アナリーゼふくしまNo.16
印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
アナリーゼふくしまNo.16
福島空港-その環境と利用者による経済波及効果-
福島県における航空需要
- 福島県内を出発地または目的地として行われた移動のうち、旅程中に航空機を利用した移動(県外空港発着も含む)が多かった地域は近畿、九州、北海道となっています。※1
- そのうち、福島空港が発着空港として利用された比率を地域別にみると、九州地方が特に低くなっています。
- 第1表 地方別航空利用流動者福島空港利用比率
- 平成12年1年間に福島県を出発地または目的地として行われた移動において、その移動経路の乗継ぎの中で航空機を利用した人数が多いのは、近畿地方、九州地方、北海道となっており、これらの地域との間の移動における航空需要が多い。都道府県別では北海道が27万人で一番多く、次いで福岡県の15.5万人、大阪府の13.8万人となっている。
- 福島県内の航空需要に対して福島空港国内定期便がどれだけ満たしているかを評価するために、航空機を利用した福島県-他地域間流動者数(航空需要)と福島空港国内定期便利用者数の比率である福島空港利用者数比率[福島空港利用者数÷航空利用流動者数]※2をみると、福岡便は九州地方(沖縄を除く)-福島県間移動における航空利用者の17.6%に当たる人数が福島空港を利用したことになり、他地域に比べて特に福岡便の利用者数が少ないことが分かる。
- 九州地方(沖縄を除く)、特に福岡県と福島県間の移動において、航空移動の需要が高く、航空流動数も多いが、その航空需要の大半は福島空港発着便ではなく、県外空港発着便によって満たされていたことが分かる。
- 福島空港における福岡便に対する需要は大きいが、便数や発着時間等が原因となって搭乗率が低調になっていたものと考えられ、需要に合った便であれば札幌便並みの利用があったであろうと考えられる。早期に利便性の高い形での福岡便就航再開が望まれる。
福島空港の利用圏域
- 福島県内を出発地として行われた移動のうち旅程中に航空機を利用した移動において、福島空港が出発空港として選択された割合は約3割となっています。県中、県南、いわき地域は福島空港の利用圏域となっています。相双地域は仙台空港の利用圏域となっています。県北、会津地域は利用空港が分散しています。※3
- 福島空港の活用促進のためには、特に会津地域と栃木県中北部などからの利用者増が重要な課題となります。
- 第1図 福島県及び近隣4県生活圏別空港選択比率(平成12年秋期1日(平日))
- 福島県中南部、茨城県中部北部及び栃木県中部北部が福島空港の利用圏域であると考えられる。
- 各生活圏の平成12年1年間の航空移動数をみてみると、福島空港を選択する可能性がある地域で需要が多いのは、栃木の宇都宮生活圏と福島県の県中、会津、県北地域であり、今後は特に宇都宮生活圏と会津地域からの利用者増加が見込まれる。茨城県水戸・日立生活圏の需要も大きいが、平成21年に百里飛行場が民間共用となり将来にわたる福島空港利用は難しいと思われる。
- 第2表 生活圏別航空移動数(平成12年)(降順)
福島空港利用者による経済波及効果
- 平成17年度における福島空港国内線利用者による生産波及効果※4は60億5362万円、雇用者誘発数※5は606人となりました。
- 第3表 平成17年度福島空港国内線誘客による経済波及効果
- 誘客・送客※6別にみると誘客による生産波及効果が47億1178万円で、雇用者誘発数が454人、送客による生産波及効果は13億4184万円で、雇用者誘発数152人となった。
- 誘客一人当たりの生産波及効果額は約5万3千円、送客一人当たりの生産波及効果額は約9千円となり、特に誘客による経済効果が大きい。
- 生産波及効果が大きい産業部門は、「旅館・その他の宿泊所」、「商業」、「道路輸送」、「飲食店」等となっている。
- 第4表 平成17年度福島空港国内線利用者による産業別経済波及効果(生産波及効果上位10産業部門)
- (参考)平成17年度における福島空港国際線利用者による生産波及効果(参考値)※7は11億1721万円、雇用者誘発数は107人となりました。
- 平成17年度における国際線利用者による生産波及効果(参考値)は11億1721万円で、雇用者誘発数107人となっている。
- 第5表 平成17年度福島空港国際線利用者による経済波及効果(参考値)
- 平成17年度における国内線利用者による生産波及効果と国際線利用者の生産波及効果(参考値)を合わせると71億7083万円で、雇用者誘発数は713人となった。
- ※1
- 各移動数については国土交通省「平成12年幹線旅客純流動調査」(国土交通省が5年毎に実施している調査)のトリップデータ(個票データ)による。
- 福島県間の移動における乗継ぎの中で航空を利用した数であるので発着空港は福島空港に限らない。「福島空港」から直接に航空機で「最終目的地」に移動した場合だけではなく、例えば福島県内(「出発地」)から鉄道で東京都に移動し、羽田空港から空路で目的地近県に移動し、そこからバスで「最終目的地」に移動した場合も、福島県-最終目的地間移動において航空を利用したということになる。よって、ここで言う航空利用流動者数は、各地域-福島県間移動における真の航空需要に近い数字を把握していることになる。
- ※2
- 福島空港利用者数については福島県近県の利用や就航先近県の利用者も含まれているので空港の利用圏域などによっては福島県-他地域間航空流動者数を超える。福島空港利用者比率が高ければ、福島空港発着便が福島県と対象地域間の航空需要を満たすだけの利用があったことになり、逆に低ければ、就航需要はあるがこの定期便が利用者のニーズに合っていなかったということを表す。
- ※3
- 各生活圏の空港選択率については国交省「平成12年幹線旅客純流動調査」のトリップデータ(個票データ)を加工し、福島県及び各生活圏を出発地として行われた航空利用移動における出発空港の割合を算出した。
- 福島県の各生活圏については県北地域、県中地域、県南地域、会津地域、相双地域、いわき地域の6生活圏とし、南会津地域は会津地域に含めている。
- 福島県以外の生活圏については次のとおり(カッコ内は中心都市) 宮城県-仙台生活圏(仙台)、石巻生活圏(石巻)、古川生活圏(古川) 山形県-山形生活圏(山形)、庄内生活圏(酒田)、米沢生活圏(米沢)、新庄生活圏(新庄) 茨城県-水戸・日立生活圏(水戸)、土浦生活圏(つくば)、下館・古河生活圏(下館)、鹿嶋生活圏(鹿嶋) 栃木県-宇都宮生活圏(宇都宮)、足利・佐野生活圏(足利)、栃木・小山生活圏(小山)、日光生活圏(今市)、那須生活圏(黒磯)
- ※4
- 生産波及効果とは、この場合、福島空港国内線利用者の消費等により誘発された県内産業の売上げを表す。生産波及効果は、直接効果、一次波及効果、二次波及効果で構成されている。
- 直接効果は波及効果の基になる効果のことで、この場合、福島空港国内線利用者の福島県内で行った消費のうち、県内産の物やサービスに対して行われた消費による効果を指す。
- 一次波及効果とは、直接効果の需要を満たすために行われる生産を支えるために行われる生産による波及効果を指す。
- 二次波及効果とは、直接効果と一次波及効果により生じた雇用者所得が消費に転換(家計迂回)されることによって生み出される生産を指す。
- ※5
- 雇用者誘発数は、生産波及に伴い誘発される雇用者数の合計であり、各産業の生産波及効果に産業連関表の付帯表である「雇用表」の雇用係数をかけることにより算出する。
- ※6
- 誘客とは、福島県及び近隣県を目的地とした福島空港利用者(インバウンド)を指し、送客とは、就航先道府県及びその近隣県を目的地とした福島空港利用者(アウトバウンド)を指す。
- ※7
- 国際線利用者の消費データを調査などにより把握していないため、今回は国内線利用者の消費データを使用した。よって、国際線利用者の経済波及効果については参考値としている。
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