食に関する指導の全体計画
(引用:食に関する指導の手引 文部科学省 平成31年3月)
1 食に関する指導に係る全体計画の作成の必要性
学校全体で食育を組織的、計画的に推進するためには、各学校において食に関する指導に係る全体計画(以下「全体計画」という)を作成することが必要で、下記の法令等にも重要性が記載されています。
国の第4次食育推進基本計画 |
---|
食に関する指導の時間が十分確保されるよう、栄養教諭を中心とした教職員の連携・協働による学校の食に関する指導に係る全体計画の作成を推進する。 |
学校給食法の第10 条 |
校長は、当該指導が効果的に行われるよう、学校給食と関連付けつつ当該義務教育諸学校における食に関する指導の全体的な計画を作成することその他の必要な措置を講ずるものとする。 |
小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領(平成29 年告示)第1章総則第5の1のイ 特別支援学校学習指導要領(平成29 年告示)第1章総則第6の1(2)高等学校学習指導要領第1章総則第6款1のイ |
教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の全体計画,いじめの防止のための対策に関する基本的な方針など,各分野における学校の全体計画等と関連付けながら,効果的な指導が行われるように留意するものとする。 |
(1)食に関する指導の組織的・計画的な実施
学校の中で「食育推進組織」を設置するとともに、学校の「食に関する指導の目標」に基づき、各学年では、どのような資質・能力を育成するのかを「各学年の食に関する指導の目標」で明らかにし、その目標を達成するために「食に関する指導」で、どの教科等でいつ、誰がどのように食に関する指導を行うのか、日常の給食指導ではどのように行うのか、肥満などの個別指導等をどう行うのかを計画します。
(2)教職員の共通理解
各学校における「食に関する指導の全体計画」は、全教職員がチームとなって実施するための計画です。そのために、各学校の児童生徒や保護者、地域の実態を明らかにするとともに、全体計 画を作成する必要性を全教職員に理解してもらうための、法的な根拠などを明らかにしておく必要があります。食に関する指導の全体計画は、食育を推進するための校内組織が校長のリーダーシップの下に作成していきます。この計画は、全教職員に共通理解され、確実に実践されなければなりません。
(3)学校と家庭・地域等の連携
食育は、学校の取組だけで目標達成はできないため、家庭や地域等との連携を行う事により学校給食や食に関する授業が豊かなものになります。
また、学校給食に地場産物を活用したり、地域の生産者に食に関する授業にゲストティーチャーとして参画してもらったりすることによって、子供たちは、地域の人々の生き方や地域の良さに気付くこともできます。このことを示したのが、全体計画です。
2 全体計画作成の手順及び内容
(1)実態把握
食に関する児童生徒の実態は、学校で実施している既存の「食に関する実態調査」や教師の観察などに基づいて「体力や学力」「健康状態や体格」「食習慣」「態度や意識」などの観点を整理します。整理された実態から、児童生徒の課題を明らかにし、各学校が児童生徒に育成したい「食に関する指導の目標」を設定します。
(2)学校における食育の推進状況に関する評価指標の設定
これらの実態把握を通して、児童生徒の食に関する課題解決に向けて、食育推進の評価指標を設定します。評価指標が設定されることによって、年度内に目指す子供の姿がより具体化されます。
(3)食に関する指導の目標の設定
ア 学校
学校の教育目標を受け、各学校は育成を目指す資質・能力を踏まえた食に関する指導目標を設定します。このとき、「食に関する指導の目標」(*食に関する指導の手引P16参照)を参考にしながら設定します。
また、各学校の食に関する指導の目標の中には、6つの「食育の視点」を位置付けて設定することが重要です。
イ 各学年
各学年の食に関する指導の目標を設定するときは、各学年の児童生徒の実態や発達の段階などを考慮して、自校の食に関する指導の目標に基づいて設定します。
(4)食に関する指導の全体計画1の内容について
ア 内容
幼稚園・保育所・幼保連携型認定こども園と小学校、小学校と中学校の間での連携の食に関する指導について校種間等のつながりを意識して設定します。
イ 地場産物等の活用
地場産物の活用については、学校給食に地域の産物を活用することによって地域の食文化や産業、生産、流通、消費など食料事情等について理解することができるようにします。
ウ 家庭・地域等との連携
家庭や地域と連携した取組を位置付けることが必要で、特に、学校での指導内容や時期等と合わせて家庭や地域で関連した取組が行われることは、児童生徒の理解の深まりや興味・関心の向上、発展的な学習のために重要です。
エ 全体計画の評価
自校の食に関する指導の全体計画に基づいて、児童生徒への食に関する指導が計画通りに推進されたのか、学校給食の管理、連携・調整がどの程度充実したのかなどについて評価を行い、その結果を次年度に生かしていきます。
(5)食に関する指導の全体計画2の内容について
ア 関連教科等の指導内容
各教科等において、食に関する指導を行うときには、関連する教科の内容を踏まえることが大切です。
イ 特別活動の指導内容
学級活動・ホームルーム活動(2) の学習の留意点は、「共通した課題」について子供たち一人一人が自己の課題の解決方法などを「意思決定する学習活動」を行うことが大切です。
ウ 個別的な相談指導
本県の健康課題である、肥満傾向児の増加や、食物アレルギー等食に関する問題を有する児童生徒が見られることから、健康実態を十分把握した上で、個に応じた献立の工夫や児童生徒及び保護者に対する適切な指導や助言が必要です。
3 作成のポイント
(1)食に関する指導の全体計画1のポイント
ア 実態把握
各学校で実施されている、各種の調査等から課題を整理して具体的な数値で記述する。
(例)・朝食を見直そう週間運動時の朝食摂取状況調査…朝食の摂取率 等
・地場産物活用状況調査…地場産物の活用率
・身体測定の結果…肥満傾向児の比率
・普段の子どもたちの給食の様子…残食状況 等
イ 今年度の重点目標
国の第4次食育推進計画の目標値、県、各市町村の食育推進目標等を考慮し、自校(センター)の実態から見た課題を解決するための重点目標を設定します。
ウ 今年度の重点目標
「重点目標」を解決するための食に関する指導の目標を設定します。
エ 食に関する指導の目標
設定した「重点目標」は、6つの「食育の目標」のどの項目にあてはまるのかを考慮し、3つの資質能力に沿って設定します。(*各学校の目標は学校教育目標も考慮します。)
オ 食育推進の評価
「今年度の重点目標」や「食に関する指導の目標」から、活動指標と成果指標を設定します。成果指標は、評価がわかりやすいように数値目標を設定します。
また、第4次食育推進計画に地場産物を活用した指導についても目標値が上げられているため、指導回数についても数値目標も設定します。
(2)食に関する指導の全体計画2のポイント
ア 各教科等と特別活動の関連
関連する教科を踏まえ、題材を設定します。
(例)2年生活「しゅうかくしよう」→ 特別活動「食べ物の旬」
4年保健体育「育ちゆく体とわたし」→特別活動「元気な体に必要な食事」
イ 特別活動と学校給食の関連
(例)2年国語「たけのこぐん」→たけのこを使用した献立
5年家庭「食べて元気!ごはんとみそ汁」→子どもたちが立てた献立を給食で提供
3 食に関する指導の全体計画1・2 作成例(校種別)
小学校(単独校) 食に関する指導の全体計画1 [Wordファイル/61KB]
小学校(単独校) 食に関する指導の全体計画2 枠 作成例 [Excelファイル/29KB]
中学校(単独校) 食に関する指導の全体計画1 枠 作成例 [Wordファイル/57KB]
中学校(単独校) 食に関する指導の全体計画2 枠 作成例 [Excelファイル/27KB]
センター 食に関する指導の全体計画1 [Excelファイル/28KB]
センター(小学校)食に関する指導の全体計画2 枠 作成例 [Excelファイル/35KB]
センター(中学校)食に関する指導の全体計画2 枠 作成例 [Excelファイル/34KB]
センター(幼稚園)食に関する指導の全体計画2 枠 作成例 [Excelファイル/31KB]
※ 作成例の形式は絶対のものではありません。各学校における他の計画等との関連を考慮し、各学校の実態に応じた有効に活用できるものを作成してください。