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「福島県版ユニバーサルデザイン実現への提案」第2章1―1 使いやすいものづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案

第2章 ユニバーサル・デザインを生かした県づくり

1 生活者(利用者)のための環境づくり

 これまでのものづくりやまちづくりは、主に健康で平均的な体力を持つ人を対象に考えられてきました。高齢者、障がいのある人、病人、妊婦、子どもなど、それでは使いにくい人に対しては、特別な商品や設備を開発し提供したり、特別な方法で対応するなどしてきました。  これからは、はじめから人の多様性を前提にして「できる限りすべての人が使いやすい」ものを目指すユニバーサル・デザインの発想で、生活者(利用者)の視点から、ものづくりなどのあり方をとらえ直してみることが必要です。

(1)使いやすいものづくり
〈安全、安心で使いやすいものづくり〉

  企業や消費者が商品開発の早さや商品の機能の多さを追い求めることが、使い勝手の向上に結びつくとは限りません。使い方が単純ですぐわかる、仮に使い方を間違えても重大なことにならず、簡単に元に戻せるといった、安全で安心して使えるものでなければ、利用者にとって使いやすいものとはいえません。 技術革新の成果は、だれにとっても安全、安心で使いやすいものづくりにこそ生かしていくことが望まれます。優れた技術を、慣れ親しむことができるデザインや、簡単・明快な操作性に包み込んで商品化することで、多くの愛用者を獲得できるはずです。製造技術だけでなく、このような使い勝手のよさを実現する技術や知識を集積することによって、企業イメージを高めることにもなります。

〈利用者を限定しないものづくり〉

 力の弱い人が扱いやすいものは、多くの人にとっても使いやすいということがあります。もし違和感がなければ、一般の商品として流通させることも可能になるでしょう。ものづくりにあたって、利用者を限定して考えることなく、より多くの人の使いやすさに配慮することが、市場性を高めることにつながります。 医療用であった温水洗浄便座が、今では家庭用として普及している例があるように、福祉・介護・医療用品とされているものであっても、デザインや機能を一般化することで、需要が増え、入手しやすい価格が実現することがあります。

〈福島県の特性を生かしたものづくり〉

 便利なものであっても、その生産や消費が、自然環境に悪影響を与えるものであってはなりません。自然環境は、私たちの生存と健康を支える基盤です。できるだけリサイクルや自然界への分解が可能な原材料の利用が望まれます。大量生産・大量消費・大量廃棄という、貴重な資源を浪費するやり方を改め、循環型のものづくりを目指すべきです。  福島県は、豊かな自然環境や森林資源に恵まれ、各地でこれを生かした伝統産業や特産品づくりが行われてきました。木工、漆工芸、織物などでつちかった技術・素材を活用した、ぬくもりのあるユニバーサル・デザイン商品の誕生が期待されます。  また、独自の技術を持つ地場産業や地域の企業もあります。  このような、企業と医療・福祉・介護など異分野の専門家との交流・共同研究、大学や県の試験研究機関による企業に対する情報提供・技術支援、消費者・学生・専門家などからの商品のアイデア募集、そしてこれら推進者によるネットワークの形成などを通して、作り手と利用者の声をつなぎながら、伝統的な技術と最新の技術を重ね合わせた、福島県独自のユニバーサル・デザインのものづくりを期待します。

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