■日時 平成28年7月19日(火)10:00~10:20
■会場 応接室
【質問事項】
1 帰還困難区域について
2 職員の不祥事根絶の取組について
3 福島第一原子力発電所の廃炉のための戦略プランについて
4 福島大学農学系学部について
【質問事項】
【記者】
原発事故の帰還困難区域について、復興拠点をそれぞれ形成していくために、政府が一部解除を目指していくという報道があったのですが、まず、このような話について、国からどの程度聞いているのか、また、場所を選んで一部解除を目指すという考え方について県としてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
帰還困難区域の今後の方針については、現在、政府内で検討中の段階だと承知しております。具体的に県として説明を受けているということはありません。この方針は、帰還困難区域を抱える市町村、そして、県にとっても復興の先行きに関わる避けて通れない重要な課題、問題です。このため、先月、国に対して、地元市町村の意見をよく聞いて、今後の帰還困難区域の姿がより具体的になるよう、方針を示すことを要望してきたところです。
【記者】
帰還困難区域では、永久に帰れない地域がどうしても残ってしまうのではないかという懸念があると思います。以前、浪江町では全域の避難解除をすることがなければ、町はもちろん、県全体の復興・再生はありえないと国に釘をさしていると思うのですが、その考えは県としても同じでしょうか。
【知事】
県としては、今後、この帰還困難区域についての国の考え方がいずれ示されるものと考えておりますので、それをよく見た上で地元の市町村と共に、国と真摯に向き合って議論を深め、地元の意見をしっかりと方針に反映させて、帰還困難地域を含めた避難地域の一日も早い復興を進めていきたいと思います。
【記者】
今年度に入って、県や県教委で、逮捕事案だけで4件、任意の事情徴取やセクハラで処分された人も含めれば、相次いで発生しているという状況ですが、改めてこの状況をどうお感じになり、どのような再発防止を図っていかれるか教えてください。
【知事】
職員の不祥事が相次いでいることは、極めて深刻な事態であると認識しており、心からお詫び申し上げます。
これまでも職員のコンプライアンス意識の醸成について努めてきたところではありますが、今回の不祥事案を受けて、新たに二つ、取組を強化していきたいと思います。まず一点目は、コンプライアンスを中心とした個別面談を実施して、職員一人一人への意識付けの徹底に取り組みます。
そしてもう一つは、具体的な事例を用いることにより職員研修の強化を図ってまいります。こうした新たな取組に加え、引き続き、他県等の取組状況も参考にしながら、コンプライアンス徹底の方策について検討を進め、対応を行ってまいります。
【記者】
不祥事が相次いでいることに対して再発防止策ということでお話がありましたが、逆に言うと、これまでの県職員に、率直に言って何が欠けていた、足りなかったと考えていらっしゃいますか。
【知事】
今回、重なっている事案は、コンプライアンス以前の問題だと受け止めております。これは、県庁職員であるとか、公務員であるとかという以前の社会人としての基本的な部分だと思います。こういった点が一部の職員について欠けていたことは猛省すべきことと考えております。
ただ、そういったことが他人事ではなく、自分の周りの問題、自分事だという思いを共有して欲しいがゆえに、先ほど申し上げた一人一人とのきめ細かな面談を行っていきたいと考えております。
【記者】
組織的には、コンプライアンス意識の共有、そういったところの取組が欠けていたという認識でいらっしゃるのでしょうか。
【知事】
もちろん、これまで行ってきたつもりではいるわけですが、こういった形で連発することはこれまでありませんでした。
ただ、結果として、このような事態に陥っているのは現実ですので、その点、やはり足らざる部分がどこかにあるという危機意識を持って、今後の面談やコンプライアンスの強化にしっかりと取り組んでいきたいと思います。
【記者】
知事がおっしゃったように今回の一連の事案は、コンプライアンスというより、県職員以前の問題で、社会人としての問題が非常に大きいのかなと思います。面談とか研修などで、はたして防ぎ切れる事案なのかという、その辺の御認識は如何でしょうか。
【知事】
今回の問題の新たな対応策をどうするかということを、関係者みんなで悩んでいるところです。当面の対応として、先ほど新たな二つの対応というお話をしましたが、これをもって完全かどうかは、まだ率直に言って分からない部分もあります。ただ、大切なのは、県政に対し、県民の皆さんの信頼、信用があっての復興だと思います。福島県の使命、ミッションは、福島の復興を進め、地方創生を併せて進めていくことだと思います。その根本を支えているのは職員ですので、職員自身が県民の皆さんからの信頼、信用を取り戻すことができるように、とにかく一つ一つ、我々にできることを真摯に取り組んで、また結果を出していくように努力を重ねてまいります。
【記者】
コンプライアンスも、知事がおっしゃるとおり社会人としての資質の問題だと思うのですが、これと同一視するわけではないのですが、やはり一部、土木部の過徴収や事務的なミスについても、規範意識が欠けているのではないか、意識の部分で欠けているのではないかというところで、共通点が全くないということではないと思います。その意味で、こうした意識をどう変えていくのか、特に日々の仕事の部分で、行政職員として法令を執行する、例えば過徴収の問題であれば、県民からお金を取る際にはきちんとしていく、そういう日々の仕事から意識を変えていかなければならないのではないか。要するに悪いことをするなという面談ではなく、県としての仕事からの意識付けも大事だと思いますが、知事はどうお考えでしょうか。
【知事】
御指摘のとおりだと思います。今回の不祥事案の連発と様々な実務上のミスの問題は、性格は異なります。ただ、いずれにしても、特に過徴収の問題などは、相手に御迷惑をかけており、県民からすると、県職員がきちんと仕事をしているという前提で信頼が成り立つわけですが、それができていないということでは、県職員、あるいは県庁が信頼できないということになりかねません。したがって、県職員一人一人が、そういった事務ミスを起こさない、ましてや、コンプライアンスは当然でありますので、そういった意識を一人一人が我が事として、きちんと持ち続けられるような職場環境にしなければいけないと思います。恐らく、そういったところにどこか足りないところがあり、このような結果になっていると深刻に受け止めておりますので、そういう意味でも、今後、面談をきめ細かに行い、面談する相手が今どういう思いを持ち、どのような状態なのか、そういったことも含めて、一人一人と向き合っていける職場環境を改めて構築していかなければいけないと考えております。
【記者】
面談をするということでしたが、その面談はいつ頃までに実施するのか、それがまず1つ。また、実際に県庁内部における体質をあぶり出すために、アンケートを報告書にするとか、どういった形での活用をお考えになっているのかお聞かせください。
【知事】
各部局において、こういった事案が相次いでいますので、できるだけ速やかに実施していくことが大切かと思います。ただし、部局によって職員の規模、あるいは出先機関の数も違いますので、小規模の部署は短期間でできると思いますし、大きな部局は若干時間がかかるかもしれません。いずれにしても、暇をかけている状況でもないので、可及的速やかに行うということをまずは大事にしたいと思います。
また、面談以外のやり方についても先ほども申し上げたのですが、他の自治体の状況等も見ながら、どうやったらこの状況をきちんと払拭できるのかということを我々も思い悩んでおりますので、どういった事例がより良いのか、引き続き検討していきたいと思います。
【記者】
少なくとも、面談は、年内に終わらせるのでしょうか。
【知事】
年内には、当然、終わっているかと思います。
【記者】
震災以降、当然、県職員の皆さんは復興に携わる業務や多くの負担が掛かっていると思います。そのことが例えば精神的なストレスなど、何らかの関係があるとお考えなのかということと、震災以降、県で大量に職員を採用しているところもあると思います。そのあたり、今回の不祥事に関係があるとお考えかどうかについてお伺いします。
【知事】
震災後、間違いなく県職員の予算、あるいは制度新設等による業務が過大になっているという現実はあります。また、職員の採用数を増やしている、あるいは任期付職員にお手伝いをいただき、さらに、各都道府県や市町村から応援いただいているというこれまでにない色々な特殊事情があるのが現実です。ただ、そういった要素と今回の案件が因果関係で直接結べるかどうかは、正直、現時点では分かりません。今回起きている案件は、コンプライアンス以前の問題だと考えておりますので、我々の組織の中に、何か足りない物があり、それを何としても見極めて、こういった事が起きないようにしなければいけない。その危機意識を持って県庁を挙げて対応していくべきだと考えております。
【記者】
先ほどから知事は、原因についてはコンプライアンス以前の問題で、社会人としての資質が欠けているという話をされていますが、例えば、採用試験の段階で面談をより細かく実施するとか、今後、何かしら工夫をしていく考えはありますでしょうか。
【知事】
今回の不祥事、年齢層を見ていただきますと、ばらつきがあります。新採職員もあり、一方で中堅職員、さらに教育委員会においては幹部ということもあり、ばらつきがある点が悩みとなっているところです。ただ、少なくとも新規採用として、これから新たに県職員に採用する際、ペーパーテストももちろん大事ですが、面接も非常に重要な要素になります。今般、こういった事案が起きているということを踏まえ、今後の面接においては、そういった要素をより頭に置いたスタイルを考えていくべきだと考えております。
【記者】
先週、いわゆるNDF(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)の作った戦略プランに関して、石棺の問題がクローズアップされました。知事が強い姿勢で、石棺という表現は使うな、というか表現を変えるように申し入れをしたところですが、それ以前に6月でしたか、事前にNDFの方が、県を含めた関係市町村に素案段階の話を説明したと聞いています。その時点で事務方が、石棺という表現を使わないようにと強く申し入れるべきだったのではないかと考えますが如何でしょうか。
【知事】
素案の段階でNDF、廃炉機構の方から事務方が説明を受けた際、「石棺に言及することは適切ではない」と指摘しているところです。当然、NDFは、それを基本的に受け止めて帰られたと聞いておりますので、一定の対応がなされるものと考えていたと思います。
ただ、いずれにしても結果として、石棺方式という表現が記載として表に出ました。そしてあたかもその余地があるかのような文章として表示されたのも現実です。石棺方式というのは、先週末、私自身が高木経済産業副大臣に申し入れたとおり、福島の復興であったり避難住民のふるさとへの帰還であったり、あるいは県全体の風評・風化対策を諦めることにつながるものだと考えておりますので、こういったことがないよう、強く申し入れたところです。また、国やNDFにおいてもそういうつもりではなかったというお話は頂いておりますが、いずれにしても、そういう表現が誤解を生むこと、また、これからも疑念、懸念、不安として残ること、これが今回の問題だと受け止めております。今後とも国や関係機関は、福島県民、あるいは福島県内のこうした思いを真摯に受け止めながら、様々な対応を進めていただきたいと考えております。
【記者】
NDFの石棺の問題で、事務方が「適切ではない」と事前に指摘をしたということですが、知事は事務方からいつ頃にどのような表現をしたと報告を受けていますでしょうか。
【知事】
私自身は、今回の石棺の問題が表に出た時点において聞いております。したがって、協議を受けた時点では、直接は聞いておりません。
【記者】
では、テレビ報道があってから聞いたということですか。
【知事】
新聞等(で報道があって知ったところ)です。
【記者】
去年、あるいはそれ以前に同じような計画が作られる機会があった際に、県から何か意見をNDFの方に伝えて、それは反映されているんでしょうか。
【知事】
事実関係は担当部局の方に聞いていただきたいと思います。
【記者】
去年はともかく、今回はかなり重大な問題、福島にとってセンシィティブな問題が福島県から指摘されたにも関わらず、なぜ、NDFに無視されてしまったのか。これをどう考えていらっしゃいますか。
【知事】
私自身も図りかねているところです。素案の段階でのやりとりの際も、受け手のNDFの方は、「そうですね。」と理解されたと聞いておりますし、また、皆さんもお聞きになっていると思いますが、結果としてNDF自身はそういう思いではなかったということを明言されています。山名理事長も、様々なシンポジウムなどの場においても、「必ず取り出す」ということを非常に強い思いで語っておられたので、今回どういう意図であのような表現をされたのか、国語力の問題という表現もされていましたが、そうなのか、それとももっと本質的に必要な問題なのかというところは、正直図りかねるところです。ただ、福島県としてのスタンス、特に立地自治体も含めた双葉郡の皆さんの思いは、非常にシンプルですので、それを今回改めてしっかりと国とNDFに認識していただいて、今後、こういったことが起きないように対応していただきたいと考えております。
【記者】
先週、福島大学の農学系人材育成課程を福島市に置くということが決まったと思うのですが、8地域が名乗りを上げており、その8地域のメリットを皆さんに分かるような形で競わせるという過程を踏んだ方が、各地域が抱える福島県の農業の課題が見えて良かったのかなと思いましたが、福島市に決めるまでの過程について、知事はどのようにお考えですか。
【知事】
福島大学の農学系の学部が平成31年度に福島市に設置されることについては、今、御指摘ありましたように、8つの地域からそれぞれ農業復興に向けた思いというものを踏まえて、福島大学として総合的に判断されたものと受け止めております。福島大学では、県内全域をフィールドとした実践的農業教育を行いたいと聞いております。県としても様々な機関や、実習の場、県立高校等を有しておりますので、必要な支援を行い、農学系学部の設置の効果が全県的に波及するように連携していきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
1 帰還困難区域について
→ 避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8439
2 職員の不祥事根絶の取組について
→ 総務部人事課 電話024-521-7033
→ 教育庁職員課 電話024-521-7781
3 福島第一原子力発電所の廃炉のための戦略プランについて
→ 危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-8054
4 福島大学農学系学部について
→ 企画調整部企画調整課 電話024-521-8627
→ 農林水産部農林企画課 電話024-521-7319
→ 教育庁教育総務課 電話024-521-7753