県内事業体の就労環境改善に向けた取組
事例1 GNSS測量システム(デジタルコンパス測量機器)
手書きが不要に!作業効率と正確性の向上に
GPS等の衛星測位システムとレーザー距離計を組み合わせた測量システム。
斜距離の実測や手書きでのデータ集計が不要になる。
福島県北森林組合(福島市)
導入時期
令和2年4月
導入のきっかけ
森林測量を行う上で、当組合では従来コンパス測量により計測していましたが、方位角や傾斜角の読み取り、距離の測定など作業工程が多く、知識・技術そして労力が必要な作業となっていました。
森林整備の推進に向けては、森林境界の明確化は重要な作業であり、効率的かつ正確な森林測量を行っていくためにシステムの導入を行いました。
導入の効果
GNSS測量では、GPSなどの衛星測位システムにより得られた位置情報、レーザー距離計で計測された測点間の情報をもとに、測点の位置、測点間の方位角・傾斜角、距離等が自動的に算出されます。
算出されたデータは、PDA(携帯端末)に送信され、端末に記録されます。PDAでは、取得したポイントデータを端末上で確認できるため、精度確認や進捗確認を現地で行うことが可能となります。
また、斜距離の実測や手書きでのデータ集計が不要のため、データ集計時の人為的ミスの軽減、作業効率の向上に繋がっています。
導入時に苦労したこと
GNSS測量は、従来の測量法に比べ、作業効率の向上は図ることが出来るが、PDA端末やレーザー距離計などデジタル端末を使用する測量方法であるため、GNSS測量機器システムの扱い方を熟知しなければなりませんでした。
デジタル機器の扱いに長けた作業者からGNSS測量を実践してもらい、他の作業者への指導教育を進めてきましたが、測量システムの利活用に繋げるまでに相応の時間を要しました。
一言メモ
携帯端末について
機種によってはスマートフォン(タブレット)で操作できるものも開発されています。
様々なアプリと組み合わせて使ってみては?
事例2 ファン付きウェア・ヘルメット用ファン
夏も涼しく!熱中症の予防にも
バッテリ-で稼働する小型ファンを内蔵したウェアやヘルメット。
体の表面に風を送ることで、汗が蒸発し、涼しさが感じられる。
有限会社平子商店(いわき市)
導入時期
平成25年
導入のきっかけ
熱中症の予防と作業効率を上げるため、導入を決めました。
導入の効果
作業効率が上がり、作業後の疲労感が格段に減りました。
また、水分の摂取量が少なくて済む、蜂に刺されにくくなったなどの効果も感じています。
導入時に苦労したこと
導入当時は単価が高いことに苦労しました。
また、バッテリーのパワーが弱くなってくるので、2年程度で買い替える必要があるのが難点です。
夏場に刈り払いの作業が多く、肩バンドで締められて上手く風が流れないため、空調パット(ハーネス用)を導入してみたところ、好評です。
一言メモ
ウェアの効果的な使い方
ファン付きウェアを着るときはコンプレッション(ぴったりフィットするインナー)を着ると、吸汗性と速乾性が高く、より涼しさを感じることができます。
事例3 ファン付きチェーンソー防護ズボン
夏も涼しく安全に
バッテリ-で稼働する小型ファンを内蔵した防護ズボン。
体の表面に風を送ることで、汗が蒸発し、涼しさが感じられる。
株式会社出田創業(白河市)
導入時期
令和2年5月
導入のきっかけ
ファン付きウェアを導入するにあたり、上着は作業する上で、チェーンソーや刈払機の排気ガスを吸ってしまったり、破けたりするので効率的ではないと思い、ズボンを導入しました。
導入の効果
就労環境の改善につながり、熱中症予防、また作業効率も上がり社員にも好評です。
導入時に苦労したこと
導入にあたっては、モバイルバッテリーが切れることに苦労しましたが、予備バッテリーを支給することにより、終日バッテリー切れすることなく作業できるようになりました。
一言メモ
ウェアの種類
ファン付きウェアには様々なデザインや形状があります。また、ファンやバッテリーにも色々な違いがあります。
使い方に応じて、商品を選ぶのがおすすめです。
事例4 ヒーティングハンドルチェーンソー
冬も温かく!安全性の向上にも
ハンドル部分が温かくなる機能の付いたチェーンソー。
ハンドルの内部に電熱線が入っており、スイッチを入れることで、ハンドルが温まる。
相馬地方森林組合(南相馬市)
導入時期
平成28年4月
導入のきっかけ
チェーンソーは、主に冬場の間伐作業で使用するので、伐採時、手元の扱いに十分気をつける必要があり、寒さ・冷たさが作業の大きな障害になります。
また、振動障害予防という観点から導入することにしました。
導入の効果
冬場の作業時、ハンドルが冷えていたり、濡れていたりする状況での作業は、手を滑らせたり、こわばらせたりと手元の扱いに十分気をつける必要性があるものなので、ヒーティングハンドルチェーンソーを使用して伐採作業等に従事しており、冬場の作業に欠かせなくなっています。
導入時に苦労したこと
ヒーティングハンドルを搭載したチェーンソーは、通常のチェーンソーより重量が重くなること、部品点数が増えるので故障した場合などに費用の負担が上がることが難点です。
一言メモ
ヒーターのオンオフ
使わないときはスイッチでヒーターを切ることができます。
事例5 林道路網設計支援ソフトウェア
路網設計が簡単に!業務時間の短縮に
航空レーザ計測で得られた精密な地形データ等を活かし、林道や森林作業道などの林業用路網をソフト上で設計ができる。
株式会社サンライフ(石川郡古殿町)
導入時期
令和4年12月
導入のきっかけ
当社では作業道作設前の山林調査及び作業道作設計画の業務において、相応の技能を持った人材不足、担い手不足であることが問題となっていました。
それらを解消するため、社内でのミーティングを行った所、作業道作設の経験が浅いスタッフでも分かりやすく、簡単な方法で作業道の作設計画ができるソフトウェアを導入することになりました。
導入の効果
ソフトウェアを導入したことにより、作業道作設の経験が浅いスタッフでも分かりやすく、簡単な方法で作業道の作設計画が行えるようになると共に作業道に係る業務時間が短縮されたのでスタッフからも好評です。
導入時に苦労したこと
導入にあたっては、PCでの操作がメインとなるため、それらの操作方法を覚える事に苦労しました。
そこで、PC関係に詳しいスタッフ、作業道作設の経験が豊富なスタッフのみでソフトウェア開発会社主催の勉強会を開き理解してもらうことにより、早く技能の取得ができました。
今後は少しずつ会社全体に広めていこうと思います。
一言メモ
勉強会の開催
最新技術の導入にあたっては、開発会社等を招いて勉強会を開催するのがおすすめです。
事例6 ヘルメット用インカム
大声が不要に!意思疎通が簡単に
ヘルメットに装着する通信機器。
インカムを付けた者の間で、機器を手に持つことなく、会話できる。
株式会社山空林業(会津若松市)
導入時期
令和4年8月
導入のきっかけ
重機オペレーターと玉掛け作業員など、作業員同士の合図には呼子(笛)を使用していましたが、状況によっては合図を中継する作業員が追加で必要になったり、呼子の音が重機やチェーンソーの音などで聞こえなかったりしていて安全面に不安があったため、インカムを導入することになりました。
導入の効果
ワイヤー集材では、少人数で作業できるようになり、かつ細かく指示ができるようになりました。
その他の作業でも、大声を出さなくてもインカムで意思疎通ができるようになり、例えば「〇〇を取ってきてほしい」などの指示を離れていても行えるため、効率がよくなりました。
導入時に苦労したこと
バイク用のインカムなので、林業用のヘルメットに装着するのに苦労しました。
雨天時でも使用できますが、長時間や激しい雨の中での使用が推奨されていない機種だったため、雨の日の使用には気を遣っています(ビニールで覆うなど)。
また、バッテリーの充電をし忘れないようにしないといけないことも苦労している点です。
一言メモ
インカムの種類
ヘルメット用インカムには1対1で通話できるものや4人以上同時に通話できるものがあります。