ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 食品生活衛生課 > プールの塩素消毒方法

プールの塩素消毒方法

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

Q9:塩素消毒の方法にはどのようなものがありますか。

 これまで述べてきたように、塩素消毒はプール水中の消毒の残留効果を期待して行うものです。
 プール水中の有効塩素は汚染物と反応したり、紫外線で分解しますので、常に消費されています。
 ですから、基準値の0.4mg/L以上を継続的に維持するような方法を取らなくてはなりません。

 現在実施されている方法には

    (1) 連続注入装置を利用する
    (2) 錠剤の溶解速度で調整する
    (3) 溶解速度の遅い塩素剤を用いる
    (4) 塩素安定剤を使用する

などがあります。

(1) 連続注入装置を利用する

 プール水を循環ろ過して浄化する配管系に連続して塩素剤を注入する装置を付けることで、塩素剤を継続的にプールに注入して補給するものです。

 一般的に使用されているのは次の2方式があります。

    ア. 次亜塩素酸ナトリウム液を用いるもの
    イ. 固体(顆粒または錠剤)を用いるもの

 どちらも安定的に運転するためには、メンテナンスが必要です。
 特に運転停止時には、どちらも薬液又は薬剤を排出してきれいな水で清掃しなければなりません。
 そのまま放置すると目詰まりなどの原因になります。

 循環水の中の有効塩素によってプール内の残留塩素濃度を均一に維持すると言うことは、実際にはなかなか困難なことです。
 給水口に近い場所の残留塩素濃度が高くなり、給水口から遠いプール中心部などの残留塩素濃度が低くなりがちです。
 このような残留塩素濃度の不均一は、プールの形状、構造や循環ろ過の配管系の取付け方などにも影響されますが、その他の要素として水の汚れや日光の直射などで塩素消費が大きいほど、この不均一の度合いが高くなります。
 そのため、連続注入装置の使用と併行して、液体や顆粒の塩素剤を残留塩素不足の部分にだけ散布することや、残留塩素が不足しやすい場所に錠剤を入れておくなどの補助的な工夫をしているプールもあります。

(2) 錠剤の溶解速度で調整する

 次亜塩素酸カルシウムや塩素化イソシアヌル酸の錠剤は、通常20〜30gのものが市販されています。
 このような錠剤をプールに投入しておくとゆっくり溶解していき、それに伴ってプール水の有効塩素濃度が上昇していきます。
 そこで、プール使用開始時刻30分〜1時間前にあらかじめ錠剤を投入しておいて、有効塩素濃度が基準以上になってから水泳をはじめると、その後も錠剤は溶解し続けて、消費によって減少する有効塩素を補給し、残留塩素濃度を維持することができます。

 また、次亜塩素酸ナトリウム液か溶解速度の速い顆粒の塩素剤によってプールの有効塩素濃度を基準以上にしておき、同時に錠剤を投入して補給にあてるというやり方をすれば、プール使用開始直前の投入であっても、同じ目的を達することができます。

 錠剤の溶解速度は、錠剤が小さくなるにつれて遅くなるので、有効塩素の補給力も小さくなります。
 したがって、錠剤が溶けて小さくなってきたら、有効塩素濃度が基準値ぎりぎりに減らないうち、新しい錠剤を補充して投入するように留意する必要があります。

(3) 溶解速度の遅い塩素剤を用いる

 トリクロロイソシアヌル酸は水中への溶解速度が遅いという特性があります。

 そこでトリクロロイソシアヌル酸の場合には錠剤または顆粒を水中に散布しておけば、ゆっくり溶解して有効塩素の補給ができます。
 この場合にも錠剤の場合と同様に、プール使用開始の30分〜1時間前に塩素剤を散布しておくか、あるいは次亜塩素酸ナトリウム液やジクロロイソシアヌル酸のように溶解速度の速い顆粒を用いて有効塩素濃度を高くしておいてから水泳をはじめるなどなどの配慮が必要です。

 また、有効塩素濃度が下がりはじめたら、有効塩素濃度が基準値ぎりぎりにならないうちに、塩素剤を補充しておくという注意も必要です。

 トリクロロシアヌル酸の顆粒をプールに散布した際に、細かい粉末がプールの水面に浮いて水となじまないという現象が起こることがありますが、そのような状態にしないためにはポリバケツのようなものにプール水を汲み、バケツ内で顆粒を湿らせてから散布するとよいでしょう。

(4) 塩素安定剤を使用する

 塩素剤の欠点の一つは紫外線により分解・消失することです。

 ところが塩素剤として塩素化イソシアヌル酸が開発され、利用される過程でイソシアヌル酸に有効塩素を安定させる効果があることがわかりました。

 プール水にイソシアヌル酸を約30mg/L程度溶解しておくと、紫外線による有効塩素の分解を防ぐことができます。
 屋外プールで強い直射日光の下では、著しいときには10分間に0.1mg/L程度の速さで分解が進むことがあり、この分解をカバーするように塩素剤を供給することは非常に大変です。
 ところがイソシアヌル酸を併用すると1時間で0.1mg/Lあるいはそれ以下の分解に抑えることができます。
 このときに使用する塩素剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムがあり、塩素化イソシアヌル酸はいずれに対しても有効です。

 プールの有効塩素の消失速度が遅くなると、塩素剤の補給が少なくてすむだけでなく、プール水の残留塩素の均一性もよくなります。
 特に屋外プールの場合連続注入装置だけでは残留塩素濃度の維持がうまくいかず、残留塩素が不足する場所ができるようなときには、安定剤の使用が有効な手段となります。

 イソシアヌル酸は白色の粉末で、これをプールに加えるときにはかなり大量の水を使ってよく溶いてからプールに注入しないと、プール底に粉末が溶けずに残る場合があります。