「福島県版ユニバーサルデザイン実現への提案」第3章4 ユニバーサルデザイン推進のために
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案
第3章 ユニバーサル・デザインの県づくりをめざして -できるところから、身近なところから始めよう-
4 ユニバーサル・デザイン推進のために
(1) 暮らしを守る制度づくり
社会のひずみの中で悩み苦しむ生活をし、不公平な状態に置かれている人々を、ユニバーサル・デザイン社会では見逃すことはできません。例えば、セクシャルハラスメント(性的いやがらせ)、ドメスティックバイオレンス(夫やパートナーからの暴力等)、いじめ、児童・高齢者への虐待などで苦しむ人々がいます。ユニバーサル・デザインはどこまで包含するのかという議論に一石を投じるかもしれませんが、すべての分野でこの考え方にならい人々の暮らしを守る制度(しくみ)が創出されることを望みます。ジェンダー(文化的・社会的性差)、高齢者や障がいのある人々の雇用、子育て、医療、防災、防犯なども例外ではないのです。社会をユニバーサル・デザインで考え始めようということが、私たちが提起する社会の原則3にあげた、「新しい価値観の創造」ということです。
(2)ユニバーサル・デザイン行動計画の作成
実現へむけた取組みには、具体的な行動計画が必要です。各市町村に「保健福祉計画」「都市計画」があるように、県及び各市町村において「ユニバーサル・デザイン行動計画」を策定し、理念にとどまらない議論がなされること望みます。さらに、さまざまな行政計画に,ユニバーサル・デザインの考え方を取り入れることも大切です。 また、行政だけにとどまらず、企業の製品開発、同業種における取組みの計画づくり、商店街による店舗の工夫や接客の仕方などのマニュアルづくりを推奨します。 もちろん、それぞれの場合、住民や消費者の意見を基に合意をつくりながら進めることはいうまでもありません。
(3)ふくしまユニバーサル・デザインセンター(仮称)構想へ
今後、福島県でユニバーサル・デザインを総合的に進めていく拠点として、行政・民間が協働して臨む「ふくしまユニバーサル・デザインセンター」(仮称)の設立を強く望みます。企業も何かをやりたいという思いはあります。個人個人も何とかしなければならないという思いはあります。それらを具体的なシステムや事業に循環できるよう、管理・推進していくための職員「ユニバーサル・デザインコーディネーター」を配置した母体が必要です。そこでは、次のような機能が考えられます。
- 相談機能
- 広報・啓発機能
- 情報提供機能
- 交流促進機能
- 一般的人材教育機能
- 専門的人材教育機能
- 調査機能
- 研究・開発機能
- 調整機能
- 組織化支援機能
- ネットワーク機能
- 助成等支援機能
- モニター・評価機能
- 権利意識の確立機能
- 提言機能
そして、ガイドラインづくり、事例の収集(事例集の作成)、市場調査、専門講師の派遣事業、研究会(セミナー)の開催、人材育成のための教育事業、ボランティア組織づくり、ユニバーサル・デザイン関係団体の連絡組織づくり、ブレーン(助言者)集団の形成、評価基準の作成、推奨製品・建築物の認証、具体的なデザイン開発などを行って、ユニバーサル・デザイン社会のシステムを創出するべきです。 ユニバーサル・デザインは、個人が、企業が、団体が、行政(自治体)が、それぞれにやればよいものではなく、みんなが協働しそれに向かって社会を変えていかなければなりません。それがあるべき姿だからです。