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東陽電気工事株式会社(西郷村)


印刷用ページを表示する 掲載日:2026年3月6日更新

男性中心のイメージが根強い電気工事業界にあって、独自の「健康経営」と「人材育成」で注目を集めるのが、福島県西郷村の東陽電気工事株式会社です。かつて「3年以内離職率100%」という深刻な危機を経験しましたが、現在は女性3人を含む社員11人、平均年齢33歳という、業界では異例の若さと多様性を誇る組織へと生まれ変わりました。

🌸建設業界のシステムを書き換える。対話と育成で「誰もが輝ける」職場へ🌸

いかにして女性や若手が定着する風土を築いたのか。代表取締役の石川格子(のりこ)さん(42)に、改革の歩みと会社の未来を伺いました。​ 

 

            東洋電気工事外観       東洋電気工事社長

             東陽電気外観コメント        東陽電気社長

■病院の領収書で「通院休暇」を取得。心身の健康を支える独自制度

―女性や若手が働きやすい職場づくりとして「健康経営」を推進されていますね。

「性別に関係なく、誰もが健康で働き続けられる職場」を目指しています。その柱の一つが、通常の有給休暇とは別に付与している年間3日間の「通院休暇」です。病院の領収書を提出することで、腰痛や体調不良、健診後の再検査などに利用でき、時間休としての受診も可能です。現在の利用率は約80%に達しています。

新入社員にも入社と同時に5日の有給と3日の通院休暇を与えます。これは、5月の大型連休前後に心身のバランスを崩しやすい時期を、自ら休暇を調整して乗り越えてもらうためです。この制度により、若手の定着率が向上ました。

■「休みやすい雰囲気」が育む、プライベートを尊重する文化

―社内の雰囲気づくりも工夫されていると聞いています。

有給取得の理由を聞くことはありませんが、実際には「推し活」やデートの話など、プライベートのことも気兼ねなく話せる雰囲気が生まれています。私自身、出産を経験したことで、育児と仕事の両立の大変さを痛感しました。それがきっかけで、社員の生活に深く耳を傾けるようになりました。女性社員からは「社長が女性だったことで、悩みを話しやすい、分かってもらえる安心感につながった」とも言われました。

例えば、女性社員とは「結婚・出産後も働き続けるにはどうすればいいか」を具体的に話し合います。朝の送迎から夕食の準備まで、何が負担になるのかを深掘りし、会社としてどう協力できるか、周囲がどうフォローすべきかを皆で考えます。単に「バリバリ働くロールモデル」を押し付けるのではなく、一人ひとりの理想のバランスを尊重できる環境を整えたいと考えています。

■「拒絶」からのスタート。父との対立を超えて

―家業を継いだ当初は大変な苦労があったそうですね。

三姉妹の末っ子として生まれ、大学卒業後は学習塾に就職しました。継ぐつもりはありませんでしたが、父が体調不良と経営悪化で「会社を畳む」と漏らした時、戦前から続く家業を終わらせたくない一心で戻ることを決めました。

26歳で役員として入社しましたが、現実は甘くありませんでした。当時の電気工事業界で、資格も経験もない20代女性は珍しく、ベテラン社員からは「娘世代に指図されたくない」と強い拒絶反応がありました。父とも亡くなる直前まで激しく対立していました。現場重視の父に対し、私は業績不振を立て直すために制度改革を進めたい。目標は同じ「会社の存続」なのに、手法が正反対だったんです。

■転機となった「国家資格」と「MBA」への挑戦

―状況をどのように打破したのでしょうか。

まずは「社員と同じ土俵に立つ」ために、必死に勉強して第1種・第2種電気工事士などの国家資格を次々と取得しました。知識を身につけることで、徐々に仲間として認められ始めたんです。

最大の転機は、33歳で社長就任後に名古屋商科大学大学院でMBA(経営学修士)を取得したことです。当時は長女の出産もあり、週末に新幹線で通い、仕事・育児・学問の「三足のわらじ」を履く日々でした。MBAを取得したことで、理論に基づき自信を持って経営判断を下せるようになりました。私が「これをやればこうなる」と明確なビジョンを示せるようになり、社員の態度も協力的なものへと変わっていきました。

■離職率100%を救った研修棟「大地」       

―自社研修施設の建設も大きな改革ですね。

会社を引き継いだ当初、入社から3年以内の離職率は100%でした。現場の忙しさで教育が疎かになっていたことが原因です。そこで2021年8月、短期間で技術を習得できる2階建ての研修棟「大地」を整備しました。

「一人前まで10年」と言われる世界ですが、入社後の3カ月間でみっちり実地研修を行うことで、早期に現場で活躍できるレベルまで引き上げます。早く成長を実感できることが若手のやりがいとなり、離職率は30%まで低下しました。

                                                  東陽電気研修棟                                    東陽電気小松さん​​

                                                            コメント東陽電気研修棟                              東陽電気小松さん​​

 ■地域の未来を照らす。業界全体の魅力を発信

―地域活動にも力を入れていますね。

地元の工業高校とは10年近く連携し、月1回の体験会や授業支援を行っています。また、2022年からは小学生向けの「SDGsイベント」を開催し、毎年約500人の親子が訪れています。職業選択の意識が芽生える小学生ぐらいから、電気工事の楽しさや、エネルギーの大切さを知ってほしいと願っています。

今後の使命は、次世代への着実な承継です。自社の研修棟を他社にも開放しているのは、業界全体を盛り上げたいからです。小さな会社の挑戦ではありますが、この歩みが電気工事業界の未来を照らす光になればと思っています。

 

🌸現場で活躍する従業員からお話を伺いました🌸

■「見て覚えろ」から「共に歩む教育」へ。31年で変わった会社のカタチ

電気工事士・グループマネージャー 小松孝行さん(49)

入社31年目です。かつては男性のみの職場で、いわゆる「昭和のスタイル」で、技術は見て覚えるのが当たり前の時代。現場では厳しい表情で背中を見せることしかできませんでしたが、今は研修施設で丁寧に教えることができます。対話を大切にするようになり、私自身の気持ちにも余裕が生まれ、表情も穏やかになったと言われます。

■「お互い様」の精神が根付く、生活と仕事を両立できる職場

電気工事士 我妻佐知子さん(52)

中途入社9年目です。面接で社長と話し、さまざまな資格に挑戦できる環境に魅力を感じて経験ゼロからスタートしました。現在、母の介護をしており、急な休みをいただくことがありますが、社長をはじめ周囲が「大丈夫、無理しないで」「気をつけて行ってきて」と温かく送り出してくれます。誰かが急に休んでも。カバーできる体制が整っているため、安心して生活と仕事を両立できています。

            東陽電気談笑2       東陽電気我妻さん                 

            東陽電気コメント談笑2        コメント東陽電気我妻さん   

企業概要

東陽電気工事株式会社

事業内容:電気・通信・消防設備工事

社員数11人(男性8人、女性3人)平均年齢33歳

〒961-8055 福島県西白河郡西郷村字道南西85番地  Tel.0248-22-6262 Fax.0248-22-6165

会社ホームページ https://www.toyodenkikouji.jp/contact.html