福島第一原子力発電所 所内電源A系停止と負傷者発生について
トラブルの概要
令和6年4月24日午前10時43分頃に、原子炉注水設備などの重要設備に電源を供給している所内電源A系が停止し、免震重要棟M/Cの電圧がなくなったことから、実施計画に定める運転上の制限を逸脱するトラブルが発生した。これに伴い、放出中であったALPS処理水希釈放出設備が自動停止した。
本トラブルは、構内配電線の埋設管路の補修に伴う屋外舗装箇所の掘削工事において、所内電源A系ケーブルを損傷させたことが原因であり、掘削工事に従事していた作業員が負傷する事態となった。
停止していた所内電源A系は、同日午後4時03分に復旧し、同日午後5時16分にALPS処理水希釈放出設備に異常が確認されなかったことから、ALPS処理水の放出が再開された。
経過
月日 | 時間 | 事象概要 | 県の対応 |
---|---|---|---|
4月24日 | 9:30頃 | ・コンクリート舗装面(表層)剥がし作業開始 | |
10:43頃 | ・所内共通M/CA系ケーブル損傷に伴う所内共通M/C1A停止 ・ALPS処理水希釈放出設備(移送設備)停止 ・アークにより作業員負傷 |
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11:34頃 | ・負傷した作業員を病院へ搬送 | ||
13:30頃 |
※ 令和6年度第1回廃炉安全監視協議会 |
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16:03頃 | ・所内電源A系復旧 | ||
17:16頃 | ・ALPS処理水の放出再開 | ||
5月10日 | 申し入れ実施 | ||
6月14日 |
再発防止対策の確認 ※ 令和6年度第1回労働者安全衛生対策部会 |
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8月20日 |
トラブルの問題点と再発防止対策の確認 ※ 令和6年度第2回廃炉安全監視協議会 |
福島県の対応
申し入れ
県では東京電力に対し、重大なトラブルに繋がるリスクに対して申し入れや要請を行っています。
【令和6年4月24日】
令和6年度第1回廃炉安全監視協議会において、危機管理部長より次のとおり申し入れを行いました。
- 早急に原因の究明と対策を講じるとともに、ALPS処理水の取組に影響が出ないよう、しっかりと対応すること。
【令和6年5月10日】
深刻なトラブルを繰り返し発生させ、県民に多大な不安を与えている事態の重大性を十分に認識し、主体性を持って、より一層の安全管理の徹底を図るよう申し入れを行いました。
会議による確認結果
会議 | 開催日 | 議題 |
---|---|---|
第94回(令和6年度第1回)廃炉安全監視協議会 | 令和6年4月24日 | 福島第一原子力発電所 所内共通電源A系の停止によるALPS処理水希釈放出設備の停止について |
第37回(令和6年度第1回)労働者安全衛生対策部会 | 令和6年6月14日 | 所内電源A系の停止および負傷者発生について |
第95回(令和6年度第2回)廃炉安全監視協議会 | 令和6年8月20日 | 所内電源A系の停止および負傷者発生について |
ヒアリング等による確認結果
福島第一原子力発電所 所内電源A系停止と負傷者発生事象に係る東京電力への確認結果 [PDFファイル/665KB]
原子力安全対策課楢葉町駐在による現場確認
東京電力の対応状況について確認を行いました。確認内容の概要は以下のとおりです。
調査日 | 現場状況 | 確認内容 |
---|---|---|
令和6年4月24日 | ・掘削作業現場の状況を確認した。 | |
令和6年4月25日 |
・掘削作業現場がシート及び木板により養生されていることを確認した。 |
|
令和6年6月28日 | ・掘削作業現場に単管バリケードが設置されており、工事関係者以外が 立入できないように区画されていた。 ・掘削作業現場付近に埋設物の標示が追加で設置されていた。 |
【参考】福島県原子力安全対策課現地駐在
福島県では、東京電力ホールディングス株式会社の廃炉に向けた取組等の確認体制を強化するため、平成26年4月1日から、楢葉町内に原子力安全対策課職員が常駐し、現地確認やトラブル時の迅速な情報収集を行っています。なお、重大なトラブルが発生した時には休日・夜間も現場確認ができるように体制を整えています。
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