第2回 「 新年度になりました 」
新年度になり、1ヶ月が過ぎました。進学や就職その他で環境が変わった方は沢山おられると思います。
異動しなくても、職場の顔ぶれが変わったり、仕事内容が変わるなど、変化に富む季節ですね。
さて、環境が変わると、何かしら緊張する場面も出てきます。
そんなときに現れやすいのが、以前のように眠れないという、いわゆる不眠です。
心身医療科には、不眠を訴えて来られる方が沢山おられます。その中で、「薬は使いたくありません」という方が一定数おられます。 今日は、いつも外来でよくお話させていただくことを、いくつか書こうと思います。
人には「体内時計」があることは、良く知られていますね。この体内時計は、きっちり24時間ではなく、1日1回光を浴びることでリセットされます。ですので、毎回お話しする第1番目が、「朝日を浴びてください。できればその時、散歩かラジオ体操など、少し身体を動かしてください」です。
次にお願いするのが、「布団に入る時間を決めてください。でも、15分たっても眠れなければ潔く布団から出てください」です。 人は将来に備えることができる生き物です。それが仇となり、不眠になると「明日のために」眠ろう、眠ろうと努力して、結局目が覚めてしまいます。あえて眠ろうと努力せず、また、寝室で眠れない時間を過ごさず、「寝室や布団は眠るための場所である」と脳に学習させるためにも、この方法を実践していただきます。このとき、「眠れないと大変だ」という一般的な考えは、一旦無視していただきます。
次は、「一旦布団から出たら、光を落とした部屋(寝室以外)で、雑誌をパラパラめくったり、ぼんやり過ごしたりして、眠くなってきたらまた布団に入ってください。しかし、15分たって眠くならなければ、また、布団から出て同じように過ごしてください」です。
そして一番のポイント(と普段言っています)は、「例え明け方ようやく眠れたとしても、朝起きる時間は一定にしてください」、そして、「昼寝は30分以内まで」、です。睡眠と覚醒は「リズムが大切」とよく言われます。明け方眠ったからといって、その日は午前中寝てしまうとか、何時間も午睡を取ってしまうと、このリズムができません。
このほかにも、シャワーではなく入浴してください、というのもあります(入浴で上昇した体温が、下がってくるときに眠気がくるため)。またカフェインは覚醒効果が数時間続く人がいるため、午後3時以降のカフェインは控えましょう、などもあります。
以上、ものすごく大雑把に書きました。睡眠の専門家からすると、簡単すぎるとお叱りを受けそうな程ですが、でも、これで「眠れてきました」と言ってくださる方が結構おられるのも事実です。
不眠は深刻な心の不調のサインのこともありますから、いろいろ工夫しても眠れない場合や、憂鬱だ、ひどくおっくうだ、何をしても楽しくない、食欲がない、など他の症状もある場合は、一度精神科などの心の専門家を訪れてみることも役に立つかもしれません。
新しい季節、元気に乗り切っていただけますように、応援しております。
〈参考〉
1)健康づくりのための睡眠指針2014-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001208251.pdf
2)櫻井武 「睡眠障害のなぞを解く」講談社,2015年,142ページ