檜枝岐村が運営する
ふたつの山小屋

福島県側にある尾瀬国立公園には、御池地区、尾瀬沼地区、見晴地区、赤田代地区、会津駒ヶ岳地区、七入地区の6つの地区に、計13軒(内1軒は休業中)の山小屋があります。
なかでも御池地区にある「尾瀬御池ロッジ」と尾瀬沼地区にある「尾瀬沼ヒュッテ」は、檜枝岐村が運営する村営の山小屋。どちらも清掃が行き届いた個室や湯船・シャワー付きの浴場を備えており、非常に快適な滞在ができるとあってリピーターの多い山小屋です。
もちろんスタッフの温かな心配りも人気の秘密。今回はそんな「尾瀬御池ロッジ」と「尾瀬沼ヒュッテ」をご紹介します。

尾瀬御池ロッジ

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国道352号線沿いにある御池駐車場の目の前に建つ尾瀬御池ロッジ。山小屋とは思えないほど重厚な建物で、2022年より宿泊と朝食のみを提供するB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)スタイルを採用しています。
館内に入ると、大きな窓に豊かな緑を映す広々としたロビーがお出迎え。「徹底した清掃とゲストファーストを心がけています」と支配人の星慶一郎さんが胸を張るだけあり、清潔感溢れる空間はどこか旅館のような雰囲気が漂っています。
木を基調とした温かみのあるロビーには暖炉が設られ、ゲストはここで食事や談笑をしたりと、思い思いの時間を過ごすそうです。

写真左側が御池ロッジ、右側が山の駅 御池

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ロビーに併設された売店にはカップ麺、レトルト食品、菓子パン、飲み物などさまざまな飲食物が販売されているため、ここで夕食を調達するゲストも多いとか。
「出来立ての料理が食べたい」というゲストは、食材を持参し、食堂の調理場でぜひ腕を振るってください。IHヒーターや電子レンジ、湯沸かしポット、フライパンといった調理器具に加え、箸や皿などは無料で利用でき、手の込んだ料理でなければ問題なく作れます。
朝食は「おにぎり」か「パン」をセレクト。シンプルなメニューですが、燻製たまごといった小さなおかずも付いてきます。

写真フロントのあるロビーフロア、中央奥が売店

客室は6畳、8畳、12畳、14畳の和室と、ベッドとトイレ付きの和洋室が揃い、山小屋としては珍しく全室洗面台付き。さらに夏場には扇風機、寒さを感じる時期にはヒーターも用意されます。グループのみならずソロでも原則個室が利用できるので、プライベートがしっかり確保できるのも嬉しいポイントです。
そして何といっても尾瀬御池ロッジの自慢は、水芭蕉の咲く湿原、スモウトリ(角力取)田代を間近に臨む男女別の展望風呂でしょう。大きな湯船にゆったりしたつくりのシャワー付き洗い場。疲れた身体を癒し、明日への英気を養えることは間違いありません。

客室旅館さながらの客室

大きなお風呂広々としたお風呂が疲れを癒します

御池駐車場の奥には燧裏林道や燧ヶ岳への登山口があり、尾瀬御池ロッジの隣にある「山の駅 御池」の前には尾瀬沼山峠登山口行きのシャトルバスのバス停があります。
1泊2日の方は尾瀬沼1周コースや三条の滝を経由する尾瀬ヶ原往復コースを。健脚に自信のある方は百名山の燧ケ岳、会津駒ヶ岳を目指すといいます。「御池からスタートするコースについてご質問があれば、お気軽にご相談ください。大自然を眺めながらゆっくりおくつろぎいただけるようお待ちしています」と星さんはにこやかに話します。


■尾瀬御池ロッジ■

・住所 福島県南会津郡檜枝岐村燧ケ岳1
・TEL 080-2844-8873(4月~10月)、0241-75-2351(11月~4月)
・営業期間 5月下旬~10月上旬
※予約予約受付開始は4月から。営業期間や予約に関する詳細は尾瀬檜枝岐村観光施設事業所ホームページをご確認ください。
http://www.ozejin-yamagoya.jp/

◎施設情報(2024年営業時の情報です)
・全19室
・風呂、食堂、ラウンジ、乾燥室、売店、無料駐車場(宿泊者は専用駐車場を利用可)
・バスタオル:200円(レンタル)、フェイスタオル:300円(販売)
※日帰り入浴不可

◎チェックイン / チェックアウト
15:00~20:00 / 8:30
※2025年からチェックインは14:00~19:00に変更予定

◎食事
・朝食 6:30~7:30
・夕食の提供は無し

尾瀬沼ヒュッテ

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尾瀬沼ヒュッテが開業したのは1964年。尾瀬沼東岸の湖畔に佇み、「夕食が美味しい」と料理に定評のある山小屋としても知られています。名物は檜枝岐村産の「舞茸ごはん」と「イワナの唐揚げ」。そば粉と餅米を用いてつくる檜枝岐村の郷土料理「はっとう」などが食卓に並ぶ日もあります。
ヘリコプターによる物資輸送は2週間に1度と食材に限りがありますが、そのような環境下においても「檜枝岐村の特産品を使った山人料理(やもーどりょうり)を少しでも味わっていただきたいという思いから、趣向を凝らしてメニューを組み立てています。
連泊のお客様にはもちろんメニューを変更していますよ」と支配人の星勇人さんは笑顔でこだわりを伝えてくれました。

写真すぐそばには「尾瀬沼ビジターセンター」があります

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木造2階建の建物の前には大きなウッドテラスがあり、天気の良い日はテラスの椅子に腰掛けジョッキビールをいただく、というのもオツなもの。ここからは燧ケ岳を含む自然の大パノラマが一望でき、玄関前にある大型望遠鏡をのぞけば燧ヶ岳の俎嵓(まないたぐら)を確認できます。
さらに、朝霧のなかから浮かび上がる尾瀬沼と大江湿原の幻想的な景色、湖面に空の色を映しながらあたり一面が黄金色に抱かれる尾瀬沼の夕景、山の夜にきらめく光を灯す満点の星空など、これらはすべて宿泊しなければ出会えない光景だといえるでしょう。

写真ウッドテラスからの眺望が見事です

2名以上の予約であれば基本的に個室が用意され、2019年から導入された1名用のカプセル型ベッド(1部屋6床)もソロ登山客に人気を集めています。
浴場には尾瀬沼の天然水を沸かしたかけ流しの湯船とシャワーが。山小屋に多い「かけ湯式」ではないことも、豊富な水に恵まれた尾瀬沼地区ならではの特徴です。
また、尾瀬沼ヒュッテでは尾瀬沼キャンプ場の受付も行っています。キャンプ場宿泊者はお風呂の利用ができませんが、尾瀬の森を心ゆくまで満喫できます。

客室カプセル型ベッドの客室

大きなお風呂お風呂は男女別々です

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長英新道ルートで燧ヶ岳を目指すことはもちろん、尾瀬沼ヒュッテを拠点に大江湿原の花々を愛でるとともに尾瀬沼1周をのんびり楽しむのもおすすめです。
尾瀬沼の思い出には、売店で販売しているシソ・ミョウガ・らっきょうなどの塩漬けを和えたそばの薬味「山人漬け」や、ニンニクの効いた辛口の焼肉のたれ「山人だれ」といった檜枝岐村のお土産品をどうぞ。
尾瀬沼ヒュッテで星さんが「おかえりなさい」と出迎えてくれるその日まで、味覚で尾瀬の記憶を呼び起こしてくれるはずです。

写真夕食を楽しみにするリピーターも多いようです

■尾瀬沼ヒュッテ■

・住所 福島県南会津郡檜枝岐村字燧ヶ岳一番地
・TEL 080-5734-7272(予約案内 4月~10月)、080-5734-7272(現地宿舎 5月~10月)、080-5734-7272(11月~4月)
・営業期間 5月下旬~10月中旬
※予約予約受付開始は4月から。営業期間や予約に関する詳細は尾瀬檜枝岐村観光施設事業所ホームページをご確認ください。
http://www.ozejin-yamagoya.jp/

◎施設情報(2024年営業時の情報です)
・全27室・カプセルベッド36床
・風呂、食堂、談話室、売店
・フェイスタオル+歯ブラシセット:300円(販売)
※日帰り入浴不可

◎チェックイン / チェックアウト
13:00~16:00 / 8:00

◎食事
・朝食 6:00~7:00(おにぎりにすることも可)
・夕食 17:00~18:30

◎尾瀬沼キャンプ場受付
・一人2,000円(要事前予約)
※2024年営業時の料金です


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