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個別Q&A7-(2)時間外・休日労働と36協定

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年1月11日更新
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時間外・休日労働と36(さぶろく)協定

質問

 私の勤めている会社の就業規則には、業務上必要な場合は残業を命じる旨の規定がありますが、「時間外労働・休日労働に関する協定」(いわゆる36協定)が締結されていません。
 年度末で業務が忙しくなってきたとのことで、時間外労働や休日労働を命じられましたが、会社は命じることはできるのでしょうか。

答え

36協定を締結していない場合は、会社は時間外労働や休日労働を命じることはできません。

解説

1.時間外労働・休日労働の要件

 使用者が時間外又は休日に労働させる場合には、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、そのような組合が無いときには労働者の過半数を代表する者と書面による労使協定(36協定)を締結し、これを労働基準監督署長に届け出なければなりません。(労働基準法第36条第1項)
 また、時間外又は休日労働を命じるには、36協定のほかに労働契約上の根拠が必要であり、就業規則や労働協約、個別の労働契約などにそれらの規定を定めなければなりません。
 なお、時間外・休日労働の要件を満たしている場合は、パートタイム労働者などの正社員以外にも時間外労働や休日労働を命じることができます。

2.時間外労働

 労働基準法では、労働時間を1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはならないと定めており、これを法定労働時間といいます。法定労働時間を超えて働くことを法定時間外労働と言います。(同法第32条)

3.休日労働

 労働基準法では、毎週1日又は4週間で4日以上の休日を与えなくてはならないと定めており、これを法定休日といい、法定休日に働くことを休日労働と言います。(同法第35条)

4.時間外労働の上限規制

 働き方改革関連法により、時間外労働の上限は、原則として、月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。(同法第36条第4項)

 上記の限度を超える可能性がある場合は、36協定に特別条項を付加することができますが、以下の規制を守らなければなりません。(同法第36条第5項及び6項)
 (1)時間外労働が年720時間以内
 (2)時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
 (3)時間外労働と休日労働の合計について、2~6か月平均が全て80時間以内
 (4)時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

 この上限規制は、大企業のみならず中小企業に対しても適用されます。
 なお、2024年4月からは、特別条項付きの36協定が以下の業種にも適用されます。
  (1)工作物の建設の事業については、災害時における復旧及び復興を除き、年間の時間外労働の上限は720時間以内となります。
  (2)自動車運転業務については、年間の時間外労働の上限は960時間以内となります。
  (3)医業に従事する医師については、年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間以内となります。
   (A水準は年間960時間以内
    連携B水準、B水準、C水準では年間1860時間以内)
    ※副業、兼業先も通算

(参考)
時間外・休日労働の割増賃金

 使用者は時間外労働や休日労働を行わせたときは、割増賃金を支払う必要があります。また、時間外労働でなくとも午後10時から午前5時までの深夜に働いた場合も割増賃金が発生します(同法第37条)。

判例

○ 日立製作所武蔵工場事件(最一小判平成3.11.28 労判594号)

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