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第04回:全量全袋検査(JA会津いいで)

 自作の起き上がり小法師と一緒にバスに乗り、先生たちにさようならと手を振りながら、高齢者生産活動センターを後にした。バスの運転手が慣れた手つきで酷道を通りぬけ、程無く米袋が山積みの倉庫らしき建物にたどり着いた。
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 案内してくれたスタッフの説明によると、この施設では米の放射性物質検査を「全量全袋」単位で行っているとのこと。
 福島県産米の全量全袋検査は、決して簡単なことではない。検査の対象となる玄米はひと袋あたり30kg、そしてその数はなんと一千万袋以上!これまで使われていた検査方法(Nal簡易検査器200台、検査時間は1回あたり20分)で単純計算するとたとえ24時間フル稼働で検査し続けても、694日がかかる。
 そこで全量全袋検査をより飛躍的効率化を実現させたのは、スクリーニング検査という方法のあかげである。

 スクリーニング検査ではベルトコンベア式放射性セシウム濃度検査器などの簡易検査器を利用し、米袋ごとにお米の検査を行う。スクリーニング検査の結果、基準値の100Bq/Kgを超える可能性検体が少しでもあれば、別途ゲルマニウム半導体検出器で詳細検査を行う必要があるという。
 施設に運ばれてくる米袋には生産地がすぐわかるように、バーコードを米全袋に貼り付けている。スクリーニング検査の結果、基準値の100Bq/kg以下の場合は「検査済み」と表記したラベル(ID番号やQRコードがあり、検査の詳細を一目瞭然にした仕組みである)を貼ることになる。
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 こうやって検査済みのお米は出荷され、消費者の元などに届く。
 2012年4月25日から2013年7月9日現在、累計一千万袋以上にも及ぶ米の検査が行われた。結果として、その中には基準値を超え、出荷禁止になったのは数はわずか71袋(0.007%)とのこと。

 米1袋の重量は30kgで、人力使わずにそれを持ち上げ、検査器のベルトコンベアにのせるには特殊な機械が使われいてる。機械が吸引力で動き、米袋を吸い上げる。ちょっとしたこつが必要だが(最初はわりと強く米袋にくっつかないとと持ち上げにくい)、我々は一人ずつ、その機械を操縦してみた。
 意外にも面白い作業だった。
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 機械を使わないで、米袋を持ち上げるのはもちろん十分可能だが、普通の人が数回やるのはぎっくり腰への片道切符を買うことと同じだ。しかしベルトコンベアの向こう側には同じような機械はなく、米袋の積み降ろしは作業員全員素手で作業をしていた。
 ワーカーパワーに脱帽するしかなかった。

 バスに乗り込み、次の目的地に向かうも、なぜか頭にその機械のことでいっぱいだった。ふと、「一家一台あったら便利なのになあ~」と一人の参加者(↓)がつぶやいた。
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 全く賛成だぜ、コスト以外の部分ならね。
 施設を案内してくれたJA会津いいでのスタッフのみんなさん、本当にありがとうございました!

(投稿者:ウィリアム)

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