2001年版 福島県年次経済報告書
印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
2001年版 福島県年次経済報告書
2001年版 福島県年次経済報告書(概要)
1 福島県経済の概況
- 平成9年春以降、後退局面に入っていた本県経済は、各種の景気浮揚対策が講じられた結果、11年の年央以降、極めて緩やかな回復過程に移行することとなった。
- 本県では、このような景気の動きを取りまとめ、9年3月を景気の山、11年6月を景気の谷とする第12景気循環を、13年9月10日に公表したところである。
- 12年の本県経済を主要経済指標の動きで振り返ると、まず、消費面では、大型小売店販売額が、百貨店で回復の動きが見られたものの、スーパーが依然として不振から抜け出せなかったため、前年を下回る結果となった。
- また、乗用車新規登録台数は、軽自動車が高い水準を維持するなか、他の車種においても回復の動きがあり、全体では2年連続して前年を上回った。
- なお、現金給与総額指数も前年を上回ったものの、常用雇用者数の減少により消費の拡大までには波及しなかった。
- 建設需要面では、新設住宅着工戸数が持家の伸び悩みから前年割れとなるとともに、公共工事請負金額も前年を大きく下回ったが、業務用建築物着工棟数では鉱工業用、商業用で前年を上回る動きが見られた。
- 物価は、国内卸売物価指数は前年並みとなり、消費者物価指数は2年連続の下落となった。
- 生産面では、電気機械が好調を維持するなか、他の業種でも改善基調に転じた結果、生産、出荷指数とも2年連続で前年を上回ることとなった。しかし、業種間の格差がより鮮明になったほか、年末にかけ、やや弱含みの動きも見られた。
- 雇用・労働面では、新規求人倍率が1倍を上回り、有効求人倍率も回復基調に転じたが、一方で常用雇用指数の低下が続くなど、厳しい情勢を脱していない。
- なお、所定外労働時間指数は、3年振りに前年を上回った。
- このような状況下、企業倒産件数が再び増加基調に転じ、中小企業の業況感も回復の動きが足踏みに転じることとなった。
- 以上のとおり、12年の本県経済は、生産活動の一部で明るい動きが続き、雇用も低水準ながら回復基調にあったが、消費の回復が進まず、全体としては依然厳しい状況が続いた。
2 各種統計データの動き
- 個人消費
- 大型小売店販売額は、3年連続の前年割れとなり、店舗数の減少が一層進行した。⇒ 百貨店は前年を上回ったものの、スーパーは引き続き落ち込んだままとなっており、全体としての販売額低迷には歯止めが掛かっていない。⇒ この背景には、不況による消費落ち込み、新業態への需要流出、消費者の価格志向の変化など、様々な原因が複合している。
- 乗用車新規登録台数は、2年連続して前年を上回った。⇒ 大型車、小型車の伸びが大きく寄与している。また、軽自動車も、伸び悩みが見られ始めたが高い水準を確保した。⇒ 中型車は、12年4期には前年を上回った。
- 現金給与総額指数(名目)は、3年振りに前年を上回った。⇒ 前年を上回ったのは、超過労働給与の増加が主たる原因であるが、常用雇用者数の減少により、消費の拡大には波及しなかった。⇒ 賞与の動きを見ると、夏期は前年を下回ったものの、冬期は前年を上回った。
- 物 価
- 国内卸売物価指数(総平均)は、前年並みとなった。 ⇒ 4年以降、低下基調にある。⇒ 工業製品中、機械器具はマイナスに寄与し続けている。一方、素材は、原油価格の上昇に伴い11年4期以降プラスに転じ、12年が前年並みとなる原因となった。
- 福島県消費者物価指数(総合)は、2年連続して前年を下回った。⇒ 10大費目指数では食料、また、商品・サービス分類指数では農林水産物の下落が主たる原因であるが、年後半には、工業製品も前年を下回る動きに転じた。
- 建設需要
- 新設住宅着工戸数は、3年連続の前年割れとなった。⇒ この原因は、持家の減少である。⇒ 民間住宅ローン金利の低下を背景として、公庫融資住宅の減少、民間資金住宅の増加が進んでいる。
- 業務用建築物着工棟数は、前年と同数となった。⇒ 延床面積、工事予定金額とも前年を上回っており、工事量としては前年を上回った。⇒ 鉱工業用建築物の増加が主たる原因である。
- 公共工事請負金額は、前年を大きく下回った。
- 生産活動
- 鉱工業指数(総合)は、生産、出荷とも前年を上回った。⇒ 出荷の伸びに縮小傾向が見られ、その一方で在庫の減少が進んでいる。今後の生産縮小が心配される。⇒ 業種間の明暗が一層鮮明となる中、電気機械が堅調に推移し、鉱工業全体の牽引役となっているが、年末には大きな在庫削減が行われた。⇒ 耐久消費財、非耐久消費財とも在庫の積み上がりが見られ、消費の不振を現す結果となった。
- 大口電力使用量、契約容量とも前年を上回った。
- 雇用・労働
- 新規求人倍率は、3年振りに1.0倍を上回った。⇒ 「繊維、衣服・その他の繊維製品」以外のすべての業種で、新規求人数の増加が見られた。
- 有効求人倍率は0.65倍で、3年振りに前年を上回ったものの、極めて厳しい水準にある。⇒ 有効求人数と有効求職者数の乖離は、徐々に狭まりつつあるが、依然、有効求職者数は高止まりの状況にある。
- 常用雇用指数は、2年連続して前年を下回った。⇒ 建設業、サービス業では雇用者数を増やしているが、製造業、卸売・小売業、飲食店では減らしている。⇒ 生産活動における生産要素の中で、労働力のウェイトが低下した。
- パートタイム労働者比率は、3年振りに前年を下回った。⇒ 建設業、サービス業では雇用者数を増やしているが、製造業、卸売・小売業、飲食店では減らしている。
- 雇用人員判断DIを見ると、過剰感は緩やかに低下していった。⇒ 製造業は過剰感を急速に減らし、12年9月調査では0ポイントまで改善したが、12月調査では再び過剰超過となる。⇒ 人員整理、いわゆる「リストラ」も依然として実施されている。
- 所定外労働時間指数は、3年振りに前年を上回った。⇒ 製造業が大幅に伸びたが、全体的に4期には伸び悩む動きがでた。
- 金 融
- 金融機関預金残高は、前年を上回った。⇒ 11年2期以降2%超の伸びを維持していたが、12年末には1.8%に低下した。
- 金融機関貸出・貸付残高は、前年並みとなった。⇒ 銀行・第二地銀で前年を上回る動きに転換した。これは、新設住宅における民間資金住宅の増加の影響と、既存住宅金融公庫ローンの民間ローンへの借り換えが推進された結果と考えられる。
- 貸出約定平均金利は、低下を続けている。⇒ 設備の過剰感が依然として残っており、設備投資意欲は低調なままである。その結果、資金需要の低下傾向にも変動がない。
- 企 業
- 企業倒産は、件数は前年を上回ったものの、負債総額は前年を下回った。⇒ 倒産件数の増加は、中小企業金融安定化特別保証制度の政策効果により11年中の倒産件数が抑制された反動である。⇒ 負債総額が前年を下回ったのは、11年7月の超大型倒産の反動で、これを除外すると実質増であった。⇒ 原因別に見ると、不況型倒産と放漫経営で倒産件数の7割が占められた。
- 業況判断
- 全国企業短期経済観測調査(福島県分)を見ると、11年から続く改善の動きは極めて弱いものとなった。⇒ 製造業では、電気機械で改善が進んだものの、繊維、窯業・土石で高い悪い超の状況が続いた。⇒ 非製造業では、すべての業種で横ばい若しくは悪化の動きとなった。
- 中小企業業況判断DIを見ると、11年からの改善の動きが途切れ、悪化超の状態で足踏みする動きに転じた。⇒ サービス業では11月に良化と悪化が均衡するまでに改善が進んだが、建設業では悪化の度合いが深まる一方となった。 また、その他の産業では、年央にかけて改善が進んだが、その後失速する推移となった。
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