【質問事項】
1 補助金の不正受給について
2 炉心溶融問題に係る東京電力に対する申し入れについて
3 核物質防護規定の遵守義務違反について
4 風評・風化対策について
5 新規就農者数が過去最多となったことについて
6 避難世帯に対する戸別訪問について
【記者】
県から補助金を受けていた「NPO法人ほうらい」が不正受給を行っていたことについて、知事としてどう考えていらっしゃるかということがまず一つ。
それからこのNPO法人が出した平成27年度の報告書の中に不備があり、そこが端緒となって25年、26年度も不正が行われたことが分かったということで、返還命令が遅れたと県から発表がありました。その間、25年、26年についてチェックをしていながらも、不正に気づけなかったことについて、県としてどう考えていて、今後そういったことがないよう、改善に向けてどういったことを考えていらっしゃるのか、具体的な方策があるのかどうか、この辺も含めてお伺いできますでしょうか。
【知事】
まず、今回の受け止めです。福島県の復興・再生に向けて、県民が一丸となって取り組んでいる中で、このような事案が発生したことは誠に遺憾であります。今後、確実な返還を求めていくとともに、適切な対応を進めていきたいと考えております。
また、今回、書類の審査等において結果として確認が不十分であったことは残念であります。今後こうした事案が起きることがないように、チェック体制の強化を図り再発防止を進めるように指示しているところです。
【記者】
領収書に手を加えて書き換えるなど、悪いのはもちろんこのNPO法人だと思います。一方で、県としてのNPO法人に対する審査やチェックが本当に適切であったのかも問われると思うのですが、チェック体制の強化とおっしゃっていましたけれども、具体的に県としてどういうところがまずかったと思っているのか、しかも、これは復興関係の事業をやっていたこともあり、そういった意味でもかなり重いと思いますので、改めて知事として、その不正を見抜けなかった担当部署の対応の仕方や、NPOに補助金を交付するに当たって、今後どういったところに注意していくのか、今後の展望も含めてもう少しお話を伺いたいのですが。
【知事】
このNPOに対する補助金も含めて、復興予算というのは国民の皆さんの貴重な財源を要して行っているものです。したがって、この復興予算が適切に使用されるということは、様々な施策の大前提であると思います。結果として、確認等が足らざるところがあったところも重く受け止めて、現在、関係する部局にこういった補助金の確認をきちんとするように指示を出したところです。具体的な対応は今後また上がってくるかと思いますが、こういった問題が生じないように、県としても様々な対応を進めていかなければいけないと考えております。
【記者】
東電のメルトダウンの問題について、今日、社長が初めてこちらに来て、13市町村長さんに対して説明されるということですが、社長が来て話をすることについて、知事としての御見解をお聞きしたい。もう一つ、この問題が出てからだいぶ時間が経つのですが、このタイミングで社長が来るということへの御所見がありましたらお願いします。
【知事】
この問題につきましては、これまで廃炉安全監視協議会において、東京電力の再発防止に対する決意や方策、地元最優先の姿勢について確認を重ねてきたところです。この協議会での確認を踏まえて、本日、地元の市町村長と共に東京電力の廣瀬社長に対して直接申し入れを行うものです。今回の問題は、東京電力の体質、本質そのものに関わる問題です。トップである廣瀬社長に対して県知事と地元市町村長の思いをしっかりと伝え、今後こういった問題が起きないように対応していただくよう、強く要請してまいります。
【記者】
時期については遅いのか、あるいは時期の問題ではないということでしょうか。
【知事】
今回、県では、廃炉安全監視協議会を数回に渡って繰り返してきました。その上で様々な議論を重ねて今回要請するということで、このタイミングになったところです。
【記者】
本来であればこういった問題が出たタイミングでできるだけ速やかに社長が知事の所に来られて、御説明や謝罪があるべきかと思いますが、今回、3か月が経過し、しかも呼ばれて来るという点に関してはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
その件については、先ほど申し上げた廃炉安全監視協議会を複数回重ねていく中で、今日を迎えたわけです。東京電力自身がどういう思いであったかについては、直接、東京電力に照会していただければと思います。
【記者】
申し入れがあるという中で、先週、第二原発で核物質防護規定の遵守義務違反が認められ、東電を厳重注意したというのがありました。これも、本質、体質に関わる問題なのかと思いますが、この受け止めについてお聞きしたい。
【知事】
監視機器の警報を停止した問題については、原子力発電所の安全確保に関する県民の信頼を損なう重要な問題であり、極めて遺憾です。二度とこうした問題が生じないように再発防止を徹底して、核物質防護措置に万全を期するべきであります。特に事業者として県民の安全・安心を最優先に考える社内風土の確立を早急に図るべきであると考えており、今日の要請においてもこの件について触れることにしたいと考えております。
【記者】
風評対策についてお伺いします。昨年9月に県が風評・風化対策強化戦略を策定してから丸一年が経ちましたが、この一年を振り返って、知事としての総括といいますか、途中経過をどのように御覧になっていますか。
【知事】
風評・風化対策の総括、中々一言では難しい部分がありますので分けてお話をします。
まず農林水産物については、この一年においても様々なモニタリング調査で非常にいい結果が出ています。もともと野菜・果実・栽培きのこ等は既に基準を超えるものがなく、3年連続ということでありますし、玄米においても昨年分はまったく出なかった。さらに、海産物・水産物においてもこの一年出ていない、そういった具体的な数値があります。こういったことを様々な機会にお話しすると、「そうなのか」と非常に驚かれますが、福島県の農林水産物の安全性が科学的に、客観的に説明できる状況になってきたという追い風もあり、一定レベルで風評がおさまる傾向はあると思います。
ただ、さりながら「福島」というブランドに対する根強い抵抗感が依然消えずに残っているのも現実ですから、ある程度風評を減らすことはできているものの、本質的な根雪というか、そこの部分はまだ変わっていないというのが私の捉え方です。
また、風化の問題は、時が経てば経つほど関心が薄らぐという逆の要素があります。それによって、福島で起こった事がなかったかのようにされていく傾向が、国内でも、国外でも見受けられます。したがって、今後ともこの風化対策は、年が経てば経つほど、むしろ工夫しながら強く発信していかなければならないと考えておりますので、風評・風化対策は、一定の進捗を見せつつも「道半ばである」というのが私の思いです。
【記者】
関連して、戦略では来年末までに県産の農林水産物の市場価格と観光客数を震災前の水準に戻すという目標を掲げられていますが、現状を考えるに、かなり高いハードルのように思われ、個人的にはそこに至る具体的な道筋というのが中々見えないのですが、来年末までに何が足りないとか、何が必要だと考えていらっしゃいますか。
【知事】
まず、観光関係で、震災後の様々なデータを見ていただきますと、大きく落ち込んだ入込客数等が一定のレベルで増加し、現在では震災前の9割程度まで回復しております。これはデスティネーションキャンペーンの効果や様々な観光関係団体の皆さんの御努力によるものと評価しております。
一方で、教育旅行、インバウンド等は震災前に比べるとまだ相当落ち込んだ水準が続いていますので、6月補正予算、9月補正予算でも観光関係に力を入れて取り組むということで施策を強化しているところです。
また、農林水産物の値段についてですが、これも震災前に比べればまだ戻り切っていないという現実もありますが、一部の作物や産品は既に震災前のレベルに戻っているものもあります。そういうものの背中を追いかけながら、多くの農林水産物が震災前の状況に戻るように、先ほども申し上げたような風評対策、安全対策の徹底を進めていくこと、何か特効薬があるわけではないので、そういった地道な取組を進めていくことがまずは今年度末に向けて重要だと考えております。
【記者】
今朝投げ込みがあったのですが、新規就農者の数が統計を取り始めて過去最高になりました。震災以降、厳しい状況が続いている中でこういう明るい話題があったことへの受け止めと、どういったことがポイントで最多となったのかの分析をお伺いできますでしょうか。
【知事】
新規就農者数は、震災直後に大きく減少しました。しかし、震災から5年半が過ぎて、前年に引き続き200名を超えて過去最多となったことは、本県の農業が再生に向けて着実に歩みを進めていることを示すものであり、大変うれしいニュースであると受け止めております。これからも就農支援を始め、県産品の更なるブランド化、風評払拭に向けた取組を進めるなど、福島県の農林水産業の復興・再生を全力で進めてまいります。
また、今回、最多の就農者となった要因ですが、様々な就農支援策の活用が定着してきたことに加えて、農業が職業として選択される傾向にあって平成27年度、平成28年度は農業法人等への雇用就農について100人を超える状態にあります。また、Uターンによる自営就農者が震災前のレベルまで回復をしており、これは震災によって生じた様々な不安がある程度克服され、就農する後継者が増加したことによるものと考えております。
【記者】
新規就農者の件で、確かに新規就農者が増えたということで明るいニュースですが、今後課題になってくるのが、就農者の方々をいかに定着させていくのかということになると思われるのですが、知事の考えを教えてください。
【知事】
新規就農者の数が増えてきたことはうれしいニュースではありますが、その方々がそのまま続けて残っていただけるかどうか、これが重要なポイントになってくると思います。県として今後力を入れていきたいのは「アグリカレッジ福島」、農業総合センターの農業短期大学校において教育機能、研修機能の充実を図っているところであり、併せて農業高校等における若手農業者との交流、あるいは体験事業の実施によって、担い手となる若者が意欲を持って就農できる環境づくりを進めてまいります。さらに、実際、就農されてもいろいろな不安や問題、悩みを抱えておられます。そういった方々をサポートする新規就農の支援組織を設立して、新規参入の拡大を支援するといった様々な手立てを続けつつ、先ほど申し上げたように、福島の農産物がそもそも市場で評価されなければ、いくら頑張って作ってもそれが売れないということになりますので、風評対策を同時に進めていく中で、新規就農者の定着を進めていきたいと考えています。
【記者】
自主避難者の問題ですが、何人かの自主避難者の方に伺いますと、県の戸別訪問調査で、不在の場合に何度も何度も足を運んで、それが逆に「怖い」、「出ていけ」というような圧迫感を感じるということをおっしゃる方がいました。県では本来、個別に丁寧に対応するという意味を込めて何度も行っていると思いますが、それが逆に相手への精神的圧迫ですとか、そういったものにつながっているような現象もどうやら見受けられるのですが、そのことについてどう思われますか。
【知事】
「丁寧に対応したい」、「是非お会いしてお話をしたい」ということで訪問していると思いますが、それが結果として相手の方にそういう気持ちを持たせているということであれば、例えば、何らかの御連絡を頂いて「私たちはこうです」ということを一言教えていただくとか、シグナルを送っていただけると、また別の対応が図れると思います。全く反応がないと「行かなきゃ」ということで続けてしまうのかと思います。このあたり、現場でいろいろなプロセスがあり、ある程度受けてくれる方、受けたくない方、あるいは受けたけど今後いらない方など、いろいろなバリエーションがあると思いますので、そういったきめ細かさを持っていかなければいけないということを今のお話を聞いて改めて感じております。
(終了)
【問い合わせ先】
1 補助金の不正受給について
→ 企画調整部地域振興課 電話 024-521-8403
→ 文化スポーツ局文化振興課 電話 024-521-7179
2 炉心溶融問題に係る東京電力に対する申し入れについて
→ 危機管理部原子力安全対策課 電話 024-521-8054
3 核物質防護規定の遵守義務違反について
→ 危機管理部原子力安全対策課 電話 024-521-7255
4 風評・風化対策について
→ 総務部広報課 電話024-521-7124
5 新規就農者数が過去最多となったことについて
→ 農林水産部農業担い手課 電話 024-521-7343
6 避難世帯に対する戸別訪問について
→ 避難地域復興局生活拠点課 電話 024-521-8304