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塩素消毒剤と特徴

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

Q8:塩素消毒剤にはどんなものがありますか、それぞれの特徴はどんなものですか。

 プールで消毒の目的に用いられる塩素剤は、一般的には下記のものがあります。
 それぞれ特徴がありますので、注意して使用する必要があります。

(1) 次亜塩素酸ナトリウム液  (2) 次亜塩素酸カルシウム  (3) 塩素化イソシアヌル酸

 現在使用中の薬剤があれば、その表示をよく見てどんな成分の薬剤なのか確認しましょう。
 これから購入する場合は商品名の他に成分名を確認し、プールの使用形態や管理方法に合ったものを選びましょう。
 それぞれの特徴を以下に記載します。

(1) 次亜塩素酸ナトリウム液

 次亜塩素酸はNaOClの水溶液です。

 工業的には塩素ガスを水酸化ナトリウムNaOHの水溶液に吹き込んで製造します。
 濃厚なままの液体は次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを含むため、皮膚に対して強い腐食性があり、手につくと容器が滑りやすくなるので、取り扱いには注意が必要です。
 手などについた場合は、速やかに大量の水を使って洗ってください。

 通常の使用方法は、次亜塩素酸ナトリウム液用の耐食性注入ポンプを使って、プール水を循環する配管に圧入して、その水をプールに送水ポンプで送り込みます。
 この場合、循環プール水量に比べて、次亜塩素酸ナトリウム液の圧入量が非常に小さいので、注入ノズルは微細なものになります。ノズル口がつまったり、気泡が咬んだりして、所要量が流入していないことがあるので、常に点検が必要です。 

 注入装置を用いず、直接プール水に流し込む場合は、濃厚な次亜塩素酸ナトリウム液をそのままプールに入れるのは、薬剤の取扱のうえからも好ましくありません。
 大量の水を用いて薄めたものをプール全体に散布するようにします。
 大量の水で薄めることにより、液のアルカリ性が弱められるばかりでなく、プール全体への残留塩素の分布がよくなります。

(2) 次亜塩素酸カルシウム

 次亜塩素酸カルシウムを主成分とする白色、固体の塩素剤です。
 現在市販されているものは、高純度の中性次亜塩素酸カルシウム剤で、保存性がよく水に溶解した際の不溶解分がほとんどありません。
 品質のよい中性次亜塩素酸カルシウムは有効塩素含有量が70%以上あり、市販商品の形としては、錠剤と顆粒があります。
 顆粒のものはプール水中に散布すると速やかに溶解します。錠剤のものはプールに投入しておくとしだいに溶解して、徐々に有効塩素濃度が上がるので、装置を使用しなくても有効塩素の補給が手軽に行えるという特徴があります。
 また、顆粒を使用し、一旦機械内で溶解して注入する塩素水注入装置もあります。

(3) 塩素化イソシアヌル酸

 イソシアヌル酸という化学的に安定な化合物に塩素を作用させて製造したもので、白色、固体の塩素剤です。

 塩素の含有量によって次の三種類があります。
 トリクロロとジクロロではトリクロロが溶けにくく、カリウム塩とナトリウム塩ではカリウム塩の方が溶けにくいという特徴がありますので、成分名を確認して使用するようにします。

有効塩素含有量

    ア. トリクロロイソシアヌル酸 85〜90%
    イ. ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム 60%
    ウ. ジクロロイソシアヌル酸カリウム 60%

 薬剤の形としては、顆粒と錠剤があり、湿気をさけて冷暗所に保存すれば、長期間有効性に変化がありません。
 顆粒のものはプール水中に散布すると、不溶解分を残さずに溶解します。
 錠剤のものはプールに投入しておくとしだいに溶解するので、中性次亜塩素酸カルシウムの錠剤と同様に、装置を使用しないで有効塩素を補給する手段として利用できます。

 塩素化イソシアヌル酸は水の中で加水分解した場合、pHが下がりますので、pHの基準値よりも下がった場合、アルカリ剤を使用して上げる必要があります。
 アルカリ剤には水酸化ナトリウムNaOHや炭酸水素ナトリウムがあります。水酸化ナトリウムは強アルカリなので、取り扱いには十分な注意が必要です。
 炭酸水素ナトリウムの方がコストは高くなりますが、取り扱いは容易です。