3月9日(月曜日)10時00分~10時20分
場所:県庁応接室
【質問事項】
1.3.11を迎えるに当たっての思いについて
2.復興予算について
3.中間貯蔵施設への搬入について
4.県人事について
5.帰還困難区域の除染について
6.世論調査の結果について
7.イノベーション・コースト構想について
8.東京電力の情報公開について
【質問事項】
【記者】
今、知事がおっしゃたように、今週水曜日の11日が3.11から丸4年ということになりますが、県民の方への知事の思いを教えてください。
【知事】
3月11日、丸4年を迎えるに当たって、まず冒頭に二つ「ありがとう」を伝えたいと思います。
まず一つ目は、県民の皆さんに対してであります。
この4年間、福島県、本当に厳しい状況の中で福島県民の皆さん、努力をされ、御労苦を重ねてこられました。
おかげさまでこの4年間で、復興の歩み、着実に進んでまいりました。この間の皆様の様々な御努力に対して、心から御礼を申し上げたいと思います。
併せて、国内外の多くの方々から御支援を、応援を頂きました。そのことに対しても、福島県知事として、心から感謝の意を申し述べたいと思います。
その上でこの4年間ですが、おかげさまで復興への歩み、色々な意味で着実に前に進んで、明るいニュースも増えてまいりました。
一方で、今なお厳しい状況が続いています。例えば、原発事故の収束の見通し、立ってはおりません。避難地域が依然として福島県内に存在をしています。
そして12万人近い避難者の方々がまだおられる。産業再生も道半ばであり、風評・風化といった新しい問題も依然として生じております。
こういった厳しい状況の中で、やはりまだまだ復興の歩みを前に進めていかなければいけないというのが、4年目を終えた福島の今だと考えております。
これからの1年間、あるいは今後に向かって、多くの山積する課題を乗り越えて、何としても、この復興の歩みを進めていかなければいけない。そのためにも、「挑戦」「チャレンジ」を各課題に向かってしていく。それも県だけではなくて、国や市町村と一体となり、県民の皆さんと一緒になって、この課題に挑戦していくことが何よりも重要だと考えております。
【記者】
復興予算についてお尋ねしたいのですが、竹下復興大臣は先週辺りからですね、いわゆる集中復興期間後という言い方はしたくないのですけど、いわゆる移行後の予算について、自治体側の負担を求める考えを示しております。
福島県の場合、先程、知事がおっしゃったように、復興に向けての道のりはまだまだ遠いという中で、国側からそのような動きが出ていることについて、どのように受け止めていらっしゃいますか。
【知事】
福島県は原子力災害というものを抱えて、残念ながら復興はまだまだ途上であります。
ある一部地域においては、むしろ入り口に立ったばかりと言ってもいい、これが現状だと思います。避難地域における帰還に向けた環境整備はもとより、全県的な風評・風化対策も進めていかなければなりません。
国に対しては、明確な財源スキームを固めるよう、今後とも求めてまいります。
実は昨日も、宮城県知事、岩手県知事と席を同じくしておりましたが、福島県と岩手、宮城が力を合わせて、被災県同士で一緒になって、全国知事会の理解も得ながら、この財源確保にしっかりと取り組んでまいります。
【記者】
財源スキームの話もそうなのですが、その中でいわゆる自治体が今まで国費で普通に上手く負担をやっておりましたけれども、自治体の方にですね、負担を求めるというところで、特に福島県の場合は避難している自治体もありまして、中々そこに応じることは大変ではないかと思うのですが、そちらについてはどのように考えていらっしゃいますか。
【知事】
今の、この被災地域の実情、市町村の財政状況、あるいは更に原子力災害という特有のものを抱えている福島県の現状、こういったものを丁寧に御説明をして、しっかりとあるべき姿の財源スキームを作っていかなければいけないと考えております。
【記者】
13日に中間貯蔵施設の搬入が開始されると思うのですけれど、それに当たっての今の知事の思いとですね、住民の方からは環境省の対応がスケジュールありきというか、かなり混乱を来たしているようなのですけれども、その部分を含めて、国にどういう対応を求めていきたいかお願いします。
【知事】
先般、大熊町、双葉町と共に苦渋の判断ということで、搬入受入れの容認をいたしました。現在、国では13日に搬入開始をするという方向で準備を進めているようですが、やはり大切なのは地権者の皆さん、あるいは立地自治体に対して、丁寧で親身に立った対応をすることが重要だと思います。
また、搬入を進めるということは、大熊、双葉両町だけではなくて、搬出元の自治体から、その各ルートを辿って、大熊・双葉まで行きますので、そういった沿線自治体との意思疎通というものも重要になってきます。
国においては、中間貯蔵施設が福島県全体にとっての迷惑施設なのだ、従って、とにかく親身な対応をしていかなければいけないのだという根本を、しっかり頭に入れて対応していただきたいと考えております。
【記者】
中間貯蔵施設なのですけれども、先程、大熊、双葉の方ですとか、地権者の方への丁寧な説明が求められるというお話でしたが、一方で、県内各地に廃棄物が山積みにされている中で、これが何時どういう段階で、全て搬出、運び込まれるかという具体的なスケジュールが出ていないということで、これが大きく風評に繋がっていくのではないかと思うのですが、その辺りに対して、国に求めていくことですとか、県としてどのような調整をされるのかということをお伺いします。
【知事】
中間貯蔵施設の全体としての搬入見通しであります。
実は先般、私と大熊・双葉両町長が、環境大臣・復興大臣と向き合って搬入受入れを容認した際に、私の方から申入れを行っております。
そこで、これから1年間の試験輸送、パイロット輸送は、これはこれで大切なのですが、全体像がどうなるのかということを示してほしいということを改めて大臣に求めました。
御指摘があったとおり、県全体としては、除染が今、加速度的に進んで、逆にフレコンバッグが仮置き場に本当に数多く積んだ状態になっています。
中間貯蔵施設がある程度できることはいいのだけれど、いつになったら、うちの地域の物が無くなるのだろう、それが皆さんにとっての大きな思いになっていることは重々分かっておりますので、今後、環境省、関係自治体とですね、鋭意詰めて、全体見通しというものをできるだけ早く示せるように努力をしていきたいと思います。
【記者】
間もなく県の人事が発表になるかと思うのですけれども、知事にとっては幹部人事は初めての人事になると思うのですけれども、今回どの程度ですね、部長、次長、幹部級の人事で、どういった方針で何を、例えば今までどおりの順送りという、いわゆる庁内秩序を重視されたのか、あるいは何か能力・実績というものを評価されたのかお聞かせください。
【知事】
今般の人事異動は組織改正と併せて、非常に大きな規模の人事異動ということになろうかと思います。
私自身にとって初めての人事になりますが、一番の基本は「適材適所」。正に各ポジション、どのポジションも非常に重要です。特に、部局長・課長というのは、県政の要になる人材ですので、そういった方々が県民の期待、思いに応えるためにはしっかりと仕事をしていただかなければなりません。
そういう意味でも、それぞれ御一人御一人のこれまでの経験・実績というものを、私自身、県生活が丸14年を終えようとしておりますので、自分なりに存じ上げているつもりですので、そういう意味で「適材適所」というものを念頭に置いて、今回の人事を進めてきたところでございます。
【記者】
適材適所ということだったのですけれども、確認ですが、知事は今回どの程度人事に関与されたのでしょうか。
ある種、下からおそらく御提案があったものだと思うのですけれども、例えば知事の御意向で、例えば差し替えたりということはやったのか、それとも、これでいいじゃないかというふうにしたのか、どの程度関与されたのでしょうか。
【知事】
中々鋭い質問だと思うのですが、人事のプロセスというのは、あまり表で言う筋合いのものでは多分ないと思います。
ポイントはですね、私自身が今の幹部職員とは何処かで一緒に仕事をしております。顔、名前、お人柄、仕事の実績、あの時こういうことをしたというのもよく存じ上げておりますので、そういったものを全て頭に入れながら、今回の対応をしたというところで御理解をいただければと思います。
【記者】
先日ですね、復興大臣が除染について「帰還困難区域の全域はあり得ない」という発言をされたのですけれども、このコメントに関しての知事の考え方をお伺いさせていただきたいのと、やはり除染が進むからこそ、帰還の意思を考える方もいらっしゃると思いますので、改めてですね、除染と帰還するかどうかの意思というのを、どういうふうに知事がお考えになっているのか教えてください。
【知事】
復興、帰還を進めていくためには、今、御指摘にもありましたけれど、必要な除染を確実に実施していくこと、これが必要でございます。
以前、12市町村の将来像に関する有識者検討会でも、私から直接大臣に申し上げましたが、帰還困難区域においては実施方針を明確にした上で、除染を実施していただきたいというお話をいたしました。
そして今、除染の担当省庁は環境省でございます。また、環境省ともしっかり話を進めながら、きちんと一つ一つの除染を進めていくことが何よりも重要だと思います。
【記者】
その大臣のコメントに関して、必要ないという判断かどうかは分からないのですけども、知事がおっしゃる必要な除染というのに照らし合わせて、どういうふうにお考えになられましたか。
【知事】
その後、直ちに関係省庁の幹部に確認をいたしまして、これまでの状況と変わらないという確認をしておりますので、従来どおりの対応をしていただけるものと考えております。
【記者】
弊社が共同で行った世論調査で、11月に就任なさってから初めての世論調査になったのですけれども、それで知事を支持するという回答がですね、全体の71.3%に上りました。
この世論調査を率直にどのように受け止めていらっしゃるかというのが一点と、支持の理由として「震災復興対策」「放射能問題への対応」というのを評価する声が多かった。一方で、少数ですけれども、支持しないと答えた人の中には、「原発事故の賠償問題への対応」とか、「農業問題」とか、こういうのを上げる声もありました。
あくまでも世論調査なのですけども、こういった声を受け止めて、今後への県政運営について改めてお聞かせくださればありがたいです。
【知事】
今回の調査の結果については真摯に受け止めております。
やはり県民の皆さんの思い、それは福島をしっかり復興してほしい。この思いに尽きるのだと思います。
復興というものの中には、例えば除染であったり、産業再生であったり、あるいは賠償であったり、県民の健康の問題であったり、多く施策がそこに連なっていると思います。
県としては、一つ一つの施策を県民の皆さんの思いに応えられるように、しっかりと仕事をしていくことが何よりも重要ですし、私は知事という立場でこれからも全力で取り組んでまいります。
【記者】
その上で改めてこの現時点でですね、7割超の県民の方が支持しているという結果についてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
【知事】
繰り返しになるのですが、今回の調査結果、真摯に受け止めております。
【記者】
先日2月の終わりにイノベーション・コースト構想の推進会議がありまして、知事も出席されたと思うのですけれども、その中で双葉郡の自治体の首長さんから、「除染が進んでいない中で住める地域の方がその中で有利に働くのではないか」ですとか、「双葉郡が置いていかれるのではないか」といった懸念がありました。
福島県全体、浜通り全体の復興のための構想だと思うのですけれども、ある意味、誘致合戦みたいな側面も出てきていると思うのですが、その辺りについての受け止めをお願いします。
【知事】
イノベーション・コーストのお話を頂きました。この中で、先程の帰還困難区域の除染の問題と正に絡むのですけれど、そういったものがまだ進んでいない地域だと、拠点が中々整備出来ないのではないかという御不安の声が、あの時、一部の首長から頂きました。
国も県も、そういった実情は重々分かっております。今後、イノベーション・コースト構想の重要な拠点の位置関係を整理していくに当たって、やはり入れるところだけにということではなくて、全体のバランスというものをしっかり考えていきます。
特に、イノベーション・コースト構想は、浜通り全体の復興を目指す起爆剤、エンジンとしての位置付けを持ちますが、特に一番苦労しているのは双葉郡です。
イノベーション・コースト構想を、最も一生懸命推進していただいた、前の経産副大臣の赤羽さんがかねがね言っていたのが、「一番苦労している地域が一番幸せになる権利がある」と言われました。それは正に双葉郡のことをある意味指している部分がございます。
そういったことも念頭に置きながら、今後の施設の拠点配置、どうしていくかを国と真剣に向き合って検討していきたいと思います。
【記者】
関連してなのですけれども、一部の首長さんからは、浜通り全体の復興のための構想なのに、水面下で誘致合戦ですとか、そういった綱引きがあること対して、返って軋轢が生まれてしまうのではないかといった言葉もありましたけれども、この件に関して、知事はどのように受け止めていらっしゃいますか。
【知事】
やはりこういったことによって軋轢が生まれるのは本当にもったいないと思います。
従って、広域自治体である県が国としっかり調整をして、一定の方向性をどこかの時点でお示しをしていく。その時には、関係自治体ともよく調整をしていくことが重要だと思いますので、県自身が良い意味で間に立ってですね、汗をかいていかなければいけないと考えています。
【記者】
東京電力がですね、福島第一原発でまた汚染水が漏れる事態が発生した訳ですけれども、今回、情報公開の遅れが指摘されております。
知事は、東京電力の情報公開の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
東京電力の情報公開の問題というのは、震災後だけの問題ではなくて、震災前からありました。平成14年の8月に起きた問題も正にそれでございます。それ以前からもそうだったのですが、常にきちんと情報を出してほしい、特に第一報は大事だという話をかねがね申し上げてまいりました。
震災後、一定の努力はされていると思っていたのですが、結果として今回、K排水路の問題では、それがなされていなかったというのは事実でございます。
こういったことが一度起きると、一生懸命これまで進めてきた取組であったり、信頼関係というものが壊れてしまう可能性があります。そういう意味でも、東京電力は今回のこと、また改めて肝に銘じて、情報公開を適時適切に行うという姿勢を、全社を挙げて徹底をしてほしいと考えております。
【記者】
震災前からそういう問題があったということなのですけれども、どうしても問題を聞くたびに指摘されるのが東京電力の隠蔽体質なのですけれども、知事は隠蔽体質があるとお考えでしょうか。
【知事】
非常に難しい問題なのです。やはり東京電力としては、こういった情報は出すという考え方はあるのだと思うのですが、御承知のとおり第一原発に入っておられる作業員の方、ピーク時だと全体として7,000人。非常に大きな規模の作業になっています。
ポイントは、多くの方々がその意識を共有すること。特に、兆しが出た時にこれはちょっとまずいですよということを上層部まで上げられるかどうか。やはり全体としての意思統一、これが非常に重要だと思います。そういう意味で、まだまだそういう点をしっかりと対応していただく必要があると私は考えております。
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