プール設備のメンテナンス
Q11:現場ではプール設備のメンテナンスはどのようにしたらよいでしょうか。
プール設備のメンテナンスは、遊泳者の衛生的な安全確保は当然のこととして、設備機器の性能維持や事故防止を主な目的として行います。
管理者はその施設について、どんな設備があるのか、どこにあるのか、設備の設置目的は何か、正しい使い方はどういうものかなどについて把握しておく必要があります。
そのためには、
(1) 個別機器の取扱説明書をよく読む
(2) 設備完成図面をよく読み系統を把握し、全体の流れをつかむ
(3) システムの中の個別機器の設備目的を把握する
(4) 重要度と経費を考慮して定期的なメンテナンス計画を立てる(週、月、3ヶ月、1年等)
(5) 日常管理項目と実施者、確認者を定める
(6) 個別機器の取扱説明書目次を付けてファイルする
ことを心がける必要があります。
メンテナンスは実施する人の区分から、運転管理者が行う日常点検と、専門業者に委託することが多い性能点検や定期点検、消耗品交換に分けることが考えられます。
運転管理者が行う日常点検項目は次のようなものです。
日常点検は五感を活用して行います。
(1) 聴覚の活用
日常に比較して運転音が大きい、異なった種類の音がするなど、騒音、異常音がないかどうか確認します。
ポンプやモーターなど回転機器は、通常運転音を発生させます。
故障や消耗が進んだ場合、音が変化する例が多いといえます。
以上と判断した場合は専門業者に修理を依頼します。
(2) 臭覚の活用
プール室内や機械室内にいつもと異なった臭気がないか、あるいは強い臭気がないか確認します。
プールからの臭気が強い場合、プール水中に過マンガン酸カリウム消費量が増加し、クロラミン等の塩素反応生成物が増えている場合に臭気が強くなります。
オーバーフローによる水の入れ替えが必要です。
同じような事態が繰り返し生ずるような場合は、ろ過器の性能不足や十分性能が発揮できない状況にあると考えられます。
専門業者や設計者に相談する必要があります。
機械室に異臭が発生する場合、塩素臭が強い例であれば、塩素剤の漏出が考えられるので、周囲の確認を行います。
また、機械室の異臭には電気機器の損傷が原因であることも考えられるので、各機器の点検確認が必要です。
(3) 視覚の活用
ろ過器に漏水などがないかどうか確認します。
また、機器が熱や圧力によって変形していないかどうかなどを確認します。
特にポンプシール部及び自動エア抜き弁の付近は注意してみます。
異常があれば専門業者に相談します。
(4) 触覚の活用
ポンプやモーターは運転中は多少の発熱があります。
胴体部分をさわるなどして通常の状態をよく把握しておき、いつもと異なる温度になっている場合は専門業者に相談します。
(5) 味覚の活用
めったにあることではありませんが、遊泳中に水の味がおかしいと感じることがあります。
補給水の異常などでオーバーフローが不足し、溶存有機物濃度が高くなっていることが考えられます。
状況を確認して対処します。
この他に日常のメンテナンス作業としては、集毛器(ヘアーキャッチャ-)の清掃(1~2日に1回)、消毒剤添加装置への薬剤の補給などがあります。