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【ろうどうコラム】「自律型人材」と「ダイバーシティ・マネジメント」

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月15日更新

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H25.4.12  「自律型人材」と「ダイバーシティ・マネジメント」

労働委員会 公益委員 伊藤 宏      

 この数年、企業は自律型人材を求めていると言われている。経団連も2006年の報告書「主体的なキャリア形成の必要性と支援のあり方~組織と個人の視点のマッチング~」において、経済活動のグローバル化・情報通信技術の進展などの企業を取り巻く環境の変化の中で、それぞれの職場において自律型人材が不可欠であると述べている。自律型人材とは「自ら課題形成し、自律的に仕事をすることができる人材」である。簡単に言えば、「指示待ち族」や「マニュアル人間」の対極にある人材像である。

 確かに、今の大学生を見ていると、「指示待ち族」「マニュアル人間」が多くなっていることを痛感する。教員側が具体的に指示すれば、一所懸命に勉強や作業をするが、自分自身で課題や目標を決めることができず、誰かの指示がなければ動き出せない学生が多い。たとえ目標を持っていても、それが親からの「刷り込み」であることも少なくはない。また、「就職ガイダンス」でよく出る質問は「面接のときにドアのノックは何回すればよいですか?」「ネクタイの色は何色がいいですか?」等々である。就職活動に守るべきマニュアルがあり、それに従えばよい結果が得られるであろうという「幻想」があるかもしれない。皆と違うことを極端に嫌い、「リスク」を取る勇気がないのかもしれない。

 このような「非自律型学生」が多くなっているのは、大学を含めた学校教育や家庭教育の影響があるのだろう。しかし、企業が真に「自律型人材」を求めているならば、そのメッセージが学生にも伝わり、学生側もそれに対応するはずである。表面的には「自律型人材」を求めていると言いながら、大企業の多くは依然として新卒一括採用を止めていないし、画一的な社員教育をしているのが現状である。本当に自律的で独創的かつ個性豊かな人材は、企業が敬遠し(リスクが大きいと認識しているのかもしれないが)、企業にとって都合の良い「自律型人材」を求めているに過ぎないのかもしれない。ある企業の人事評価の項目に「的外れ」というのがあると聞いたことがあるが、「的外れ」と「自律型」は紙一重の所がありそうだ。

 環境の変化に対応するだけでなく、自ら変化を起こせるような「自律型人材」を企業が許容していかなければ、新しいビジネスモデルを構築していけなのではなかろうか。そのためには「ダイバーシティ・マネジメント」が重要となっくる。「ダイバーシティ・マネジメント」は女性や障害者、外国人の活用といった意味で捉えられるが、真の意味は「異なった価値観やライフスタイルといった多様性を受容し、それを活用する経営」である。このような多様性を許容し、真に自律的な人材を受け入れ、育成していくことこそが企業が求められていることではなかろうか。

 画一的採用・画一的教育は確かに手間やコストはかからない。しかし、その副作用が早期離職のような形で表れてきている。企業は採用や人材育成にもっともっと手間やコストをかけるべきではないかと思う今日この頃である。なんと言っても「組織は人なり」なんですから。

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