ラウンド農ふくしまWeb-センター通信(試験研究・業務)-
令和6年度 試験研究・業務の紹介
ミスト噴霧でトマト「りんか409」の裂果を減らすことができます
県内の夏秋トマト産地では、夏期の高温による収量や品質の低下が問題となっています。
そこで、トマトのハウス内にミスト装置(霧状の水を噴霧するもの)を設置して、ハウス内の
環境やトマトの収量・品質に及ぼす効果を調査しました。
ミストを噴霧することでとまと(品種:「りんか409」)の裂果の発生を減らすことができました。
図1 トマト裂果状況 図2 ミスト噴霧装置
「鳥獣被害対策にICT機器をどう使う?」導入支援マニュアルを作成しました
鳥獣被害対策には、見回り活動や状況確認に多くの人手が必要であり、鳥獣被害の特定に時間がかかることがしばしばです。
農業総合センターでは、ICT機器である通信型センサーカメラ及びインターネット上で管理できる地図アプリケーション(GIS(地理情報システム))を活用することで、省力化と時短を目指しました。
通信型センサーカメラを使うことにより、画像確認時間が削減でき、また、地図情報を簡易にデータ化し編集できました。
導入支援マニュアルは、農業総合センターHPにて公開していますのでご確認、ご活用ください。
データベースを活用した経営シミュレーションツールを作成しました!
経営・農作業科では、新規就農者や農業者の品目選定や、新規品目の導入等において活用できる「経営シミュレーションツール*1」を作成しました。
このツールは、メニューから経営面積、現在の労力、品目等を選択して実行すると、利益を最大にする品目の組合せを算出します。Microsoft Excel*2をお持ちであれば、センターのホームページより無料でダウンロードして使用することができます。
現在の労働力や所有する機械を用いて経営の柱にする品目を探したい!新規品目を導入して収益を向上させたい!方は、是非ご活用ください。
*1 ツールは現国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が作成した線形計画法による試算プログラム「XLP」を利用しています。
*2 Microsoft Excelは2016以降のバージョンを推奨します。
図1 シミュレーションの流れ
図2 シミュレーションモデル(労働時間が上限に近づくと、色が濃く赤くなります)
ナシジョイント栽培における施肥量を3割削減できる施肥方法
ナシ栽培には、年間10a当たり窒素成分で20kg必要です。通常、年に2~3回に分けて施肥を行っているため、農業者の作業負担が大きくなっています。そこで、肥料散布回数や量を減じる方法を検討しました。
ナシ「あきづき」のジョイント栽培において、毎年9月の基肥を肥効調節型肥料とし、慣行の施肥量から窒素成分当たりで3割削減しても、慣行と同等の生育と収量を確保できることがわかりました。
ジョイント栽培のナシ棚 ナシの収量と果実重(2021~2023年)