ラウンド農ふくしまWeb-センター通信(R2試験研究・業務の紹介)-
令和2年度 試験研究・業務の紹介
品種開発科のしごと
「品種に勝る技術なし」という言葉があるとおり、優れた品種は生産量や品質を格段に向上させます。品種開発は、大きな期待が寄せられる「夢のある仕事」です。
一方、地道な作業を果てしなく繰り返す、忍耐力・体力が要求される仕事でもあります。
例えば炎天下、泥田に足を取られながら何万もの稲株を一つ一つ手に取り観察し、残す株をサンプリングしたり、何万個というイチゴの実を口にして、おいしい実がなる株を探し出すなど、その作業は時に過酷といえるものです。
また、人々が求める「よいもの」とはなにか、これからそれがどのように変化するのかを予想することも必要です。品種になり評価を受けるのは、少なくとも10数年後のことなのですから(しかも評価を受けるのは大抵何代目か後の担当者です)。ホントに、10数年前、これほどまでの気候変動、大震災による風評被害、コロナの影響による社会の変化など、誰が予想したでしょうか・・・実際には、予想がずれても良いように、手札を増やしていく計画性も必要です。
品種開発科ではこれまで、水稲、イチゴ、アスパラガス、リンドウ、カラーで、計23の新品種を開発してきました。またDNAの解析や種苗の増殖技術開発による効率化、原種苗の供給そのものにも取り組んできました。令和2年度は、リンドウ1品種、カラー3品種を新たにデビューさせました。特にカラーは、平成16年度の開発スタート以来、初めて世に問う品種となりました。
これからも品種開発科は、優れた品種を開発するため「未来を予想しつつ手札を増やしながら地道な作業を果てしなく繰り返し」てまいりますので、よろしくお願いいたします!
■今年デビューした品種の紹介です
【令和3年3月31日 作物園芸部品種開発科】
流通加工科のしごと
流通加工科では、名前のとおり「流通分野」、「加工分野」について、幅広く試験研究をしています。また、平成22年度からハイテクプラザ会津若松技術支援センター、農業総合センター流通加工科、農業短期大学校研修部の3つの部署で「福島県県産品加工支援センター」を構成し、県産農産物等を活用した6次化への取り組みを支援しております。
試験研究のうち、「流通分野」では、農産物に含まれる機能性成分の解明、農産物の鮮度保持等について試験研究しています。
カキの硬度測定(鮮度評価)
「加工分野」では、リンゴの加工適性、玄米麹の製麹技術等について、試験研究しています。
リンゴジャム(プレザーブスタイル)の加工 玄米麹(製麹機で作成)
流通加工科では試験研究で得られた成果の一部を「加工マニュアル」として農業総合センターのホームページに公開しております。
・流通加工に関するマニュアル(http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37200a/manual.html)
・福島県県産品加工支援センターHP(http://www4.pref.fukushima.jp/fpppsc/)
【令和3年2月25日 生産環境部流通加工科】
発生予察課のしごと
各都道府県には、法律(植物防疫法)に基づき、農作物に被害を及ぼす病気や虫を防ぐために、病害虫防除所が設置されています。福島県病害虫防除所は、2006年に農業総合センターができた際に、センター内で安全農業推進部というもう一つの名前を持ち、その仕事をしています。発生予察課はそのうちの仕事の一つとして、県内の病害虫の発生状況を調べ、農作物の被害を最小限に抑えるための情報を発表しています。ホームページ(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37200b/)では、これらの情報や各作物の病害虫についての説明(病害虫ライブラリ)を載せています。2020年は病害虫の発生が目立ったため、イネで2回、果樹で6回、野菜・花で1回の計9回注意報を発表し、農業者やJAなどに注意を呼びかけました。また、新たな病害虫の発生も確認し、野菜で特殊報を2回発表しました。
県内におけるこうした新たな病害虫の発生確認は、近年の海外からの輸入物流の増加や気象変動などにより、増加傾向にあります。すでに日本に侵入し、関東地方のサクラなどを加害しているクビアカツヤカミキリは、県内に入ってくるとモモに大きな被害を及ぼすと恐れられており、現在最も警戒している害虫です。これらの他に知らぬ間に県内に入ってきている病害虫もあるかもしれませんので、農作物で見慣れない病害虫を見かけた時には、発生予察課(電話:024-958-1709、メール:yosatsu@pref.fukushima.lg.jp)までご連絡ください。
田んぼの害虫調査の様子 ナシの病害虫調査の様子 イチゴの病害虫調査の様子 モモせん孔細菌病
【令和2年12月21日 安全農業推進部発生予察課】
企画技術科のしごと
他の科と違い、名前だけでは何をやっているのかわからないのが、「企画技術科」でしょうか。企画技術科の仕事は幅広く、大きく分けると、
1.数多く行われている試験研究の企画や進行管理、部間・他機関との調整
2.得られた研究成果を知って、使っていただくための情報発信
3.農業体験や食育の機会提供、センターと県民の皆さんの交流の場づくり
4.スマート農業実証や鳥獣被害対策などの試験研究
などです。こう書いてもなかなか、イメージはつきにくいかもしれませんね(^^;
とある1日の企画技術科職員の仕事を少し写真でご紹介します。
(視察者の案内) (図書室の整理) (県民向けイベントの実施) (研究成果に関するセミナー)
【令和2年11月30日 企画経営部企画技術科】