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ふくしまの好きな瞬間

大内宿にて

名前: 蒋 薇

国籍: 中国

福島県上海事務所職員、中国中学生福島応援ツアー引率
(2014年03月)

訪問先:会津若松市等

メッセージ

 2013年の2月、香港のマスコミと共に冬のふくしまの大地に立ちました。

 ふくしまより、ずっと南にある上海で生まれ育った私にとっては、
 雪景色はとても珍しく、わくわくしていました。
 これまで観光パンフレットでしか見たことのない、銀色に染まるふくしま。
 この景色は、決して忘れません。

  「雪下野菜」を取材するため、北会津の田畑に行きました。
 元々秋で収穫されるはずの野菜は、冬の季節で収穫を迎え、
 寒い天候と相まって、通常よりも多い糖分を引き出すという手法です。 

 田畑の気温はマイナス6度で、さすがに極寒のシベリアに程遠く及びませんが、
 それでも膝まで積もった雪に足を踏み入れることを初めて体験した。
 そして、農家の案内のもとで、雪世界への冒険が始まったのです。

 農家の車に座ったのも束の間、すぐに下車し、今度は徒歩で吹雪の中で道を進むことになりました。
 少しずつ、少しずつ、目的地の田んぼに辿り着けたことはまさに、
 摩訶不思議なアドベンチャーで、一生忘れられません。

 取材を終えて、農家から雪下キャベツを頂きました。
 その味はというと、世界で一番甘くて美味しいキャベツだと思いました。
 余談ですが、取材後の東山温泉は最高で、心身ともに癒されました。

 2014年の3月、再び冬のふくしまを訪れました。

 今度は、奇しくも数十年ぶりの大雪に見舞われました。
 「アナと雪の女王」の世界観を再現したかのように、
 曲がりくねった雪化粧のこぶしラインを抜けますと、
 その先にあるのは大内宿です。

 江戸時代の町並みを忠実に守り抜いた風貌で有名な大内宿ですが、
 茅葺き屋根は雪の中で眠っていました。
 「粉雪」という言葉は以前から知っていましたが、
 その実物は大内宿で初めて見ることができました。

 雪合戦で投げた雪玉は、日射しの下で、粉のようにキラキラしていました。
 その美しい瞬間は記憶にずっと残っています。
 営業時間外にもかかわらず、わざわざ開けてくれたお店もありました。
 店の看板娘さんが渡してくれた甘酒は、
 人情の暖かみが滲んでいて、最高に美味しかったです。

 早起きのプレゼントとして、冬の猪苗代湖ならではの景色を身近に見ることができました。
 シベリアから飛んできた美しい白鳥たちに出会えました。
 遠くそびえ立つ磐梯山、それを鏡のような映し出す猪苗代湖、そして寒い湖風の中で泳いでいる白鳥。
 この穏やかな光景を見た私は、やがて日常生活の悩みも忘れて、満たされていました。

 これまで、ふくしまを訪れたのは、たったの4回しかありませんでした。
 限りある短い時間のですが、
 ふくしまからもらった美しい瞬間、心を響く瞬間、記憶に残る瞬間は
 数えきれないほどあります。

 ふくしまの人々も、かの雪下野菜のように、
 どんな厳しい環境の中でも生き抜ける強い生命力とともに、
 より美しい収穫の未来を迎えていくのに間違いありません。

 私はそう信じています。

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