「福島県版ユニバーサルデザイン実現への提案」第2章1-4利用しやすい公共・公益施設
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案
第2章 ユニバーサル・デザインを生かした県づくり
1 生活者(利用者)のための環境づくり
(4)利用しやすい公共・公益施設
〈アクセシブル〉
だれもが利用する公共・公益施設は、まず、建物をアクセシブル(近づきやすい、入室しやすい)にすることが、最低の条件です。道路から建物の出入口まで、何ら支障なく近づくことができ、建物の内部に出入りできるようにするためには、玄関前に段差をつくらないことが必要です。どうしても高低差が生じる場合には、スロープにより解消しますが、スロープは車いすやベビーカー使用者のためだけでなく、すべての歩行者のためのものであることが必要です。
〈ユースフル〉
次に、ユースフル(使いやすい)にすることです。例えば、エレベーターは、建物に入ってすぐにわかるような位置に設置すること、また受付窓口やトイレその他の案内表示が見つけやすく、わかりやすいことが大切です。なお、車いすマークをつけて利用者を区別することを、できるだけしないようにする工夫も必要です。最近は、「みんなのトイレ」「ファミリートイレ」などとして、赤ちゃんのいる家族から障がいのある人まで、だれにでも利用してもらえるトイレを見かけるようになってきました。エレベーターも、呼びボタンの位置や開閉ボタンの工夫などで、「障がい者用」の区別をなくすことが可能なはずです。 このほか、利用者の身体の状況などに応じた、利用の選択肢を準備しておくことも大切です。例えば、公衆電話・水飲場は高さの違うものを用意する、エレベーター・エスカレーター・階段を近接して設置する、案内表示を図と大きな文字・外国語・音声・光・点字を組み合わせたものにするなどです。もちろん、職員による適切な応対も利用のしやすさの大切な要素です。
〈基準に頼るだけなく、さまざまな人の存在に配慮すること〉
平成7年に県が制定した「人にやさしいまちづくり条例」では、だれもが利用しやすい公益的施設のための整備基準を定めています。また、国は、平成6年の「ハートビル法」で、特定の建築物に関する基準を示しています。 公共・公益施設の設置者や設計者は、こうした条例や法律の最低限の基準を守るだけでなく、そのねらいとする意味を理解し、できる限りすべての人が利用しやすい施設、設備の整備に努めるべきです。また、利用者に対してどういう配慮をしたのか、実現できなかった部分についてはどのような対応で補うことができるのかなど、設置にあたっての考え方を説明できるようにしておくべきです。 なお、県は「人にやさしいまちづくり条例」の考え方の適切な理解促進と運用に常に努める必要があります。整備基準などを、ユニバーサル・デザインの考え方でとらえ直してみることも大切です。
〈利用者のための公共・公益施設〉
公共・公益施設の有効な利用や活用を促すため、柔軟な運用にも配慮するべきです。管理のための基準が利用を抑制することになっていないか、点検してみることが必要です。施設によっては、NPO法人(※下に説明があります)などの市民の団体に運営を委託することも、積極的に検討されていいことです。 また、だれもが自分で車を運転し移動できるとは限りません。立地にあたっては、多くの人が利用しやすいよう、交通の便や他の公共・公益施設との近接性なども考慮すべき条件と考えます。
【本文中の説明】
- NPO法人 NPOは、Non-Profit Organization(民間非営利組織)の略です。営利を目的とせず、公共的な活動を行う民間の組織・団体の総称です。このうち、NPO法(特定非営利活動促進法)による法人格を持っている団体は、NPO法人といわれています。 戻る