2006年3月20日、田島町、舘岩村、伊南村、南郷村の合併によって南会津町は誕生しました。旧1町3村は同じ南会津郡に位置しますが、山を隔てて隣接しているため、降雪量や特産品、文化、温泉など、地域ごとに特色があります。
なかでも舘岩地域は尾瀬国立公園への入山口があるエリア。国土庁主催の農村アメニティコンクール「おらが村が日本一住みよい村」に認定されたこともあり、のどかな山村風景が広がっています。湯ノ花温泉の公衆浴場も複数あるので、尾瀬へトレッキングに訪れた際は、ぜひ舘岩・南郷地域まで足を伸ばしてみてください。
舘岩地域が位置するのは南会津町の南西側。面積の約9割が森林で、そのうちの大半はブナやカラマツといった広葉樹の天然林が占める緑豊かな地域です。
真夏でも朝夕の気温は20度前後と過ごしやすく、スポーツ合宿で利用する学校も多いそう。肌寒さを感じはじめる10月中旬〜11月上旬は紅葉の季節。山肌が一斉に赤や黄色へと染まり、町のどこにいても美しい紅葉が眺められるでしょう。冬になると真っ白な雪が地域全体を覆います。特別豪雪地帯に指定されているため、積雪が3mを超える年もあるとか。
遅い雪解けとともに芽吹くのが、ピンク色をした可憐なひめさゆり。この花は町の北側に位置する南郷地域でよく見ることができ、標高918mの山のうえにある高清水自然公園には100万本におよぶひめさゆりが自生していて、「天空のひめさゆり」と称される幻想的な景色を生み出します。
■高清水自然公園
・住所 福島県南会津郡南会津町界字長地沢口4298-12
・問い合わせ 0241-64-5811(南会津町観光物産協会南郷観光センター
https://www.kanko-aizu.com/miru/544/
標高500m以上の高冷地のため朝晩の寒暖差が大きく、良質な水が流れることから、南会津町では古くからそば栽培が盛んに行われてきました。
南会津町のそばといえば福島県オリジナル品種の「会津のかおり」が知られていますが、舘岩地域で育てられているのは他の品種と交雑していない「舘岩在来種」のそば。甘味が強く風味豊かで美味しいと、県外からそば粉を買い求めに来るそば屋さんもいらっしゃるとか。舘岩地域ではそばの実を収穫後、乾燥と選別を経て、石臼で製粉し、十割そばに製麺していきます。
「前沢曲家集落」の入り口にある茅葺き屋根の「そば処 曲家」や、国道352号線沿いにある「道の駅番屋」でいただけるので、香り高い舘岩産のそばをぜひ召し上がってください。
■そば処 曲家
・住所 福島県南会津郡南会津町前沢831
・営業時間 11:00~15:00(4月下旬~11月上旬のみ営業)
・定休日 月・水曜日、冬季
・問い合わせ 0241-78-2340
■道の駅 番屋
・住所 福島県南会津町番屋4番地
・営業時間 9:00~16:30
・定休日 火・木曜日、年末年始
・問い合わせ 0241-78-2785
春から初夏にかけてのひめさゆり群生地やそば畑、夏の青々とした緑、秋の紅葉狩りなど、自然と触れ合えるスポットに富んだ舘岩・南郷地域ですが、冬の魅力はなんといってもウィンタースポーツを満喫できるところ。降り積もるたくさんの雪は舘岩地域の自慢のひとつで、水分量の少ないサラサラ・ふわふわのパウダースノーは、スキーのメッカとして知られる北海道に引けをとりません。
そんな最上級の雪質を堪能できるのが、舘岩地域にある「会津高原 たかつえスキー場」です。
ここは初心者から上級者まで楽しめる15のコースを揃える東北地方屈指のゲレンデ。目の前に会津駒ヶ岳や燧ヶ岳などの山々が広がり、山頂1,650mから望む大パノラマは多くのスキーヤーを魅了しています。
■会津高原 たかつえスキー場
・住所 福島県南会津郡南会津町高杖原535
・問い合わせ 0241-78-2220
http://takatsue.jp/
「舘岩地域の豊かな自然を全身で堪能できるのは田代山です」と、住民の方々は口を揃えます。
標高1971mの田代山は福島県と栃木県をまたぐ帝釈山脈の一座。尾瀬国立公園の特別保護区に指定される山頂に広大な湿原をもち、チングルマやオサバグサ、ワタスゲ、タテヤマリンドウなど約400種類の高山植物が咲き誇ります。
会津駒ケ岳、燧ヶ岳、日光連山といった高峰を望む眺望も見事。県道350号栗山舘岩線沿いにある猿倉登山口から山頂までは登山道が整備されているため初心者でも登りやすく、約2時間で山頂に行くことができます。山頂にある避難小屋を兼ねた大師堂には弘法大師坐像が鎮座し、登山客を見守ってくれているようです。
前沢集落は「南会津町前沢」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された、日本の原風景をいまに残す場所。集落内には13棟の曲家(中門造)、前沢曲家資料館、古民家カフェ いろり、水車とバッタリ小屋、薬師堂、そば畑などが点在し、のんびり散策しながら伝統ある村の風景を目にできます。
ちなみに、曲家とは人が生活する母屋と農耕馬が暮らす馬屋が一体となったL字型の民家のこと。土間が突き出す曲がった部分に馬屋を併設し、先人たちは農耕馬と一緒に生活をしていました。なぜL字型にしたのか理由は定かではないそうですが、豪雪地帯であるがゆえ、大切な馬を守るためだったことは間違いありません。
前沢曲家資料館には案内人の方が常駐しており、曲家の構造や当時の暮らしなどさまざまなお話を丁寧に聞かせてくれます。
※前沢集落では住民の方々が日常生活を送っています。住民の方々の暮らしに支障をきたすことのないよう、マナーを守りながら散策をしてください。
■前沢曲家集落
・住所 福島県南会津郡南会津町前沢337番地
・営業時間 8:30~16:30
・定休日 冬季休業
・料金 一般300円 高校生以下150円(未就学児は無料)[20名様以上の団体の場合、一般250円 高校生以下100円]
※集落前の受付でお支払いください。
・問い合わせ 0241-72-8977(閉園中は不通)
http://maezawa.html.xdomain.jp/
およそ700年前、鎌倉時代に発見されたと伝わる湯ノ花温泉。
舘岩地域には山村らしい風情のある4つの共同浴場があり、地元の住民はもちろん観光客にも親しまれています。「石湯」と「天神の湯」は混浴、「弘法の湯」と「湯端の湯」は男女別、すべての浴場が源泉かけ流しのためお湯は熱めですが、アルカリ性単純泉の肌に優しい泉質です。
また、西根川沿いには「秘湯」として名高い木賊(とくさ)温泉も。岩を掘り出した湯船の足元から温泉が湧き出ているため、空気に触れていないフレッシュな源泉を掛け流しで楽しめます。24時間入浴可能な混浴風呂ですが、女性用の「湯あみ着(有料)」を近隣の宿や商店で貸出しています。
■湯ノ花温泉
・住所 福島県南会津郡南会津町湯ノ花地内
・営業時間 石湯・弘法の湯・天神の湯 6:30~21:30、湯端の湯 6:00~21:30
・定休日 なし
・料金 大人300円 小人150円(近辺の民宿等で入浴券を購入)
・問い合わせ 0241-64-5611(舘岩観光センター)
https://www.kanko-aizu.com/higaeri/3068/
■木賊温泉
・住所 南会津町宮里字湯坂1986
・営業時間 24時間
・定休日 なし
・料金 一人300円
・問い合わせ 0241-64-5611 (舘岩観光センター)
https://www.kanko-aizu.com/higaeri/27819/