第4回 「 うつ病について(2)」
前回からうつ病のお話をしています。
うつ病と聞いて、皆さん大体思い浮かべる症状があるかもしれません。[気分が下がる、もともと好きだったことにも関心がもてない、何をしても楽しくない、体がだるくてやる気が出ない] などがそうでしょうか。こういった症状は、診断基準の一つであるICD-10にもそのように記載されています。
この他にも、[そわそわして落ち着かない、集中力や注意力が普段のように出ずに自信も低下する、将来に対して悲観的になる、よく眠れない、食べられない] など、様々な症状がでます。気分の問題だけではなく、だるい・食べられないなどから、身体の問題と考えて、精神科になかなかたどり着かないこともあります。また、死にたいという気持ちが拭い去れなくなってしまうこともあります。
はっきりとしたきっかけがわからない場合もありますが、就職、進学、結婚、出産、転居など、様々なこと、それも自分にとって喜ばしいことを契機として発症することも珍しくありません。
精神科外来では、症状が出始めた時からだけではなく、その人の人生全般についてお話を伺うことがほとんどです。それは、「もともとどのような人なのか、これまでの人生における様々な困難をどのように乗り切ってこられたのか、この人の得意とする乗り越え方があるとしたらそれはどのようなものか、これまで乗り越えられていたのに今回乗り越えることが難しくなっているのはなぜか、」などを考えながら、何がこの人を苦しめており、どうすれば解決にいたるのかを、その人に合わせて考える必要があるからです。
昔ほどではないにしても、精神科の敷居をまたぐということは、今も高いハードルだと思っています。また、精神科自体に漠然とした怖さを感じるかもしれません。何から話せばよいのかわからないこともあるでしょう。だからこそ、専門家を相手に少しずつ話をしてみませんか。誰かを相手に話をすることで、こんがらがっていたものがほどけてゆくこともあります。
当診療所では、一般科と心身医療科の二つの出入り口があり、どちらでも使いやすい方を選べるようになっています。待合室も小さいですが静かです。看護師さんも優しいですよ。
迷っている方がおられたら、いらしてみてください。お待ちしております。