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個別Q&A8-(2)年次有給休暇がもらえない

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年3月29日更新



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年次有給休暇がもらえない

質問

 私は会社の正社員として勤務して1年以上経ちますが、友人の結婚式に出席するために年次有給休暇を取得したいと申し出たところ、上司から「そんな理由では認めない。」と言われました。この場合、私は年次有給休暇を取ることはできないのでしょうか。

答え

 年次有給休暇は、利用目的を問われることなく取得できます。

解説

1.年次有給休暇の発生要件

 年次有給休暇(以下「年休」という。)とは、労働者に対し休日の他に毎年一定の日数の有給の休暇を保障する制度です。
 労働者は以下の2つの要件を満たせば、年休が付与されます(労働基準法第39条第1項)。
 (1)雇用された日から6か月以上継続して勤務し、
 (2)全労働日の8割以上出勤
 全労働日とは、働く義務のある日をいい、年休取得日、労災による休業期間、産前産後休業期間、育児・介護休業期間は、出勤したものとみなされます。
 なお、正社員であっても、パート・アルバイトであっても、この2つの要件を満たせば年休が付与されます。

(参考)

1.年次有給休暇の付与日数 

 (1) 週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者

継続勤続年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

 (2) 週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者

週所定労働日数 年間所定労働日数 継続勤務年数
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
169-216 7 8 9 10 12 13 15
121-168 5 6 6 8 9 10 11
73-120 3 4 4 5 6 6 7
48-72 1 2 2 2 3 3 3

※年間所定労働日数は、週以外の期間で労働日数が定められている場合

2.年次有給休暇の利用目的と不利益取扱いの禁止

 使用者は、労働者が請求する時季に年休を与えなければならず、使用者による承認は不要です。年休をどのように利用するか、その利用目的については原則として労働者の自由であり、使用者は、年休を取得した労働者に対して、賃金の減額や精皆勤手当及び賞与の算定などに際して、欠勤として取り扱うなどの不利益な取扱いをしてはなりません(労働基準法第136条)。

3.使用者の時季変更権

 使用者は、労働者から請求された時季に年休を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、他の時季に年休を与えることができるとされており、この使用者の権限を時季変更権といいます(労働基準法第39条第5項但書)。
 「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、業務遂行に必要な人員を欠くなど業務上の支障が生じることだけでなく、代替要員を確保することが困難であることが必要とされており、単なる繁忙期や人員不足を理由とした時季変更権の行使は認められません。

 4.年次有給休暇の繰越

  未消化となった年休については、翌年度まで繰り越すことができます。これは年休の請求権が時効により2年で消滅するためです(労働基準法第115条)。例えば、週所定労働日数5日の労働者で、勤続年数2年6か月、前年度の未消化年休が5日だった場合、今年度は未消化分5日に新規付与される12日を加えた17日の年休を取得できます。

参考

○新潟鉄道郵便局事件(最二小判昭60.3.11 労判1452号)
○西日本ジェイアールバス事件(名古屋高金沢支判平30.3.16 労判738号)

 

 

 

 

 

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