田中建設工業株式会社
県産材を活用した液体ガラス製品の販路拡大(R5)
令和5年度木材製品需要拡大技術導入事業で実施。
田中建設工業株式会社
代表取締役 田中誠二郎
田中建設工業株式会社のホームページ
プロジェクトの概要
液体ガラス加工した県産材を使ってPR展示ブースを制作して、製品展示会に出展することで、他業種との交流を図り新たな利用価値を見出し、販路拡大を図る。
田中代表取締役に聞いてきました!
液体ガラス事業を始めたきっかけ
元々製材業を営んでいたのですが、従業員の高齢化と共に丸太を挽く人がいなくなり製材業を畳むことを考えました。しかし、初代から受け継がれてきた製材機は年季が入っていたため、買い手もつかず処分するにも多額の費用を要することがわかりました。このまま処分したら先代や先々代に悪いと思い、製材について少し勉強することにしました。もう一度やるからには、ただ丸太を挽くだけではダメだと考えていたところ、液体ガラス処理に出会ったことがきっかけです。
液体ガラス加工とはどのような技術か?
表面だけでなく内部にも液体ガラスを含浸させることで通常の木材に比べ、劣化しにくい材にします。
処理の過程としてはまず、製材した材を高温のお湯に浸けることで脱水を行います。間を置かずに液体ガラスに浸すことで材は温度を下げながら液体ガラスを吸い上げます。その後、表面を液体ガラスで塗装することで、劣化しにくい材を作っています。
クレーンで木材をお湯に沈めます。
夏場の材も使えるです!
一般的に夏場の材は水分を多く含むため、製材業者から敬遠されるのですが、液体ガラス処理にあたっては特に気になりません。実は材の含水率が高いことがメリットになります。お湯に浸けた際の水分の抜けが良く、液体ガラスの含浸がうまくいきます。夏場の材も受け入れられることは、強みになりますね。
乾燥にもこだわりを
乾燥機には県産材を利用してます。壁のスギ材には特殊な加工を施しており内側から外側へ一方通行で水分を通す仕様になっています。特許の関係で詳しくはいえませんが…。
一般的な高温での強制乾燥ではなく赤外線を利用し時間をかけ低温で乾燥を行ます。低温で時間をかけ乾燥することには、割れが少ないことや電力の消費が少ないなどの利点があります。
また、乾燥機の販売施工もできます。サイズも要望に応じて対応が可能です。木材だけでなくフルーツの乾燥も可能なのでドライフルーツなんかもいいと思います。ちなみに、パイナップルで実験した時は、うまくいきました。おいしかったです。
古い材の再利用も得意です。
古い木や腐りの入った木も磨き上げ再利用します。古い家を解体する機会も少なくないのですが、その際に良い材が出でくることがしばしばあります。代々受け継がれてきた家の材を再利用してくれるならと買い取りに応じてくれるお客さんも多いので、手間をかけても取り出します。加工し再利用するのですが、そう言った材と大工の技術で特別に施された部分は特に画になりますね。
再利用した際には、元の家の持ち主に写真を送ります。そうすると親戚で集まった時の話のたねになるようで、喜ばれています。
工場の外壁にも液体ガラス加工した木材が使用されています。