようにすることが県としての大事な責務だと考えています。
(終了)
【問合せ先】
1 プレミアムフライデーについて
→ 総務部人事課 電話 024-521-7033
→ (民間企業の働き方改革・ワークライフバランスの推進に関すること)
商工労働部雇用労政課 電話 024-521-7289
2 情報発信について
→ 総務部広報課 電話 024-521-7124
3 除染の進捗について
→ 生活環境部除染対策課 電話 024-521-7276
4 廃炉に向けた取組と風評について
→ 危機管理課原子力安全対策課 電話 024-521-7255
→ (風評払拭に関すること)
総務部広報課 電話 024-521-7124
5 応急仮設住宅での避難生活について
→ 避難地域復興局生活拠点課 電話 024-521-8629
→ 土木部建築住宅課
応急仮設住宅担当 電話 024-521-8668
復興公営住宅担当 電話 024-521-8634
6 避難指示解除後の対応について
→ 避難地域復興局避難地域復興課 電話 024-521-8435
7 富岡町の避難指示解除について
→ 避難地域復興局避難地域復興課 電話 024-521-8439