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集団Q&A4-(3)労働協約の解約

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年2月28日更新
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労働協約の解約

質問

 会社側の都合で10年前に締結した現行の労働協約を解約して、組合専従者を認めないとする新たな協約を締結するよう労働組合に申し入れがありました。
 これに対し労働組合は、今回の解約申入れは、組合の運営を阻害し、組合に打撃を与える目的でなされたものであり、労働協約を一方的に解約することは認められない旨、団体交渉で主張しました。
 会社はそれ以降団体交渉に応じず、90日間の予告期間をおいて一方的に解約を通知してきましたが、このような一方的な解約通知は有効でしょうか。

答え

 有効期間の定めがない労働協約は、原則として少なくとも90日の期間をおいて署名又は記名押印した書面で相手方に予告すれば解約することができますが、質問のように実質的な協議を尽くさずに組合弱体化の意図をもって協約を解約しようとしたと認められる場合には、不当労働行為となる可能性があります。

解説

1 労働協約の解約について

 有効期間の定めがない労働協約については、当事者の一方が署名又は記名押印した文書によって、少なくとも90日前に相手方に予告すれば解約することができます(労働組合法第15条第3項、第4項)。
 なお、労働協約の一方的な解約は、特別の規定や相手方の同意がない限り、当該労働協約の全体に対してのみ可能であり、当事者は自己に不利な部分のみを解約することは許されないとした判例があります。

2 期間の定めのない労働協約の解約が不当労働行為と見なされる場合

 立法上は労働協約の解約に理由は必要とされていませんが、労使関係のルールや便宜供与に関する労働協約の使用者による解約について、協定締結組合の運営を阻害し、実質的協議を尽くさずに解約通告をし、ことさら組合に不利な時期を選ぶなど、専ら組合に打撃を与える目的でなされたと認められる場合には、支配介入として不当労働行為に該当すると判断された判例があります。

(参考)

〇労働協約に有効期間が定められている場合

 有効期間の定めのある労働協約は原則、途中で解約することができません。期間の満了をもって終了(失効)します。
 また、労働組合法では、労働協約に有効期間の定めをする場合には、3年を超える有効期限を定めてはならないとし、それより長い有効期間の定めをした労働協約は、3年の有効期間の定めをした労働協約とみなすとされています(第15条第1項、第2項)。
なお、期間満了後の取扱いについて、労使間の合意に基づき更新又は延長することができますし、労働協約上の定めに基づく自動更新も可能です。

判例

○ 光洋精工事件(大阪地判平成元.1.30 労民集40巻1号)
○ 駿河銀行事件(東京高判平2.12.26労判583号)

 

 

 

 

 

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