「福島県版ユニバーサルデザイン実現への提案」第3章3 行政の責任
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案
第3章 ユニバーサル・デザインの県づくりをめざして -できるところから、身近なところから始めよう-
3 行政の責任
まずは、行政自らが率先し、公共の施設やさまざまなまちづくり計画にユニバーサル・デザインの要素を取り入れることはいうまでもありません。また行政と県民を結ぶ広報誌などの情報は、わかりやすい言葉や読みやすさを心がけるべきです。そして、ユニバーサル・デザインを誘導するための支援メニューを、常に政策的に開発する努力が必要です。
〈公共施設はあたりまえ〉
まず、日常的に県民(住民)が利用する公共の施設からモデル的にユニバーサル・デザイン化することが必要です。住民の目にふれる部分での取組みで模範を示すことは、普及活動をリードします。特に、庁舎・役場・公民館・病院は優先順位が高いものです。 公共施設のユニバーサル・デザイン化は、大がかりな工事を伴うものだけではありません。例えば、書類の記載台を低くしてイスを置くだけでも、高齢の方ばかりではなく多くの人々(妊婦・けがをしている人・車いすを利用している人など)にとって使いやすくなるのです。
〈縦割りではなく横断的な組織での取組みを〉
ユニバーサル・デザインの推進には、福祉部門に限らず、都市計画、交通、環境、建築、教育部門などが連携し、総合的な施策を考えていける横断的な組織が必要です(例えば、ユニバーサル・デザイン推進室)。 そこには、
- 指導・助言する機能
- 情報提供機能
- 施策開発機能
- 事業間調整機能
- 住民・事業者との調整機能
- 広報・啓発機能
- 苦情処理機能
- 指導・監督機能
等を持たせ、全庁的にユニバーサル・デザインの施策を推進させます。町村にあっては、少なくとも担当者の配置が必要です。
〈県民(住民)との意見交換を〉
行政の進めるユニバーサル・デザインが県民のためになっているのかを確かめるために、県民(住民)の意見を積極的に取り入れる姿勢が大切です。ユニバーサル・デザインは、行政と民間の事業者・団体、県民(住民)が一体となって進めることが必要です。県民(住民)は同じ目線で物事を話し合える関係を望んでいます。直接的には、交流サロン・懇話会・研究会の開催、計画づくりの段階での住民意見交換会をもつこと、間接的にはホームページを活用して、県民(住民)の意見やアイデアを常時募集することなどです。
〈普及活動のリーダーシップを〉
行政は、ユニバーサル・デザイン普及活動のリーダーシップを発揮しなければなりません。県民大会(全国、国際大会もありえる)、コンペ(企画・アイデア募集)などのキャンペーンあるいはイベントの実施、表彰・顕彰の企画、高齢者・障がい者擬似体験活動の支援、パンフレットやパネル作成による広報・宣伝活動等を積極的に行うことです。
〈政策的な展開を〉
普及と定着のためには、「ユニバーサル・デザイン宣言」を行ったり、県や市町村独自の条例を立案することも一つの方法です。また、開発・研究のための振興、まちづくり・社会基盤・交通機関整備、ボランティア活動などに対する財政的な支援を行いながら、具体的な推進事業に取り組むことが必要です。また、中心市街地の活性化のための「ユニバーサル・デザインモデル地区」を指定して、このような事業を重点的に行うことも考えられます。
〈行政職員の意識づくりを〉
これまでもバリアフリーの考え方で、さまざまな生活の改善がなされてきましたが、あらためて「はじめから、すべての人のために」というユニバーサル・デザインの視点で、これまでの事業を点検しなおす必要があります。そして、行政職員自らが率先してユニバーサル・デザインに対する学習をし、意識を今以上に深めなければなりません。