沼尻分場 研究内容
沼尻分場の研究内容
1 飼料用米(圧ぺん籾米、玄米)の給与技術の開発
肉用牛の育成期を含めた飼養全期間で肥育用配合飼料の25~35%を圧ぺん籾米、30~40%を圧ぺん玄米にそれぞれ置き換えて給与しても良好な発育や枝肉成績となることを確認しました。
また、飼料用米の利用拡大に向けて、肉用牛肥育経営農家での現地実証試験を併せて行い、配合飼料の30%を圧ぺん玄米に置き換えて給与しても実証農家の慣行肥育成績と遜色ないことを確認しました。
下の写真は、飼料用米(圧ぺん籾米を配合飼料の35%代替)を給与した肥育牛の枝肉断面です。
(県基幹種雄牛の「高百合」去勢産子、Bms.No11、枝肉重量527kg、ロース芯面積81平方センチメートル)
2 肉用牛短期肥育技術の開発
全国の黒毛和種去勢肥育牛の平均出荷月齢は29.3ヵ月齢((独)家畜改良センター枝肉成績とりまとめ概要(平成28年度))であり、肥育期間の短縮による生産コストの低減が課題となっています。
さらに、東日本大震災の影響により本県産枝肉価格は全国平均よりも低い状況が続いています。
そのため、肉用牛の生産性を向上させ、風評に負けない生産体系を確立するために平成30年度より、肉用牛の短期飼養管理プログラムの開発肥育試験に取り組んでいます。
3 肉用牛の生産性向上のための育成技術の確立
市場価値の高い子牛を生産するためには腹作り(第一胃の発達)が重要であり、育成期の粗飼料摂取量を増加させることが課題です。
そこで、育成牛に給与する粗飼料の香りを増強するために50℃で48時間通風乾燥させた乾草(以下、過乾燥)を給与する試験を実施しました。
過乾燥は通常乾草に比べ嗜好性が高く、育成牛の粗飼料給与時に添加したところ粗飼料給与量が増加することを確認しました。また、過乾燥は電子レンジ(500Wで4分程度)を用いて簡易に作成することができました。ただし、電子レンジによる牧草の乾燥を過剰に行うと発火のおそれがあるので注意が必要です。
4 放牧試験課題
東日本大震災以降、放牧を見合わせてきましたが、表土が薄かったり埋石等のため、深耕による除染ができない放牧地においても、ロータリー浅耕により更新で黒毛和種の放牧の再開が可能であるという実証試験を行いました。
なお、放牧再開にあたっては、モニタリング検査に基づく関係機関の助言等と、放牧中のグラステタニーへの発生防止に気を付けてください。