ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 労働委員会事務局 > 集団Q&A5-(3)権限のない者による団体交渉

集団Q&A5-(3)権限のない者による団体交渉

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月26日更新
Q&Aのトップに戻る

 

権限のない者による団体交渉

質問

 年末一時金について、会社と団体交渉を行っています。会社側は人事部長が交渉担当者として出席していますが、労働組合の要求に対して、人事部長はあらかじめ用意された会社回答を読み上げるのみで、労働組合からの質問に対してもその場で回答せず、「持ち帰って検討します。」と繰り返すばかりで交渉が進展しません。
 これで誠実な団体交渉を行っているといえるのですか。

答え

 質問のような会社の対応は、不誠実な団体交渉を行ったとして、不当労働行為に該当する可能性があります。

解説

1 団体交渉の使用者側担当者

 団体交渉における使用者側の交渉担当者には、社長などの代表者のほか、労務担当役員や人事部長などに交渉権限を与えて、交渉担当者とすることができます。交渉担当者には、必ずしも妥結権が付与されなければならないということはありませんので、その権限や委任の範囲を超えた要求については、持ち帰って検討する場合もあります。
 しかし、交渉権限が当然にあるはずの職務にありながら、あるいは、委任された範囲内での交渉でありながら、団体交渉の場で判断をせず持ち帰って検討することを繰り返した場合、あるいは、なぜその場で回答できないかについて説明を尽くさないような場合は、交渉担当者が実質的な交渉権限を有していたと認められず、不誠実な団体交渉と判断された裁判例もあります。

2 誠実交渉義務

 使用者は、労働組合からの団体交渉申入れがあった場合、義務的交渉事項についての申入れであれば、交渉に応じる義務があります(労働組合法第7条第2号)。
 使用者は、形式的に交渉の席につきさえすれば団体交渉を行ったことになるものではなく、労働組合が団体交渉を求めてきた場合には、最終的には何らかの合意に達しえなかったとしても、その団体交渉の過程においては、自己の主張を相手方に十分納得させるべく誠意をもって交渉にあたらなければならないとされており、これを誠実交渉義務といいます。
 使用者が義務的団体交渉事項について、正当な理由なく団体交渉に応じない場合、あるいは最初から結論を決めて真摯に話し合わない、交渉に必要な資料を出さないなど、誠実に団体交渉を行わない場合、誠実交渉義務に反し、不当労働行為となります。
 誠実団体交渉義務に反するとされる例として、実際上権限のない者による見せかけだけの団体交渉、冒頭から話を聞かずに「合意する意思はない」と宣言し合意形成の意思がないことを最初から明確にした交渉態度、拒否回答や一般論のみで議題内容につき実質的検討に入ろうとしない交渉態度などがあります。

参考命令

○ 大阪特殊精密工業事件(大阪地判昭和55.12.24 労判357号)
○ 神谷商事事件(東京高裁平成20.11.5判決)

 

 

 

 

 

ページの上部に戻る

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。