「福島県版ユニバーサルデザイン実現への提案」序章1 豊かさと人間の尊重
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案
序章 いま、わたしたちが大切に思うこと
1.豊かさと人間の尊重
ほんとうの豊かさ
私たちは、経済の発展を通して、物質的な豊かさを手にしてきました。しかし、その一方で、いじめや環境破壊などにみられるように、人を大切にする心や自然の大切さを見過ごしてきたように思います。 ほんとうの豊かさは、一人ひとりが安全、安心、快適な環境に支えられ、互いを尊重しながら暮らしていくことで実現するのではないでしょうか。 また、そのような社会の実現こそ、すべての人々がそれぞれの個性と能力を発揮しながら、新たな活力を生み出し、創造性をはぐくむ時代を開いていくものと考えます。
だれもが必要な社会的支え
人はだれでも、物や建物、制度、サービスなどの社会的支えがあって生活しています。経済成長の過程では「効率」が優先され、生活を支える環境づくりにおいても、ともすれば「平均的」な人を念頭に置いた画一的なやり方が行われがちでした。しかし、人によって体格、体力などはさまざまで、それは個性の一部ともいえます。「平均的」なものが利用できない人は、あたりまえの社会生活を送ることができなくなってしまいます。 健康で体力がある人でも、けがや病気、妊娠などで一時的にハンディキャップを持つことがあります。高齢になれば体のどこかに衰えがきます。 このように考えると、生涯を通して常に、「平均的」な人間など存在しません。さまざまな個性を持った多様な人々がいるだけなのです。どんな個性を持っていても、社会的支えを公平に利用することができなければならないものと考えます。
一人ひとりが対等な立場の主人公
私たちは、多様な価値観を持って暮らしており、ものごとを一面的な見方で、決定していくことには問題があります。互いに違う価値観をすべて共有することは困難なことですが、大切なのは、互いを知ろうとする努力(対話)です。 また、「社会的弱者」という言葉を耳にすることがあります。「弱者」という言葉からは、対等という理念は感じられません。先に述べたように、人には個性があり、価値観の違いはありますが、一人ひとりは対等な存在であり、特別扱いされたくないという人としての誇り(尊厳)を持っています。一人ひとりが人生の主人公として、対等な立場で、さまざまな社会的活動に参加できなければならないものと考えます。