会津駒ヶ岳登山のススメ

会津駒ヶ岳登山のススメ文/浅井理人

登山にはハイキングとはまた違った魅力があります。今回は一泊二日の山旅で初秋の会津駒ヶ岳へ。土砂降りから晴天と目まぐるしく変わる天気で山の様々な表情を見ることがきました。

会津駒ヶ岳登山を通して山の魅力をご紹介したいと思います。

(2021年9月7日収録)

コース紹介

コース紹介

コース紹介

コース紹介

滝沢登山口→駒の小屋(泊)→会津駒ヶ岳山頂→滝沢登山口

尾瀬国立公園内に位置する会津駒ヶ岳(2,133m)は日本百名山の一つで、檜枝岐村から入山することができます。今回は一番訪れる人が多いメインルート「滝沢登山口」から駒の小屋に泊まり、山頂を目指します。

登山口から山頂までの標高差は約1,000mほどあり、序盤は急登が続く登りごたえのある山です。急登を登りきった山頂直下に広がる湿原はまるで天上の楽園。景色の変化に富んだ秋にもオススメのコースです。

コース紹介

コース紹介

会津駒ヶ岳の魅力

滝沢登山口

ノアザミ

階段が目印の滝沢登山口。登山届のポストがありますので必ず入山前に登山届を提出しましょう。もし事故があった場合、迅速な救助の助けになります。事前にウェブやアプリを利用し電子届けで提出することも便利です。

今回は「コンパス https://www.mt-compass.com/」から事前に届けを提出しました。

ノアザミ

営林署の看板

営林署の看板

営林署の看板

いきなりの急登が続く会津駒ヶ岳。30分ほど登った場所にある最初の休憩スポットです。倒木を利用したベンチで一休み。ミズナラを中心とした広葉樹林が広がり辺り一面緑に包まれます。

あいにくの雨模様でしたが靄の白さと葉についた水滴の輝きが幻想的な景色を作り出していました。

ブナ帯のはじまり

標高1,350m ほどまで登るとブナの巨木が立ち並ぶようになります。標高によって変わる植生の違いが見られるのも会津駒ヶ岳の面白いところです。雨が強く降っていたおかげで樹幹流(ブナの幹に水が流れる様子)を見ることもできました。ブナの幹に縦に幾筋も水が流れ美しいです。雨ならではの自然現象ですね。前線の影響で雨が降り続いているせいか今年はキノコが多く倒木や地面を観察するのも面白いです。

ブナ帯のはじまり1

ブナ帯のはじまり2

ブナ帯のはじまり3

水場のベンチ

シカの食痕

行程の約半分くらいにある水場のベンチ。広くなっていますのでしっかりとした休憩に最適です。水場から上は広葉樹が少なくなり、オオシラビソを中心とした針葉樹林が広がってきます。

*水場はここから 3 分ほど下った場所です。急坂ですので十分注意して水を汲みにいきましょう。

水場のベンチ

雨上がりの針葉樹林帯

水場を過ぎた辺りから雨もあがり、ガスも少しずつ抜けてきました。まっすぐスッとそびえ立つオオシラビソの森も明るくなり気分も晴れやかに。秋の訪れを告げるオヤマリンドウの青色が大変美しいです。真っ白だった遠景も少しずつ見え始めました。景色が見えると気分も変わり疲れも飛んでいきます。

雨が上がりの針葉樹林帯1

雨が上がりの針葉樹林帯2

雨が上がりの針葉樹林帯3

山頂湿原

森林限界を抜けると広々とした湿原の景色が広がります。雨が空気中の汚れを洗い流しスッキリした透明感のある景色です。草紅葉も少しずつ始まり秋色の湿原になってきています。
草紅葉の主役のキンコウの葉はオレンジ色に色づき湿原を彩っています。

山頂湿原1

山頂湿原2

山頂湿原3

駒の小屋

駒の小屋

駒の小屋

コースタイムよりのんびりの4時間半をかけて本日お世話になる駒の小屋に到着です。小屋泊まりですと時間に余裕があるのでじっくり自然を楽しみながら登れるのも良いですね。ゆっくり歩くことで見えてくる景色もたくさんあります。

星空

星空

夜になり雲が抜け、幸運なことに満点の星空を望むことができました。日帰りでは見ることができない絶景の一つです。20時の消灯時間後には小屋のランプも消え真っ暗の夜を楽しむことができます。

星空

朝焼け

日の出の30分ほど前から空が赤く焼け始めます。朝焼けは時間が経つにつれ空の色をどんどん変わるのが面白くずっと見ていても飽きません。濃い赤色から始まりだんだんとオレンジ色になり最後に水色の空になります。自然が作り出す景色は本当に素晴らしいですね。

朝焼け1

朝焼け2

朝焼け3

会津駒ヶ岳山頂

会津駒ヶ岳山頂

会津駒ヶ岳山頂

いよいよ会津駒ヶ岳山頂へ。小屋に泊まって朝一番に登れば人がいない静かな山頂を独り占めできます。

*早朝は霜がおり木道が大変滑ります。足元には十分お気をつけください。

駒の小屋での過ごし方

ランプの小屋の駒の小屋。時間がゆったりと流れのんびり過ごすことができる山小屋です。山小屋に泊まる楽しみを一度知ってしまうと病みつきになるかもしれません。駒の小屋での過ごし方をご紹介いたします。

ブナ帯のはじまり1

ブナ帯のはじまり2

ブナ帯のはじまり3

受付

宿帳を記入し宿泊代を支払います。最初に小屋の方から施設の案内や決まりごとの説明があります。駒の小屋は電気も水道もない山小屋です。
山小屋ならではのルールもありますのでしっかりご確認ください。

ルールやマナー

食事

食事

食事

食事は一階の自炊室で行います。食事の提供はありませんので各自食料をお持ち下さい。重たくなりすぎないようアルファ米やフリーズドライなどの活用がオススメです。売店では飲み物(水・ジュース・お酒類)カップ麺やレトルトご飯やレトルトカレーなど簡単な食事は購入することも可能です。*新型コロナ感染症防止対策で鍋やヤカンのレンタルは休止中です。コッフェルなどご準備ください。

新型コロナ感染症防止対策

新型コロナ感染症防止対策1

新型コロナ感染症防止対策2

新型コロナ感染症防止対策でインナーシーツとまくらカバー代わりのタオルをお持ち下さい。インナーシーツは敷布団と掛け布団の間に敷き直接布団が肌に触れないよう使います。また、館内ではマスクの着用が必須です。入館時にはアルコール消毒も忘れずにしましょう。

新型コロナ感染症防止対策

南京小桜基金

南京小桜基金

会津駒ヶ岳では昭和40年代から山頂湿原に木道を敷き湿原の 保護に努めています。木道の寿命はおおよそ10年。古くなった木道は掛け変える必要がありますが、資材をヘリで運搬する必要があり多額の費用がかかります。そこで、檜枝岐村では自然環境の保全のために「南京小桜基金」を立ち上げ、クラウドファンディングによる資金集めを行っています。
詳しくはこちらから

*南京小桜は会津駒ヶ岳を代表する花「ハクサンコザクラ」です。

南京小桜基金

会津駒ヶ岳山頂

会津駒ヶ岳山頂2

会津駒ヶ岳山頂1

「駒の小屋では草刈りや木道の桟木(滑り止め)打ちなどの登山道整備を行っています。」と小屋番の三橋さん。登山客が安全に歩けるよう登山道の巡視業務を行い登山道を保全しています。

登山道は人の手が入らないとあっという間にヤブだらけに荒廃してしまいます。

登山道の草刈りではなるべくササだけを切るようにしています。オヤマリンドウを避けて綺麗に刈ってあるのが印象的です。なるべく自然への影響が少なくなるよう配慮しながら登山道整備を行っています。

〈番外編〉安全に登山を楽しむポイント

雨の登山道の歩き方

雨の登山道の歩き方

大雨になると樹や草が生えていない登山道を水が流れ小さな沢のようになってしまうことがあります。足元の汚れを嫌い登山道脇を歩いてしまうのは本来、道がない場所を踏みつけることになりますのでNGです。ぬかるみなども登山道を歩くようにしましょう。一人一人のちょっとした心がけで自然を守ることができます。

危険木に注意

危険木に注意

登山中は足元ばかりを見てしまいがちですが、ときどき顔を上げて倒れてきそうな危険木がないかも確認しましょう。危険木の周囲は素通りし、決して下で休憩はしないようにしましょう。台風のあとは特に要注意です。

下山時の注意点

下山時の注意点

滑りやすい木道や登山道では、足裏全体でしっかり着地して歩くと滑りづらくなります。かかとからの着地は尻もちをつきやすくなりますので控えましょう。いつもより歩幅を狭く歩き、さらにストックを使用すると足への負担が軽減されます。

下山届を出す

下山届を出す

山から下山しましたら忘れずに下山届を出しましょう。
電子届の場合は電波が入った場所で通知するようにしましょう。

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